春に散るのレビュー・感想・評価
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小説と違った良さあり、また小説も映画と違った良さあり!
この映画、予告を見て絶対観たいと思い小説を読んで予習しておきました。しかし、その必要はなく映画は迫力のあるボクシングシーンからして所謂ボクシング映画としての割合が大きいですが非常に楽しめました。どちらが勝つか分かっていた自分としては知らなかった方が良かったかもしれません。
小説の方は単なるボクシング物だけではなく主人公はあくまでも広岡仁一であり、人生の後半の生きざまを彼を含めた昔の仲間と一緒に若いボクサーを育てる事でどうしていくのか?に焦点をあてています。
映画は2時間ちょっとの映画の尺の制限の中上手くまとめ上げたのではないでしょうか
映画を見てからまた小説を読み返したいと思いました。
※注意、ここから小説ネタバレ
ただ上下二巻の小説から二時間ちょっとの映画にするにあたり大分小説とは違う所があります。まず、小説の上巻はほとんど省略されています。三羽烏として広岡を含め三人の仲間が出てきますが小説ではもう一人星という仲間がいます。哀川翔の藤原は大塚側のセコンドになりますが小説では黒木側で黒木のトレーナーを積極的にやっています。黒木は4人のトレーナーの得意技を習得していくのです。橋本環奈は広岡の姪ではなく広岡の買った家の不動産屋の事務員で予知能力があります。山の子ジムは小説にはなく黒木は大塚と同じ真拳ジム所属です。最後の世界戦を戦うのは中西ではなく外国人選手です。黒木の母親は小説では出てきません。他にも沢山違いがあります。
小説ではボクシングシーンの描写もよく伝わりとても映画同様面白いですが四人の老いたトレーナーや佳菜子(橋本環奈役)らとのほのぼのしたやりとりを楽しめたり主人公らの人生哲学みたいなのも考えさせられます。
原作と映画の内容がかなり違いますがそれがダメだとは思いませんでした。それぞれがそれぞれの良さがあると思います。気になった方は是非小説も読んでみてはいかがでしょうか。
流星群(o^^o)
このタイプの作品は予告を観ただけで大体のストーリーが想像出来ます。
本作も然り。
誰が勝つのかが見所で、誰かが後遺症を負ったり命を落としたり、、
なんだろ〜と。
案の定、ストーリーに目新しさは感じなかったし、本作オリジナルの強みみたいな所も薄かった印象。。( ; ; )
広岡(浩市さん♡)の渡米後の成功も話しが出来すぎだ。
あんなクレバーなボクサー見たことない。。。
ごめんなさいm(_ _)m ×100!
そしてお決まりの病気持ち。。
自らが成し遂げられなかったチャンプの夢。そこに、未来を託せる才能のある若者が都合良く登場。
世界タイトルマッチが決まるまでのマッチメイク。大した苦労も努力も描かれずスムーズ過ぎる。。
やっぱりか。感。。ムムム。。
そしてほぼすっぴんで登場の環奈ちゃん。
集客要員でしょうか。この部分は蛇足。全くなくてもよろしい。
でも今まで見たことのない苦労が滲み出た演技は新鮮で良かったですよ(^。^)
もっと言うと会長の娘(山口智子さん)の絡むシーンもいらなかった。。
削除しないで。
でも、このお二人が出ていなかったら、大分観る方減るでしょうから仕方なし。。
ただ、物語に深みを出すのならこの分の尺を広岡、翔吾(流星君)に使うべき。
広岡、翔吾の心に空いた穴を埋めるべく、その負の感情を原動力として進む姿を深掘りして欲しかった!
買い物も行かんでよし。
ラストの翔吾、佳菜子(環奈ちゃん)の部分も同様で蛇足。
桜の木の下に
広岡が倒れているシーン。。からの、
タイトル「春に散る」バーーーン!!
で清く終わり!!の方が好みでした。
と、書いてみて、マイナスに感じた所が多くて自分でもびっくり('◉⌓◉’)
あ!私、ボクシングは女では知っている方だと思います。
嫌いじゃないですから!
東京ドーム!!!の近くのジムで試合を観た事もありますw
ここまでマイナスに感じた事が多かったのに、なぜ星4にしたかというと。
流星君、窪田君、坂東君が本物のボクサーに見えたから!!
坂東君、そんなイメージなかったので、えらい驚いた!!
