「年明け早々凄い作品が」非常宣言 るいまーるさんの映画レビュー(感想・評価)
年明け早々凄い作品が
141分が良い意味で凄く長くて終わってくれと。二転三転と物語が展開されていく中で乗客と同じように息を呑む想像だにしない出来事の数々に叫びたくなりました。もちろんフィクションで、パニックスリラーで。でも今起き得る大惨事、壮絶な人間模様が。
密室空間、極限状態だからこそみえる人の哀れさ、強さ。それは表裏一体で。皆、生きることに必死で。地上の家族を想って。こんな時、自分には何ができるのかと。その無力さを痛感して。神経をエグられるほどの衝撃で。リアル過ぎる飛行機シーンはそれを尚更に。
スマホ、ネットに繋がれるからこそ抱く安心感、恐怖も印象的で。昔ならこの難事をどう打破するのかという興味を持つ一方で、今だからこそ知り過ぎる、繋がり過ぎるその便利さにゾッとしました。そっと機内モードにしたくなる自分がそこにいました。
一刻を争う事態でも当事者、第三者でその考えはあまりにもギャップがあって。映画では当事者側の自分。実際に起きたら…と。国民や政府、各国の想いを考えるとそれは当然で。だからこそそれに奮闘する刑事 ク・イノや大臣 スッキの姿が儚く、辛くて。
ク・イノの刑事、夫としてのその勇敢な行動には涙を超越して。自分の家族にはこんな愛を紡げるかと。日々のニュースで表面的に流した事件や出来事にもこうした家族の物語があって。とにかくそれぞれの登場人物がリアルで、飾る余地もなくて。
ジェンダーで一括りにする時代ではないけれど。機内、地上でもやはり女性は強いと。未知なるウイルスに怯えるのは皆同じだけどそれに腐らない姿、協調性が男性よりも圧倒的で。垣間見えてくるその強さ、包容力が私にはないと。頷く部分がそこに…。
パンデミック、紛争や事件が絶え間ない今の時代だからこそ"非常宣言"が放つメッセージ性。2023年の年初めにとんでもないお年玉がTake offします。この空に希望、絶望を抱くも自分次第。乱高下する気持ち。ぜひ心のシートベルトを外して体感して欲しいです。