彼女はなぜ、猿を逃したか?のレビュー・感想・評価
全8件を表示
自分のキャン玉を握れない者に他人のキャン玉を握ることは出来ない
猿を逃がした女子高生と、それを取材するライター女性の対話から物語は始まる。
噛み合わない会話と、翻弄されるライター。
別の男性記者の取材も並行して描かれるが、ん?なんか同じ受け答えしてる?
まぁこの辺で仕掛けの方向性は分かるのだが、役者を使ったメタ的なトリックで中々整理がつかない。
また、登場人物が次々と変調をきたし、演出の毛色も別物になる。
ややこんがらがるが、最終的には(細部はともかく)無理なく腑に落ちるし、中々に面白い。
キービジュアルでみんなの髪型が違うのも納得。
ただ、ネタバラシがちょっと長いかな。
このパートの藤嶋花音がそれまで以上に魅力的だから、全然見られるのだけど。
(のんと『違国日記』の早瀬憩の間のような印象)
また、あそこで優子がアッサリ振り切った(ように見える)のも、テーマ的にどうかなぁ、とも思う。
それまでの描写も演技だったとなると、実際の苦しみは一切描かれてないし。
切り抜き・偏向報道や誹謗中傷に対する切れ味が、一気にペーパーナイフレベルになった。
とはいえ先述の通り仕掛けは良かったし、時折挟まれるユーモアや夫婦のじゃれ合いは楽しかった。
『群青いろ』は今後も追っていきたい。
よく練られた物語だと思います。
意外な展開を楽しみ、心は笑えるか?
『ちょっと、クドいかぁ(?)』
2024年劇場鑑賞16本目 秀作 66点
雨降って、ジ・エンドに続く映像ユニット群青いろが手掛けた作品
上記の作品で魅了され、同じくポレポレ東中野に新宿から歩いて向かい、心を弾ませ鑑賞した本作は、正直物語後半まで何を観させられているのか、何を伝えたいのかさっぱりで、前作が良かっただけに、時折見せる変わった演出といい苦手だなぁと失望していたのですが、それこそ物語終盤になるにつれて、天地がひっくり返る様は実に見事で、驚きました
それこそ当方のようなそれまでなんだこれと不思議に思っている観客の方がそのギャップから気持ちが好転したんじゃないかな
前作もそうだけど、このユニットのお二人は映画が大好きでよく研究してよく観ているんだと思います、タイトルやキーヴィジュアルは勿論、取り扱うテーマや物語の展開や惹きつけるポイントをしっかりと理解していて、観客の目線を理解できているのがわかる
予告にもある廣末さんの伏線が〜のセリフを制作に携わる彼の口から放たれるのも粋ですね
そのセリフもそうだけど、事件からずっと近くで寄り添い、世間に伝わった謝った情報や印象とは違う、本当の彼女を知っている彼が、もう覆らないことをさとりながらも、身近な人や、少なくても自分だけは味方でいてあげようみたいな、その気持ちが彼女との生活でもそうだし、職場での学生?に向けた上記のセリフでもそうだし、彼なりに伝えているような、しかもそれは観客のも向けられたもので、言ったら我々は事件のことを報道含めふんわり知っていて、正しいことも事件当時のことも詳しく知らないニワカであって、それらに向けて物語と並行して彼を中心に少しずつ本当のことを伝えるというより表していくみたいな、そんな感じがしました
うまく文章に出来ませんでしたが、そういう映画です
配信されるのかな〜〜
また見れるのが楽しみです、是非
とっつきやすいが一筋縄では行かない
先日観た「雨降って、ジ・エンド。」がかなり刺さる作品だったので、同じ「群青いろ」の最新作ということで早速の鑑賞。この手の映画は後日配信でとはいかないので観れるときに観ておかないと。
「雨降って」同様の重いテーマはあるがメインではなく、どちらかと言えばファンタジックとも言えるつくりで、とっつきやすい。ただし羅生門的、かつ入れ子構造みたいな構成で一筋縄では行かないかな。でも総体的にはとても面白いと言える鑑賞後感。
ヘヴィな演技の役者さんが多いなか、藤嶋花音の女子高生の底抜けの明るさが際立って楽しい。
猿を逃した理由は置いてきぼりかなと途中心配したけど、ちゃんと説明されて安心した。
全8件を表示