3人ともシャドーやサンドバッグを打つ姿も様になっていたし、流星君のあのスピードとパワーのあるパンチをミットで受ける浩市も地味にすごい٩( ᐛ )و
役者さんて本当に凄い!ここまでやっちゃえるんだもん!尊敬します。
試合シーンは圧巻です!
本物のプロ同士のファイトに見えます。
飛び散る汗!パンチの当たる音!
歪む顔!リアル過ぎて私もその場で観戦する観客になったかのようでした。
翔吾vs大塚 翔吾vs中西
この2試合は、3人の、ボクサーを演じる役者としても、作中のボクサーとしても、本気の
「負けたくない」という気持ちがビシビシと伝わってきました。
勝敗は決まっているのですが、決着がつくのが辛かったです。
見所のタイトル戦、ファイナルラウンドまでもつれるので仕方ないが、スローモーションでの処理が多過ぎて残念。
流れが変わるワンラウンド位長回しで観たかった(や、死んじゃうかw)
本当のタイトルマッチを観ている感覚にまでしてくれたので、そんな風に思っちゃいました。
そして、セカンドキャリアについて。
これは老いた元ボクサーだけの問題ではなく、老いてからどのように生きるか、どのように死に向かうのか。。
特にスポーツ選手は引退後の人生の方が長いですもんね。。
いっときの栄光と引き換えに失う物の大きさ。
日本ではチャンプになったって一生食べてはいけません。。
私なら天秤にかけてしまいそう。
「男の美学」リカイ ガ ムズカシイ
考えさせられました。
原作上下巻合わせ900ページ超えの大作を130分に収めるのは難しいですね。
ちょい浅のストーリーや構成、人物描写の不足などのマイナス面をさっ引いても役者の迫真の演技が上回り、魅せられました。
ので、星4です!
あと、これは蛇足です。すみません。
最初のパパボクサーとの試合。相手の奥さんと子供。あんな近くで、あんな応援されたら本当に嫌だw
芸人さんの「こんな応援はイヤだ」のフリップ芸みたいで笑っちゃったw
あと、流星君のファンの事を
「流星群」っていうらし〜ですw
あと、やっぱり浩市の白髪ヘアはまだ見慣れない(°▽°)
マイナスに感じた事をたくさん書いてしまいましたが、私の感じた事ですので、作品や演者さんを否定する気持ちはありません!
生暖かい目でお願いしますm(_ _)m
ジャパニーズドリーム?
ここのところ全く好印象のレビューをしていないので、
今度こそは!と意気込んでいたのだが全くの期待外れ。
ロッキーのような圧倒的な迫力は期待できないとしても、
あれだけの戦闘シーンがありながら高揚感のかけらも出なかった。
むしろ会場のチープさや観客のわざとらしさに白々とするばかり。
設定もありきたりでジャパニーズドリームには無理があった。
では、日本らしい琴線に触れるような細やかさがあったかというと、
私には微塵も感じられなかった。
佐藤浩一や山口智子など主要なキャラの設定がブレブレで、
え⁉︎と思う不可解なシーンの連続に何度も吐息が漏れた。
窪田正孝も最初はいい感じだったのに尻すぼみ、ガッカリだよ。
もう本当にそろそろポジティブな気分で映画館を後にしたい。
ボクシングでつながる2人に特化したつくり
物語的には予告編で全て。
オーソドックスなボクシングもので、あまり目新しさはなかった。
それでも唸ったのは3点。
ボクシングに関しての2人に特化したエピソード構成。
恋愛や家族のことは補助的で、いつのまにか一緒に暮らしてたりなどろくな説明もない。
これが疾走感を生み出しているのと、2人の関係性だけが浮き彫りになっていくところがよかった。
(恋愛などを重視する人には雑とも捉えられかねないが)
次に、生き生きした老人たち。
特に、かつてボクサーでもあった片岡鶴太郎の動き。
そして、ラストの世界戦の試合シーンの、リアリティある撮影。
『ロッキー』みたいなファンタジー風味ではなく、本当に世界ランカーが試合やっているみたいに見える演技、カメラワーク、照明、レンズがすごかったのだ。
もう少し、師匠(広岡=佐藤浩市)直伝の技を見せてくれたほうがいいと思ったが、やりすぎると漫画っぽくなるから、これでいいのかな?
