SHE SAID シー・セッド その名を暴けのレビュー・感想・評価
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#Me Too という言葉の重みが
ニュースや世界の情勢に明るくなく、#Me Tooという言葉が話題となった時も、なんとなく事の概要を知っているだけで、対岸の火事だと思っていた。でも、そうではないことを知った。
最後には全てが暴かれるという安心感がありながらも、思うように進まない取材、そして少しずつ明るみになる真実。最初から最後まで緊張感があり、釘付けになった。取材シーンは特に、張り詰めた空気が漂い、まるで自分が記者になったように、証言者の言葉を噛み締める自分がいた。
ラストで一気に緊張が解け、#Me Too という言葉の重みが胸に突き刺さり、一気に涙が溢れるという、はじめての体験をした。
性別年代問わず、いろんな人に見て欲しいと思う。
未来への繋ぎ
♯MeToo運動が世界に広がって行くきっかけを作ったNYタイムスの報道記者ミーガンとジョディ…彼女達の記事を元にした書籍はピュリツァー賞をも受賞 世界中から大反響を呼んだ
この事件を映画化しメガホンを撮るのはハリウッドとは関連の無いドイツ人のマリア・シュラーダー
ハリウッドだけではなく世界のどこにでも起こりえる権力に対しての真実を深くえぐるだけでは無く性描写を描かない被害者サイドへの配慮を汲み込んだ作りには女性監督ならではの思いやりを感じた…
そして2人の記者を演じたキャリー・マリガン
ゾーイ・カザン
特にキャリーの前に前に出ない繊細かつ力強い
演技がたまらない!
乗り込んで来たワインスタイン一団との交渉場での無言の表情は秀悦!!!!!
…モデルになった実際の2人の記者にもそれぞれ幼い娘さん達がいらっしゃる
彼女達が成長した時
女性主導の社会が普通になる未来へと繋がっているはずだ!
そんな女性達のヒロイズムを賞賛する
注目の作品に年明け早々に出会えた事に感謝したい!
実話でも色々考えさせてくれる作品
実話なので詳細は省くが、MeToo問題が世界中で問題になるきっかけとなったアメリカニューヨークタイムズを舞台にした内容は見応えがあった。メディアのあり方、告発者とメディアとの関係など色々考えさせられた。女性記者2人が主人公だが、彼女たちの思い、それをサポートする同僚や家族もスクリーンから伝わった。MeToo問題は現在も進行中。また、日米の意識の違いもこの作品から見えてくる。女性の方はぜひ観てほしい作品。特に若い女性の方やマスコミ志望の女子大学生は必見です。
標的は札束で全てを揉み消してきた淫奔の悪魔... 遅過ぎる救援の手に憤る被害者たちのトラウマを糾合した報道に己が叫びを託した映画
数年前に世界的な拡がりを見せた#MeToo運動の大きなきっかけとなった、ニューヨーク・タイムズ紙による映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタイン氏の性暴力報道を世に出した二人の女性記者の闘いの物語。
ハリウッド大作ではあるものの相手巨悪からの此方の命を狙った妨害工作のような派手なスペクタクル展開は極力排されており、無数の関係者たちの自己保身と無関心の連なりによって長年野放しにされてきた裸の王様の性暴力を根絶するため、累積した悪行を丹念に取材して詳らかにする地味で堅実な一本です。
記者たちがその被害者たちの声を掬い上げに行くことで彼女らは封印していた自らのトラウマに己を曝すことになるのですが、力無き普通の人々がなけなしの勇気を振り絞って巨大な不条理に立ち向かう姿は実話ベースゆえの凄みを感じさせます。
忖度なし
スクープ繋がりで、なんとなく日本のドラマ「エルピス」を思い出したながら観てしまいましたが、日米のジャーナリズムの違いが顕著に現れてましたね。ニューヨークタイムズと日本の民放を比べるのがナンセンスなことは承知していますが、前者にあって後者にないもの。それは絶対的な正義だと思いました。特に「組織」としての。日本でも東京新聞の望月記者をモデルとした作品がありましたが、絶対的権力を転覆させるだけのエネルギーはありませんでした。「エルピス」もそうでしたが、グレーな部分が多過ぎてモヤモヤするというか。きっとジャーナリズムの在り方や志が根本的に違うのでしょうね。上司のキャラを見比べると歴然。数年前には「スポットライト」という名作もありましたが、アメリカという国は問題こそあれど、ある意味で健全だと思える、そんな作品でした。
裸になる王様
映画業界の権力者の女性への性的搾取・暴行の事実をNYTの女性記者が記事にすべく奔走する姿を描く本作は、業界の醜悪な部分を自らの映画という手段で描き出すということで注目していた作品。
