ソウルに帰るのレビュー・感想・評価
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人生は映画とは違うので
感想を書くのが難しくてしばらく置きっぱなしだった。
国際養子縁組で幼くしてフランスに渡った主人公が、意図せず初めて韓国に訪れ、実親を探すことになる。韓国語も知らず韓国人の文化にも馴染めないが、滞在中に自身のフランス人としてのアイデンティティも揺らぐ。
ここまでは、ディアスポラの物語という意味で「モンスーン」と同じテイストを感じた。
その後、突如違った展開になる。個別のエピソードのインパクトはあるが、ストーリーの一貫性がないように思えて戸惑った。
だが、エピの連関よりも、全体を俯瞰して、長い時間をかけて少しずつ主人公と実父、実母それぞれが今のあり様を受容してゆく(それとは関係あったりなかったりしながら日々の生活は続く)ということが描きたいのかなと思った。
現実では人の生き方に一貫性なんてないのだと思えば、唐突さもあまり気にならなくなった。
主人公がフランスからミサイルを売りに来て、北の脅威から韓国を守るという、冗談とも本気ともとれない話が好き(マッチングアプリで知り合った男のエピが先にあったので本当なのだろう)。全体に、伏線の張り方に品がある印象の作品。
どこで生まれたから何人な訳ではない
フランスに養子に出された韓国生まれの女の子が、ちょっとしたトラブルで韓国に来ることから物語は始まるのだけど。
典型的な韓国人の外見の器の中に、自由な精神のフランス人が魂だけ入ってしまったような主人公。
生みの両親を優しい人々の手を借りて探している間、確かにこの国で生まれたはずなのにどこまでも違和感が消えない。
本当に環境が人を作るよなあ、と心から思った。どこで生まれたから〇〇人な訳ではない。
育った過程に通った道、食べたもの、出会った人々、全てが人を作る。
海外育ちの子が避けて通れない道かなあと思う。
親の仕事で行き帰りしてる子は、人にもよるけど日本と海外(それも同じ国だけじゃない)何回も出たり入ったりを繰り返す子も多い。
長く外に出たら生まれた場所の国と違う価値観を持って当たり前だし、そもそも〇〇人っていう決めつけの枠がしんどかったりする。
↓以下、多少のネタバレも含みます。
ご注意ください。
この子を養子に出したことを生物学的なお父さんは心から悔いていたけど、彼女にとっては自分のルーツなだけ、という価値観の違い、、コレは〇〇人っていうのではなく、そもそもこの主人公のもってる価値観によるものだと思うけど、何にせよ個人の考えを尊重するという土台がない場所でたとえ言葉が通じても価値観までは通じんだろなと思いながらみてしまったわ。
んー、これは日本を離れて過ごされている方々にどんなふうに映るのかお聞きしたい。
是非とも。
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