役者と製作陣の熱量に圧倒される
ふたりの出会いからタイトル戦までの1年間にてんこ盛りにしながら、ダレずに引きつけるのは瀬々監督の力業でしょう。ギッシリ濃密な力作です。
ボクシング映画にハズレはない。そしてシンプル。リングでは倒すか倒されるか。殴り合いにのめり込む人々の生き様(時には死に様)や人間模様がドラマとなるのです。
何者でもなかった主人公が、血と汗と涙の末に夢をかなえる。胸が熱くならないわけがありません。
一方でボクシング映画は難しい。スポ根の王道を行く物語はこれまで何度も作られており、どこかで見たようなとなるからです。それだけに、試合の場面がウソくさいと全てが台無し。
このところ俳優が体作りに精を出し撮影技術も蓄積されて、「BLUE/ブルー」「ケイコ 目を澄ませて」など力作が目立つこのジャンル。本作は沢木耕太郎の同名小説を、瀬々敬久監督で映画化しました。見応え十分、プロの力を感じさせる一作です。
●ストーリー
40年ぶりに故郷の地を踏んだ、元ボクサーの広岡仁一(佐藤浩市)。引退を決めたアメリカでホテル事業を興し成功を収めていましたが、心臓に病を抱え、不完全燃焼だった人生にケリをつけようと突然帰国したのです。
かつて所属したジムを訪れ、かつて広岡に恋心を抱き、今は亡き父から会長の座を継いだ令子(山口智子)に挨拶した広岡は、今はすっかり落ちぶれたという二人の仲間、佐瀬健三(片岡鶴太郎)、藤原次郎(哀川翔)に会いに行きます。
ある夜、酒場で絡んできたチンピラを軽々と殴り倒した広岡。それを近くで見ていた黒木翔吾(横浜流星)は、そのパンチに見惚れて、思わず広岡に手を出してしまうのです。翔吾は、不公平な判定負けに怒り、一度はボクシングをやめた元ボクサーでした。しかし広岡は翔吾を必殺のクロスカウンターでKOしてしまいます。この一発で翔吾はボクシングへの情熱に目覚めるのでした。
季節が巡り、一軒家を購入した広岡は、佐瀬や藤原に広岡の姪の佳菜子(橋本環奈)も加わり、不思議な共同生活が始めていました。そこへ翔吾が訪れ、再起を期してボクシングを教えてほしいと頼み込みます。
やがて翔吾をチャンピオンにするという広岡の情熱は、翔吾はもちろん一度は夢を諦めた周りの人々を巻き込んでいきます。果たして、それぞれが命をかけて始めた新たな人生の行方は?
●感想
元ボクサーの広岡と路地裏でクロスカウンターを打ち合う翔吾。この。瞬間”が、運命を決定づける出会いのシーンが鮮烈です。
大筋は正統派。ともに不当な判定負けを喫した過去を持ち、黒木は再燃した勝負への熱意を広岡にぶつけ、老境に差し掛かった広岡は諦めた夢を黒木に託す。世界を目指す2人に、父子のごとき絆が生まれるのです。
世代間の継承という主題は、老いたロッキーが青年を指導する「クリード チャンプを継ぐ男」を連想させます。味わいはもう少し複雑。翔吾にとっては人間的成長を遂げる通過儀礼の一年間でもある。対して仁一は黒輝明の「生きる」ではないが、残された人生でどんな仕事をするべきかとの問いに向き合うのです。
原作では、老いた男の生き方、あり方をテーマにしたところに新しさがありました。映画は、一度はボクシングを諦めた青年の再起に同じぐらい重きを置いたのです。
定番の展開となり、盛り上がりは保証されましたが、同時に既視感も出てしまいました。また主人公が2人になったため、感情が迷子になってしまいました。その点は難しいところです。
惜しむらくは、ドラマ部分が駆け足なこと。上・下巻ある長い小説を、2時間13分の映画に収めたせいかもしれません。翔吾の恋人になる佳菜子(橋本環奈)、仁一に複雑な感情を抱くジムの会長、かっての仲間との人間模様にまで踏み込んだせいで、話が散漫になったきらいがあります。エピソードを絞るか、2部作にしても良かった気がするのです。 とにかくこれだけのドラマを、黒木と広岡の出会いからタイトル戦までの1年間にてんこ盛りにしながら、ダレずに引きつけるのは瀬々監督の力業でしょう。ギッシリ濃密な力作です。
●素晴らしい横浜流星の役作り
