「要所の違和感」春に散る その眼差しさんの映画レビュー(感想・評価)
要所の違和感
広岡が40年ぶりに帰国した理由は明確には語られず。かつての盟友と再会し、一緒に残りの人生と向き合おう、と同居生活がスタートする。
(広岡は、大きな病を抱えて孤独に死ぬことが怖くなったんだろうと解釈した)
そんな折、偶然目の前に現れた黒木。広岡からボクシングの指導を嘆願する黒木に対し、消極的ながら、過去の自分と重ねるようにボクシングの熱が増していく。
(この辺りまではスムーズに飲み込めていたけど、途中早送りしたのか!?と疑いたくなるような違和感が連続する)
父親(広岡の兄)を看取った佳菜子は、家を取り壊して、その足で黒木のタイトル戦を観戦する。そして、佳菜子も同居人となり、黒木と佳菜子は急接近していく。
タイトル戦に勝利するも網膜剥離による失明のリスクを背負う黒木。世界戦に挑みたい黒木、治療を優先させようとする広岡は衝突。広岡は新年早々に持病が悪化し、手術をすれば心臓が再び動く可能性が低いことを分かっていた。広岡は黒木の手を握って「一緒に闘わせてくれ」と本心を漏らす。
最終的に黒木の世界戦挑戦を後押しすることになる広岡...。そして、映画タイトルの通りの結末へ進んでいく。真田の「あなた(広岡)は黒木を利用して満足したいだけ。黒木はあなたが辞めさせるべき」という皮肉めいた言葉は、結局広岡にも黒木にも届かなかったけど...。
(私もそうかなと思ってしまった。多分、私には広岡の迷いや葛藤が理解できなくて、中西と黒木の壮絶な世界戦も全然熱くなれなかった)
世界戦の直後、自分の死に場所を探す広岡。心も晴れやかに佳菜子と新生活をスタートさせる黒木、でも右目は...。
(佳菜子、藤原、真田らの言動が違和感の原因だろうか?応援したいのか、邪魔したいのか、フラフラしていてストーリーに没入する機会を失ったように思う。世界戦終盤、顔面にパンチをもらい過ぎている黒木、失明するのが分かっていて試合を止めなかった広岡。今やるしかない!という気持ちは伝わってきたけど、本人が満足していればそれで良し!と共感はできず。確かに春に散ったな、という気持ちしか残らなかった映画)