「ボクシングへの情熱が燻りつづける男たちの、命をかけ再生する姿が濃密に描かれた人間ドラマです。見応え充分です。」春に散る もりのいぶきさんの映画レビュー(感想・評価)
ボクシングへの情熱が燻りつづける男たちの、命をかけ再生する姿が濃密に描かれた人間ドラマです。見応え充分です。
予告を観て気になっていた作品です。
横浜流星がボクシングのプロライセンスを取って
撮影に臨んでいた とも聞いていたので期待大。
ぜひ観なければ、というわけで鑑賞です。・_・
※大雨やらなんやらで、鑑賞機会を2回見送った末に
三度目の正直でやっと観れました。 ほっ・_・♪
期待したよりも濃密な人間ドラマと、
期待した以上のボクシングシーンで出来た作品でした。
迫真の世界タイトルマッチに拍手です。 \・∀・/
◆ 濃密な人間ドラマ
佐藤浩市と横浜流星のダブル主演。
との宣伝でしたが、鑑賞して分かりました。
物語の主役は、佐藤浩市です。
40年くらい前、日本のボクシングジムに
籍を置き、所属したジムの「3羽ガラス」と呼ばれた男が
広岡仁一 (= 佐藤浩市)。アメリカに渡る。
何試合目かに判定で敗れ、そのまま引退。。あら
その後は日系企業のオーナーに拾われて
ボクシングとは無縁の日々を過ごしてきた。
40年後の現在、その企業も辞めて日本に帰国。
東京のどこか、下町風の居酒屋。
一人で酒を飲む広岡(佐藤浩市)。
店内には、バカ騒ぎする3人組 …。やかましいぞ -_-〆
注意する広岡の後をつけてきた3人組が絡む。
あっさりと返り討ちにする広岡。おぉ。つよい。
その場面を見ていた一人の若者。
前に立ちはだかり、拳を構える。 それを見た広岡も。
そして一瞬。
あごに強烈なカウンター。
倒れたのは若者の方だ。
” 大丈夫か? ” と声をかけ、立ち去る広岡。
今のパンチは何だったのか。凄い。やられた。。
広岡の強さを感じとったその若者が黒木翔吾(=横浜流星)
黒木は広岡への弟子入りを密かに決意する。
黒木もまたボクサーだった。
弱小ジムに所属していた彼は、
" 試合が判定になると、大きなジムの選手に勝てない "
そんな境遇が嫌になり、リングを離れた。。あら
この二人が出会った事で
過去にボクシングに情熱を傾けた男と、その仲間たち
現在もボクシングに情熱を燃やし続ける男と、現役のボクサーたち
それぞれの思惑が絡み合って
濃密な人間模様が描かれる作品でした。
◆ 期待以上のボクシングシーン
迫真のボクシングシーンでした。
横浜流星演じた黒木翔吾。
窪田正孝演じた中西利男。
この二人の世界タイトル戦は圧巻でした。天晴れ。
俳優が本業のハズのこの二人ですが
どこからみても「ボクサー」の体つきでした。
横浜流星。
こちらは元々空手をやっていて、
格闘系の演技に定評があるのは知っておりますが、
この作品のためにボクシングのプロライセンスを
所得するほどの力の入れようだったとか。
それにしても見事な肉体に仕上げてました。
腹筋と背筋がきれいでした。拍手。
一方の窪田正孝。
こちらも、より「ボクサー」に成りきってました。
もともとがスリム体型の役者さんとは思うのですが、
こちらも無駄肉の無いボクサーの体型に見えました。
腹筋割れてました。拍手。
(↑ 腹筋しか見ていない訳ではない…)
あと、佐藤浩市。
元ボクサーとして頂点を目指しながら挫折した男。
目の前に現れた若者の熱意に負けてトレーナーに。
闘い方の技術的指導をする場面がいくつかありました。
さりげなく演技しているように見えましたが
これも相当練習したのだろうなぁ、と推察。拍手。
◇
世界タイトル戦が終わり
試合に関わった人達それぞれの状況に変化があり
そして新しい日常が始まる場面を描いて終わります。
勝った者。失った者。どちらに対しても、
暖かな陽射しが降り注ぐような、
暖かさを感じられるエンディングだったと思います。
見て良かった。
満足です。
◇あれこれ
■沢木耕太郎
この作品の原作が沢木耕太郎。
スポーツドキュメンタリー作品を多く書かれた作家さん
との事なので、名前は存じあげていたのですが、読んだ
作品がありません。
作品名を見ていたら、面白そうな作品があり、購入。
「敗れざる者たち」
ああ、また一冊読む本が増えてしまった…。(頑張ります)
■三羽がらす
モデルとなったボクシングジム、「帝拳」とかでしょうか。?
「三羽ガラス」も実際に昔居た気がするのですが
誰だったかなぁ …と遠い目。
片岡鶴太郎? では無い気が…
■覚えてろ のその後
冒頭飲み屋でのシーン。
佐藤浩市演じる広瀬にバカ騒ぎを注意された3人組。
逆恨みして絡んだ挙げ句、あっさり返り討ちに…
おぼえてろよの捨てぜりふで退場。
この3名、この後ストーリーに絡んでくるのでは と
折角覚えていたのに出てきません。
覚えていたけどザコでした…。 ・-・ (悔しい)
◇最後に
■「春に散る」
世界タイトル戦が終わり、黒木の入院した病院を出た広岡。
玄関前には、どこからか飛んできた桜の花びら。
とても綺麗な
そして…
地面に横たわった広岡のシーン。頭上には満開の桜の花。
西行の和歌が頭に浮かんできました。
「 願わくは 花の下にて 春死なん
その如月の 望月のころ」
こんな終焉も、情緒的には有りかもしれません。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
こんばんは。
もりのいぶきさんからザコという言葉が出て来て、意外で笑ってしまいました(^。^)
先日TVに出ていた流星君。
プロのライセンスまで取って、本当の試合をしたくならないのか?と、問われ、やりたいです。でもやるなら役者は辞めます。失礼なので。と言っていました。流星君ストイック過ぎる!
試合は観たいけれど役者は辞めて欲しくないですよね泣
本作、素晴らしかったです!
コメントありがとうございます!
(つ≧▽≦)つ
彼の不穏な空気感抜群でしたね!
ダース・ベイダー
かぁ。。。
なるほど(◔‿◔)
そ~ゆう立ち位置と存在感あるね!
共感ありがとうございます。
評判の悪い“半年後”の描写ですが、ボクサー流星は終わっても、サラリーマン流星は始まったばかり・・春になればいつも聴こえる浩市さんの「走れ!」の叱咤。真っ白に燃え尽きるだけが華じゃないと最近、思い始めてます。
西行の和歌、ピッタリですね。
ご紹介ありがとうございます。
しかし今日も暑いですね。
このまま温暖化が進むと、そう遠くない将来、夏に散る、なんてことになりそうです。