ともあれ横浜がいい。最近の日本のボクシング映画では、「あゝ、荒野」の菅田将暉、「アンダードック」の森山未束も良かったですが、それ以上でしょう。肉体は本物のボクサーのようで、筋肉を付け鍛錬を積んだのが分かります。パンチにもキレがあり、走るシーンまで美しいのです。
試合場面では音といい動きといい、本物らしく見せる工夫が十分。クライマックスの20分にわたる死闘は、まさに手に汗握ります。激しくストイックなトレーニング風景など、定番要素は十二分に盛り込まれ申し分ありません。
原作では脇役だった中西を敵役に格上げし、翔吾陣営を挑発する世界王者にしたのもいいアイデアでした。演じた窪田正孝の小憎らしい演技と持ち前の身体能力も手伝って、ピリピリとする打ち合いとなりました。最後のスローモーションの多用と判定による決着を除けば、ボクシングシーンに不満はありません。
●広瀬は監督の分身
老いや死をどう迎えるかの美学を描いた原作を踏まえた本作は、どこか黒澤監督の『生きる』につながるところを感じました。特に唐突に描かれるラストシーンはまさにそれです。
瀬々は仁一に自分と同じ大分出身の設定を付与し、同い年の佐藤に主役を託しました。広岡がボクシンから離れていた空白期間は、瀬々が映画作家として日本社会の軋みを描き続けた時期と重なります。そして今、分断や格差を埋める架け橋となり、チャンスを与える存在となって本作に取り組んだのです。
広岡に瀨々監督を重ねて鑑賞すれば、きっと瀨々監督の映画の情熱を感じることになるでしょうし、瀬々個人の“うた”が確かに聞こえてくることでしょう。
日本的ボクシング映画
しょぼい
黒木がチンピラかぶれだったのに、橋本環奈の前では急に好青年になってるのに、おい!キャラ変わりすぎるでしょ!
黒木があれだけファイト見せたのに、じいさんは手術怖いって手術せず桜の木の下で花びらまみれで野垂れ死にするし。
たとえ死んだとしても、最後のシーンがしょぼい。
橋本環奈がもう家を出た黒木に走りよって新妻気取りでお弁当を持っていくのがわざとらしいし、おそらくマドンナ役なのに、ひたすら暗いのよ。
黒木はチンピラかぶれじゃなく、黒髪で話し方も好青年になり、リクルートスーツ着てるし、結局サラリーマンになるんかーい。
通勤途中、知らないじいさんとぶつかりそうになり、「見えてないんかい!」とキレられるシーンあるけど、黒木の表情だけで、見えてないと分かる表情やらが欲しかった。黒木の演技力が乏しい。
しかも、通勤途中、死にものぐるいで走った土手にきて、ずっと後ろ姿だけで、突然「走りゃいいんだろっ」とチンピラ言葉になり、ジ・エンド。
後ろ姿じゃなく、黒木の表情で様々な思いを伝えたっていいし、幻、幻覚、妄想、せめて空耳でじいさんの声くらい流しても良いよね。
1枚の桜の花びらで始まるなら、最後は桜の花吹雪くらい散らしても良いと思う。
映画を観る人の気持ちを考えていない。今時、読解力が必要な映画はめんどくさい。
非常に後味が悪い映画です。
邦画久々に観たけど、相変わらずしょぼいのにガッカリした。
レビューが良かったから期待した私が浅はかだった。
結局は、若造のわがままに振り回されて老人が死に、自分は片目になりボクシングも出来ず、そこまで犠牲を払ってようやくサラリーマンになると言う薄っぺらい映画です。
迫真の演技
すっぴんのハシカンは最高❤️
なんだけど、、、
うーん、ストーリーがベタベタなのは分かりきっていたので、特にマイナスにはならないがw、例によって「制作者側は明白のことなのに、観客にはうまく伝わっていない」というシーンが見受けられた。
例えば冒頭の土手をダッシュするシーン。6本しか出来ない黒木に「10本出来るようになってからだ」と突き放すのだが、その“ダッシュ”の苛酷さがイマイチ分からない。草むらをハアハアしながら走っているだけで、ロングも無ければ主人公目線も無い。
そして最初の試合のシーンで、相手の妻子が必死になって応援している姿を見て黒木のラッシュの手が緩んだかと思えば、最後は叩き潰すような流れになり、ジンに呆れられて叱責されるが、何がいけなかったのか私には良く分からなかった。
父親(ジンの兄)が死んで大分の実家が解体されてしまったハシカンが、(そうなるだろうけど)いつの間にかシェアハウスに住んでおり、いつの間にか黒木と恋仲になっているのが唐突すぎる。スマホで「これが広岡家の最後です」というだけでなく、少しは説明を入れてよ。
