「あちらがピンクの世界なら、こちらは灰色の梶原一騎ワールド」春に散る グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)
あちらがピンクの世界なら、こちらは灰色の梶原一騎ワールド
この監督、1960年生まれか。
原作未読なので、原作者と監督のどちらがどうなのかは分かりませんが、間違いなく梶原一騎の世界に影響を受けていると思います。
大リーグボール3号で左腕の神経がボロボロになりながらも完全試合を達成した星飛雄馬。
最後の投球で遂にビシッと切れて再起不能(その後の新巨人の星のことはさておき)。
パンチドランカーの症状が顕在化してるのに、最後の試合に臨み、燃え尽きた矢吹ジョー。
選手生命を賭けて、世界チャンピオンに挑む横浜流星と星飛雄馬。
命を賭けて、セコンドとして世界に挑む佐藤浩市と矢吹ジョー。
栄光を掴むと同時に滅びゆく男の美学。
その生きざまに惹かれる女。
だけどそこはリングに立つ男にしか分からない世界。
見事に重なりませんか。
グレシャムの法則さん、コメントありがとうございます。
>栄光を掴むと同時に滅びゆく男の美学。
ああ、これです。この感じ。
これを体現した作品なのかな、という気がします。
ラストに、残された者たちの再生の姿を描いたのも
滅んだ男への「餞」なのだろうか。 なんて
そんなことも思いました。
役者力って、凄いと本当に思います。
最近急激に老いを感じさせるようになった佐藤浩市に、観る前は少し不安もあったのですが、どうしてどうして、ミット受けもサマになってました。役者の成り切りって凄いです。
そこに役者自身が醸し出す雰囲気が伴って、スターなのですよね❗
梶原一騎は破滅こそが男の美学だと考えた人。
原作者の沢木耕太郎は、梶原一騎をおそらく肯定しないと思いますが、「あしたのジョー」は好きなはずです。
梶原一騎の美学にちばてつやの人間愛が重なった軌跡の一作ですね「あしたのジョー」は。
瀬々敬久も明らかに「あしたのジョー」世代。もちろん「巨人の星」世代でもあり、「タイガーマスク」世代でも「愛と誠」世代でもありますます(当然だけど)。
この世代はどう抗っても「あしたのジョー」の呪縛から抜けられないのです。
それでも、沢木耕太郎も、瀬々敬久も、脱ジョーを目指したのだと私は感じました。
コメントありがとうございます。
あのスローのシーンは完全にコントだと思います。ノックアウト直前の最後のパンチなら。すごく良いのですが、あれだとパンチが効いているのかすらわからず、笑うしかありませんでした。
フロイドメイウェザージュニア、今は銭ゲバで弱い異種格闘技選手をいたぶって、小遣い稼ぎをしています。井上選手に見習えとは言いませんが、数少ない成功者の一人です。「春」の二人とは何光年もの差があるのでしょう。
日本のボクシング物は大体、破滅的な結末ですよね。今作の二人の主人公はそれでもいい! でも白木のお嬢さん(山口智子)はいつも置いてきぼり。井上選手はメイウェザーみたいになれないですかね~