恥を忍んで言えば、自分自身、かつては女性の年齢、ファッション、容姿などに絡めたセクハラ発言を無意識にしていたバカ野郎なので、今は深く反省するしかない。そんな自分の意識をアップデートする心構えももって本作の鑑賞に臨んだわけだが。関係者を探りあてて電話して断られてまた連絡して会って話を聞いて…と、松浦美奈の的確でわかりやすい字幕とはいえ、会話中心の展開がずーっと続くもんで作劇的には退屈で、アップすべき意識が時折飛ぶ始末(アカン)。最近の明るみに出た出来事で被害者も多数であることから、FOXでの同様の構図を描いたスキャンダルのような過剰めな演出は控え、事実に忠実に…ということなのか。
産後鬱の様子や子育てと仕事の両立といった働く女性の苦労を見せつつも、育児・家事をしっかりこなす夫や理解ある男性上司などを出すことで男女の対立構図は持ち込まず、あくまで権力者と虐げられるものとしてワインスタインのクソ事実だけを詰めていく話にしたのは、うまいバランス感があった。あと、ドライブの可憐な人妻で初認識したキャリー・マリガンは、未来を花束にして、プロミシング・ヤング・ウーマンと、自身のキャリアの方向性を確実に打ち出しているのだと感じた。
翻って、今やわが国の大手メディアには週刊文春を除いてろくに期待できない時代になってしまった。せめて映画業界内では自浄作用の証としてあのーそのー監督の話とか、誰かフィルムにしてほしいもの。
大事な記録
ニューヨークタイムズの二人の女性を中心とした関係者の皆さんの責任感や、証拠を大事にする姿勢と熱意が同居する様子がイキイキと描かれていました。
世界中の多くの人が知る事件の記録という点では、「大統領の陰謀」「シンドラーのリスト」にも通じる映画と感じました。
表現を控え目にして、多くの人が観られるように制作されているところも素晴らしいと思いました。
もちろん男性も観ないといけない内容ですが、女性の、女性による、女性のための映画という印象を受けました。
タランティーノ作品にも出演するブラッドピットが製作に携わるというところはカッコいいですよね。見習いたいと思います。
倒すべき強敵が映像として描かれないのは物足りない
スキャンダルを暴露しようとする記者たちの物語だが、「真相の究明」というよりも「口を閉ざしている被害者に、いかに証言してもらうか」というところが、最大の見どころとなっている。
その点、記者たちが「女性」でなければ、被害者は重い口を開こうとはしなかったのではないかと思われる。
被害者に共感し、寄り添おうとする女性記者の姿もさることながら、セクハラによって心に深い傷を負い、人生を狂わされてしまった被害者の姿もしっかりと描かれていて、女性監督ならではの視点を感じ取ることができた。
その一方で、証言者を獲得していく過程が、同じような展開の繰り返しで、中盤以降、もたついた感じになってしまったのは惜しまれる。
記事を出す決め手となる「LOC」の手記の入手や、アシュレイ・ジャッド等の実名公表のいきさつも、どこか淡々としていて「一発逆転」のような面白さがない。実話ベースなので、演出過剰になることを避けたのであろうが、もう少しカタルシスがあってもよかったのではないだろうか。
そして、何よりも、肝心のワインスタインがしっかりと映像で描かれず、「顔出し」すらないのは物足りない。
劇中の台詞にもあるように、ワインスタイン個人の犯罪よりも、加害者をのさばらせる「示談」という制度の問題点を指摘したかったのかもしれないが、「憎むべき強大な敵」が明示されないことで、物語の構造が弱まってしまったように思えるのである。
寄り添う力と立ち向かう勇気
絶対権力者のセクハラ行為(本作はそんな生やさしいものではないが)を、周りの人間が止めるのはとても難しい。権力をカサにどんな報復をされるかわからないからだ。
映画業界の超大物が行ってきた性犯罪を調査し、暴く記事を書いた記者たちを描いた本作。登場人物が実名であることに驚いてしまう。実際に本人が出演していた役もいくつかあった。アメリカってこういうところがすごいよな。記事が発表されるときもそうだが、名前を公表することを決断した人たちには尊敬の念しかない。様々な圧力やいやがらせを受けることも想定できる中での決断。彼女たちに共通しているのが、自分だけでなく他の女性たちが同じような目にあってほしくないという思いだ。だからこそ自分がつらい目にあってもいいからこんなことをやめさせたいと。彼女たちの言動には感動してしまう。
2人の記者が母親として子育てに苦労しながら仕事する姿を描くのがまたいい。ワインスタインの醜悪な行為となんと対象的なことか。
正月にフェミニズムの名著を各界の論客や有名人が紹介する番組を観たのだが、冒頭でフェミニズムの歴史で4つの大きな動きがあって、そのうち一番最近のが「#MeToo」運動だったと紹介していた。あの運動の始まりがこの記者たちの取材だということになる。まさに歴史が動く瞬間の映画化だ。観る価値のある、見応えのある力作だった。