最後の日本人同士の世界タイトル戦なんて武道館や国技館、横アリレベルのデカい箱でやるのは当たり前で、あの三千人くらいの狭い会場なんてあり得ない。その辺りに日本映画の限界を見るしまう。
…とクドクドと言っては見たけれど、全体的には良く出来ていたと思う。ファイトシーンはどれも素晴らしかったし、最後のシメもアレしかない。
そして、タイトルにも書いたが、すっぴんの橋本環奈は素晴らしい。つい先日はミノムシのような汚い格好で出番も少なかったのに…これぞハシカンここにあり!かと。
Life Goes On
格闘技経験者が集う渋さ全開のボクシング映画。宣伝があまりされてないのがもったいないくらいの良作でした。
若い頃にボクシングを辞め、アメリカに渡米し、再び日本に帰ってきた仁一、居酒屋でパンチを食らわせた翔吾が弟子入りを志願し、お互いの夢のために歩き出すが、仁一は病気を抱えており…といった感じのストーリーです。
ボクシング1本に絞りつつ、登場人物のバックボーンを掘り下げ、試合と共に成長を描くというのはとても王道ですが見やすくて良かったです。少し端折りすぎかなーと思う場面があったのは惜しかったです。
役者陣の熱がビシビシ伝わってきました。横浜流星さんの肉体は完成されてますし、パンチのキレや避ける動作にとても見応えがあり、プロのライセンスまで取っちゃってるので本格的にこういうアクション路線に舵を切ってきたなという印象です。獣のような目つきで対戦相手を捕らえにいくのがこれまたカッコいいです。
佐藤浩一さんのザ・師匠な風格が本当たまらないです。パンチのキレも健在ですし、時に厳しく、時に優しくを貫く姿が渋かったです。
片岡鶴太郎さんの気のいい爺ちゃんぷりも見応えありです。ギスギスした空気を分断し柔らかな雰囲気にして、対立が起きると宥める側に回る、この作品の良心と言っても過言じゃない存在だと思います。
橋本環奈さんは普段の役柄とは全然違う幸薄そうな表情に仕草、ここまでの顔を広げられるとは…恐れ入りました。どんどんこういう役が増えていけばいいなと思いました。
窪田正孝さんの強キャラ感も素晴らしかったです。もう少し登場頻度が多ければ深掘りできたのになとは思いましたが、チャラさと強さを同時採用していてそれでいてボクシングも達者ときたらもう文句の付け所なんて微塵もありません。
翔吾vs中西の対戦、これは激アツでした。真っ向勝負、小細工なしのぶつかり合いに観ているこちらも固く拳を握りしめていました。
仁一から学んだ攻めと守り、これまで戦ってきた相手との経験を活かした考えるボクシングと直感のボクシングをフル活用して挑む姿が絵になっていました。目を怪我して失明の危機がありながらも、その傷を増やしながらも勝負を止めない姿は心を打たれました。血を垂らし吐きながらも、お互い生きるために戦い続ける、「勝負」ってこれだよなと再確認することができました。防御を捨て、フルアタックで打ち込むシーンは鳥肌物です。
ただ、終盤はスローモーションでの打ち合いになってしまったので、そこまでの高ぶりがシュンと沈んでしまったのが残念でした。最後まで魂の殴打を続けて欲しかったんですがこればかりは仕方がないのかなと思いました。観客をマジマジと映さんでもいいのになと5分くらい思っていました。これは邦画の悪い癖です。
「春に散る」というタイトルの時点で、ある程度どのような終わり方になるかは予測できていましたが、桜の木に沿って倒れている仁一の姿と共にタイトルが出る流れは味があるなと思いました。その後に翔吾の半年後の姿が映されますが、ここは正直無くても良かったかなと思いました。未来へ繋ぐという演出だとは思うんですが、そこまで映さなくていいのにという気分になってしまいました。
地味に食事を大事にしているシーンが多く描写されていたのが好印象で、仁一特性のカレーがまず美味しそうですし、佳菜子の手作りのお弁当がとても美味しそうでしたし、食堂で出されるランチも美味しそうでしたし、ここの力の入れっぷりはプラス評価です。
