「彼女達の勇気が未来をつくる」SHE SAID シー・セッド その名を暴け bionさんの映画レビュー(感想・評価)
彼女達の勇気が未来をつくる
ハーヴェイ・ワインスタインが行った非道な性暴力は、被害にあった女性の言葉で語られる。ハーヴェイが傲慢で、嘘つきで、身体だけでなく、金と権力と法律を利用して彼女達の心まで破壊する様は、吐き気を催す。
性暴力シーンの再現シーンはない。ひと昔であれば、そのシーンをアピールするような本末転倒な作品もあったが、そんな商業主義とは一線を画している。
ニューヨークタイムズの記者が粘り強く取材を行い、名前を出すことに躊躇する被害者を辛抱強く説得する。一方で、被害を受けた女性たちは、今の平穏な生活が乱されることへのためらい、忘れたふりをしてごまかして生きてきたことへの後悔が錯綜して、心が千々に乱れる。
プロローグで、トランプ大統領候補(当時)のセクハラを告発した女性が、匿名の嫌がらせを受け、名前を出したことへの後悔する様子が描かれるが、勇気への代償がマイナスとなって帰ってくる場合があるから現実社会は恐い。だからこそ、記者達は最後の最後まで告発者の側に立つ。
聞き慣れない個人名が飛び交うので、登場人物の相関関係が把握しづらかったので、前もってWikipediaを見ておけばよかった。
小学生のころ妹をいじめて祖母に言われたことを思い出す。「自分より弱いものに手をあげる男は、下の下の下の人間」
ハーヴェイは、それよりも下の下の下であることは間違いない。
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