「題材は良い」春に散る 藤崎修次さんの映画レビュー(感想・評価)
題材は良い
特に実際にリングでの試合シーンを演じる横浜流星、窪田正孝、坂東龍汰の仕上がりぶりは本物のボクサーと言ってもいいレベルになっていたと思う。
窪田正孝は実際にプロライセンスも取ったみたいだし。
ただ、全体的な内容は何か薄いかな。
全ての描写があっさりし過ぎていているというか、唐突感のある場面も多過ぎて、観ている側としてはいま一つ感情移入していけなかった。
例えば、
・ ボクシング界と距離を置いていた広岡(佐藤浩一)が帰国早々、かつてのジム仲間の佐瀬(片岡鶴太郎)、藤原(哀川翔)と同居生活を考えたところ
・ 広岡が拒絶していた筈の黒木(横浜流星)の指導に乗り出すところ
・ 広岡の姪(橋本環奈)が黒木に思いを寄せていくところ
・ 黒木のボクシングスタイルを嫌い、入門を拒否した真拳ジム会長・真田(山口智子)がクライマックスでは黒木を応援しているところ
・ 真田会長がジムの功労者三人のうち藤原だけはいつの間にかトレーナーとして受け入れてるところ
などなど。
黒木と中西の試合シーンのロッキーシリーズを意識したような描写も軽さを助長していたかな。
辛辣な言い方だが、ボクサー役の演者たちの熱量を雑な脚本と演出が削いでしまっているような印象だったかな。
ただ、横浜流星はひたすら、カッコいい。
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トミーさんのコメント
2023年8月29日
共感ありがとうございます。
原作の脚色は結構難物だったんだろうと察しました。パラパラ読みですが、シェアハウス参集までほぼ文庫1巻を費やし、三羽烏どころか四天王!
試合演出では、どうしてもロッキーを脱せられないんでしょうね。