熱を帯びた邦画を観れてとても良かったです。血で血を洗うボクシング、全員が命をかけて映画に向き合ってくれたからこそ今作が誕生したんだと思います。まだまだ邦画も強く進み続けてほしいです。
鑑賞日 8/30
鑑賞時間 12:30〜14:55
座席 J-28
23-103
後悔しない生き方
ドラマとして良く言えばそつがない。人物像がしっかり描かれていて
納得はした。しかし決して悪くない代わりにドラマ部分は想定の範囲内
というか、正直言って感情を大きく揺さぶられることはなかった。
その代わりボクシング場面は心に訴えてくるものがあった。
一番の見所は役に真摯に取り組んだ横浜流星のボクサー姿。過去に
様々な役者がボクサーを演じてきたが、素人目にもそれっぽく見せて
いるだけ?と思う人もいた。その点彼は別格だった。
役作りでトレーニングするのは当然として、日本ボクシングコミッション
(JBC)のC級(4回戦)プロテストに合格したというのだからどれほど
本格的に役になりきろうとしていたかが分かる。
鍛え上げた肉体、切れのある動きもそうだし顔付きや話し方まで
そこにいるのは「ボクサー・黒木翔吾」だった。
一度は挫折しながらも広岡仁一と出会い、一から出直して世界
チャンピオンを目指す。街のチンピラ風から始まり、ボクサーとして
人として成長するに従って顔付きが変わり貫禄も出てくるところが良い。
対戦相手役の窪田正孝・坂東龍汰も良かった。そう言えばボクシングを
題材にした映画でトレーナー役でよく見かける顔がいるなと思ったら
松浦慎一郎という人で、出演すると同時に役者へのボクシング指導も
していたそうだ。この人の貢献も大きい。
登場人物それぞれが心に傷を負っていたり身内に先立たれたりしている。
自分自身の健康状態が危うい者もいる。しかしどんな境遇にあっても
必死になって頂点を目指したり、あるいは目指している誰かを支援する。
そんな前向きな人生を生きている人達はやっぱり輝いて見える。
世の中は不公平だから努力がすべて報われるとは限らないけれど、
目標を定めて着実に進んでいく人にはその人しか味わえない達成感や
充実感が待っている。この映画は黒木翔吾や周囲の人間関係を通して
後悔しない生き方というものを見せてくれた。
俳優・横浜流星自身が、「後悔しないように全力で生きる」とコメント
しているのも黒木翔吾の人物像と重なって共感できる。
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終映後場内が明るくなった時、原作本(ハードカバー)を表紙が見える
ように抱えた初老のおじさんがいて、周囲のお客さん(面識なし)に
「こんな面白い映画久しぶりに見た!」と言って同意を求めていたのが
微笑ましかった。そのおじさん、劇場スタッフにも同じことを
言っていた。原作ファンとして相当嬉しかったんだろうな。
骨太の見応えある映画
桜の花びらが印象的
春に散り、また何度でも咲け
正直、ストーリーとしてはありがちで、テンプレといってもいい。
しかし、奥行きのある演技と熱量を感じる演出が、作品を非凡なものにしていた。
出演作を見るたびに、横浜流星が分からなくなる。
そのくらい、本作では身体も眼差しも、熱く真っ直ぐなボクサーそのものだった。
窪田正孝も、ジムに顔を出した際の去り際と、わずかな練習シーンで中西のイメージを一変させる。
舐めた態度は彼なりの鎧だったのだろう。
本作に出てくるボクサーは、翔吾と戦ったパパさん含めてみな必死である。
最後の試合も、お世辞にも綺麗ではなく、後半にいくにつれて泥試合となり、判定。
(判定は広岡と翔吾の過去に絡むのもあるけど)
そのあたりも人間臭くて、観ていて熱くなる要因でもある。
橋本環奈はいつになくメイクが薄く、新鮮だった上にキャラにも合っていた。
しかし、母は結局会場に行かないし、立ち位置的に必要だったかは疑問が残る。
むしろラストは彼女の支えなしで翔吾が独りで立っていた方が、より強い演出になったようにも思う。
哀川翔のキャラもあまり存在意義を感じなかった。
(どちらも演技はよかったんですよ)
逆に片岡鶴太郎は、佐藤浩市より数段元ボクサーっぽかったし、いい脇役だったと思う。