女性も男性にも観て欲しい
女性はもちろんだけど、男性にも観て欲しい。
ずーっとムカつく、胸糞悪い、おぞましいと思いながら観てた。体力的にも立場的にも弱い人に性行為を強要して、罪悪感とか羞恥心とか無いのか。一人の人間の尊厳と未来をぶち壊して何を感じるのか。まあ、何も感じないから82人(きっともっといる)に同じことができるんだろうし、きっと未だに何が悪いのかわかってないんじゃないだろうか。
ローラの「若いから、頭が固いから、いけないんだと思っていた」という言葉にショックだった。ああ、私にも身に覚えがあるなと。軽く流せない自分が悪いんだ、こんなことにいちいち傷ついてる自分が弱いんだと思ったことが何度もあるし、きっと、そうやって我慢してきた女性は多いはず。(女性だけではないけど)
当時、この運動がハリウッドから始まったことに違う世界の話だと思ったけど、地位も名誉も手に入れたはずのハリウッドスターですら被害に遭うし、言えない。名も無き一般女性なら?(意訳)とジョディに言われて、そうかハリウッドから始まることに意味があるんだなと思った。
彼女が手術の日に実名を出すことを決めたことに泣いた。女性としての体の一部を失う日に尊厳を取り戻すことを決めたんだな、これ以上女性としての自分が削られていくのを認めなかったんかなと。
スッキリした!とはいかないけど観てよかった。
ニューヨーク・タイムズ紙の女性記者が暴いた映画業界の闇
ニューヨーク・タイムズ紙の女性記者が、高名な映画プロデューサーの、ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ・性的暴行事件を暴いていく過程を再現した映画です。
日本でも、最近、有名な劇作家が、自分が主宰している劇団の女優に性暴力を働いたという報道が有りましたが、華やかなショー・ビジネスの裏側は、このような行為が平然と横行しているのかもしれないと思いました。
この映画で参考になったのは、特報記事を作り上げるまでの過程、ニューヨーク・タイムズ紙の社内の様子で、新聞記者の仕事ぶりの一端を知ることが出来ると思いました。
内容が内容なだけに、性用語や性行為についての証言が、たくさん出てくるので、この映画は一人で見た方が良いと思います。
PLAN Bの未来が気になる
ニューヨークタイムズによるハリウッド大物ワインスタインのセクハラ報道。ブラピの会社の企画選択にストライクだったのだろうな。でも「PLAN B」は去年秋にフランスに売却したそうな。今後もこういう社会派(ハリウッドリベラル&民主党支持)な企画がラインナップされるかは不明だな。
事実は小説より奇怪なり
ハーヴィー・ワインスタインの醜いスキャンダルを描いた作品
これがフィクションなら、もっともっと話が大袈裟になり、真相を探ろうとする記者には、命の危険に晒されたり、会社から圧力があったりするだろう。
そういう部分を排せるだけのニュースインパクトが事実としてあったから
このような重厚な作品になったと理解できる
記者役の女優二人(マリガン&カザン)の怒りを全面に出さない
冷静で崇高な演技が特に良かった
しかしながら
個人的な感想だけど
ワインスタイン氏は、四六時中セクハラのことしか頭になかったのだろうかねぇ
彼には懲役の反省も必要だが、セラピーや去勢も必要な気がする
後ろ姿だけ見せる撮り方だったが、よく似た風体が、余計と汚らしく見えて
あの撮り方もGOODだった
女性記者二人の奮闘には実話と言う事もあり頭が下がります。 ただしこ...
女性記者二人の奮闘には実話と言う事もあり頭が下がります。
ただしこの手の映画、毎回違う事件が元ネタなのですが既視感が有るのも事実です。
アメリカでは数年前の事件が直ぐに実名で映画化されるから凄いですよね。
さすがハリウッド
ほんの数年前の出来事をしかも実話であり業界スキャンダルなのに臆すること無く、実名で映画化していることで、ハリウッドもまだ良識を、保っている映画人がいてくれてよかったです。
日本ではなかなかこの手の映画は作れないからね。
刺さる!
2017年にミラマックスのハーヴェイによるセクハラ、レイプを公にしたNTの裏?陰?にこんな骨太なストーリーがあったとは!
そもそも権力や暴力、立場を利用して、女性を(このこのお話しではないけど、子どもやお年寄りなども)を意のままにしようとする一定数の権力者大嫌い。
しかも自分の欲求を果たすためだけに。
その後被害者は緘口令を敷かれ、自らのプライドとともに長年苦しめられる。
日本でも某俳優や監督が、同じように「演技指導」の名の下に性暴力を振るって干されてるけど、全く理解の範疇を越えるよ。
みんなが口をつぐみ、妨害や圧力に負けずに立ち向かう2人の女性記者にどんどん感情移入して、心に刺さった作品でした。
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