「スケール感ある大作」非常宣言 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
スケール感ある大作
製作費が約30億円だそうで、スケールの大きい大作映画である。飛行機という限定空間で、ウイルスという見えない恐怖と戦う乗客と、地上でなんとか飛行機を着陸させるために奔走する人々を同時に描き、パニック状況下の人間ドラマとしてなかなか魅せる。
ソン・ガンホにイ・ビョンホンと役者も充実している。しかし、韓国映画はイケメンにヤバい殺人鬼役をやらせるのが、どうしてこんなに好きなんだろう。日本とアメリカ、製薬会社も巻き込んで国際スケールの展開となっていくが、自国の安全第一で未知のウイルスを乗せた飛行機を着陸許可しない展開は、リアルではないがコロナ禍を経験したからこその説得力はある。まあ、自衛隊が民間機に対して発砲しない(できない)だろうけど。ひとつの事象をめぐって世の中が分断される状況が訪れるのも現代社会を反映している。その分断を乗り越え解決に導くのが、あのクライマックスの展開なのかはちょっとどうかなと思うのだけど、全体的にはスリリングで楽しめた。
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