広岡家での疑似家族の形成など空白も多いが、演技の厚みでカバーされていて薄さを感じない。
試合の臨場感だけでなく、全体に熱量を感じる快作でした。
佐藤浩市と横浜流星、二人の演技だけで満点をつけられる
※ボクシングはミリしらの人が書いてます
※ドラマ含めて実写映像が苦手な人が書いてます(あまり実写事情を知らないです)
近所の終映まで何回か見ると思うのですが、あまり入りがよくなかったようなので、鑑賞を迷っていらっしゃるどなたかのお耳に届けば…という気持ちで理解が浅いながらも初見でレビューを記載します。
酔っ払ってるので誤字脱字あったらご容赦ください。後ほど気づけば直します。
【春に散る】は、「純粋である」ことの儚さと尊さを、極限まで追求した作品です。
予告編での役者さん達の演技が強く印象に残っており、公開を待ちわびていました。結果、期待を超える出来でした。
表題のとおり、満点としたいと思います。
<最初に>
格闘技苦手、ボクシングとか殴り合いでしょ…という方でも見れる方が多いのではと思います(自分がそうなので)。
出オチですが、試合でもさほど悲惨なシーンはありません。作品のテーマも格闘技じゃないです。
もし作品が気になっているのなら、むしろそこで止まってしまって見ないのはもったいないです。
<最大の見所>
なんといっても、主演二人の演技力に尽きます。
話は何も想定外は起きない感じですが、この作品では、ストーリーの意外性や複雑さはかえってノイズになると思います。
佐藤浩市も横浜流星も映画全編、どの場面も一分の隙なく、予告の高品質を貫き通していました。彼らから目が離せないです。
・物静かでインテリの雰囲気もあるビジネス成功者、なんでこの人が闘拳やってたねんていうトレーナー役の佐藤浩市
・貧しい中でも限りなくピュアでまっすぐな、護る拳のボクサー役の横浜流星
生老病死、自分ではなにひとつままならない中、この二人の「生」が交錯したごく限られた時間での、極限まで不純物を取り除かれた透明感がすごすぎました…青春時代ではよくあるテーマと思いますが、親子よりも年が離れた世代間でここまで峻烈に輝けるものなのか、と衝撃を受けました。
ただこれは、佐藤浩市と横浜流星「だから」表現できた世界観だと思っています。おそらく、演出も最大限彼らを活かすことに専念されたのではと拝察します。
オレの親父になってよ…、ひとつのプライドも気負いも虚飾もなく、共に過ごした何千何万の思いをただこの一言にのせて、まっすぐに佐藤浩市に乞える横浜流星の技量の凄さ。
対して佐藤浩市は、死期への悟りから、これ以上になく優しく、懇請を拒絶します。これ以上奪うものを相手から増やせないという心情が漏れ聞こえてくるような、巧い演技です。
演出やカメラワークは完璧に二人を生かした構成になっており、非常に美しい場面でした。
この場面を見るだけでも、二千円を払う価値があります。
自分ではなにひとつままならない、というのはメインキャストも共通していて、メインキャスト陣も非常に好きでした。
かつての栄光から落ちぶれた元ボクサーの鶴太郎さんと哀川翔さん、親の介護で人生を台無しにしてきた環奈ちゃん、みんな、弱い糸のように諦念のなかを漂いながら、それでも優しくまっすぐ、自分にとっての大切ななにかを守るために強く生きるさまを好演されていて、心から幸せを願いたいキャラクターたちでした。
<ただ残念…>
否定的なことなのでちょっと言葉を濁しますが、「あしたのジョー」では葉子さん役に当たる方は好きになれなかったです…役のせいか役者さんのせいか明文化が難しいのですが、他のかたの配役でみたかったという感想は正直強く、周りがレベル高すぎてだいぶ差があったように思います。予告編でも唯一違和感があったちゃそう。
まあでもメインキャスト中ではあまり重要ではない役だったので、ここは我慢内の範疇としました。
<最後に>
桜が、本作のテーマになっています。
どれほど忙しなく生活していたとしても、来年もまた満開の桜を見たい…本作を見て、そう思いました。
春の嵐が、花をすべて散らしてしまう前に。
熱い試合だった
全262件中、121~140件目を表示