「お子様ランチみたいな映画だった」ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
お子様ランチみたいな映画だった
本作を例えるならば、お子様ランチみたいな映画だった。ハンバーグとかエビフライとかプリン、大好物が一つのプレートに乗っかっているような感じ。繊細な風味や素材の味みたいなものとは程遠いけど、大満足でペロリと食べちゃう。
たった90分ちょいの尺にマリオのいろんな要素を詰め込みつつ、それでいてストーリーは突飛でも複雑でもなく、子供でも分かりやすく楽しめるエンターテイメント作品として完成している。「マリオ映画」としての満点を叩き出していると思います。
今まで一度でもマリオのゲームをプレイしたことのある方なら、ほぼ間違いなく楽しめる作品です。大迫力の映像が魅力の作品でもありますので、今すぐ映画館でご覧いただきたいです。
・・・・・・・・・・・
ブルックリンに住む兄弟であるマリオ(宮野真守)とルイージ(畠中祐)は、務めていた会社を退職し、夢であった配管工として起業することになった。家族や元同僚から冷ややかな目で見られつつも初仕事に乗り出すが、大失敗をして落ち込んでしまう。そんな中、ブルックリンで大規模な水漏れ事故が発生し、チャンスとばかりに現場に駆け付けた。修理のために地下の配管を調べていたマリオ達だったが、そこにあった謎の土管に吸い込まれ、異世界にワープしてしまう。そこは、大魔王クッパ(三宅健太)が支配する世界だった。
・・・・・・・・・・・
本作は世界中で大ヒットを飛ばしており、このレビューを書いている5月17日現在、世界興行収入が12億ドルを突破し、なおも記録を伸ばし続けています。歴代映画興収ランキングにも食い込んでくる勢いなので、ニュースなどでも本作の情報を見掛けます。
しかしそれ以上にネット上では「評論家と一般観客の評価の乖離」についての話をよく見かけます。
世界最大の映画レビューサイト「ロッテントマト」では、映画評論家と一般観客の評価が分かれて表示される仕様になっているのですが、一般観客の高評価率が90%を超えているにも関わらず、評論家の高評価率は50%台に留まっています。
ネット上では「ポリコレ描写が無いからだ」とか「日本作品だから評価を下げているんだ」みたいな論理で評論家をこき下ろす方もいらっしゃいますが、単純に本作は「評論家ウケするような緻密な話じゃないから」だと個人的には思ってます。評論家は「映画を観よう」として本作を鑑賞し、一般観客は「マリオを観よう」として本作を鑑賞していた。本作に対して求めているものが違うのだから、評価が違うのは当然です。例えるなら「フランス料理のフルコースや高級懐石料理を求めている舌の肥えた食通にお子様ランチ出したら、そりゃ低評価受けるだろ」って感じじゃないですかね。
あとポリコレ関連で言いたいことがあるんですが、レビューを見ていると「ポリコレ配慮によってピーチ姫が強い女性として描かれている」という批判がちらほらあるんですが、あれはマリオファンの皮を被ったただの映画アンチです。マリオファンで本作の「強いピーチ姫」に対して文句言ってる人はほぼいません。
マリオシリーズにおいて、ピーチ姫は昔から「強い女性」として描かれています。1996年発売のスーパーファミコンの超名作ゲーム「スーパーマリオRPG」では戦闘に参加するパーティーメンバーとして登場しますし、今なお人気の高い格闘ゲーム「大乱闘スマッシュブラザーズ」でもプレイアブルキャラクターとして登場しています。その他のマリオシリーズでもピーチ姫はマリオやルイージと同列のキャラクターとして登場することが多いため、私は「戦うお姫様」「強い女性」というイメージはマリオファンならば持っているだろうと認識しています。
そういう意味でも、本作はしっかりとファン向けの映画になっていたと思いますし、難解な部分を排除した分かりやすいストーリーですので、ターゲットとなる子供たちやその親世代にも刺さる素晴らしいエンタメ映画になっていたと感じます。面白いです!!オススメです!!