「【”一度しかない今を大切に生きる。”再起したボクサーの生き様と、彼に感化された様々な人の生き様を描いた作品。横浜流星と窪田正孝のボクシングシーンのリアルな凄さと、役者根性に敬服した作品でもある。】」春に散る NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”一度しかない今を大切に生きる。”再起したボクサーの生き様と、彼に感化された様々な人の生き様を描いた作品。横浜流星と窪田正孝のボクシングシーンのリアルな凄さと、役者根性に敬服した作品でもある。】
■不公平な判定で負けた事をきっかけに渡米し、40年振りに帰国した広岡仁一(佐藤浩市)と、同じく不公平な判定で負けた事で一度はプロボクサーを辞めた黒木翔吾(横浜流星)の偶然の出会いと、広岡が黒木に放ったクロスカウンター。
黒木はダウンするが、再度ボクサー魂に火が付くのである。
◆感想
・沢木耕太郎の大作を2時間少しの上映時間にまとめているので、やや詰め込み感は否めない。
が、それでも今作が見応えがあるのは、黒木翔吾を演じた横浜流星と、WBAフェザー級チャンピオン中西を演じた窪田正孝、そして黒木の最初のライバルだった大塚を演じた坂東龍汰の鍛え抜いた身体と、邦画では珍しい、長くてリアルなボクシングシーンが後半展開されるからである。
ー 横浜流星は、フェザー級基準値である57.15キログラムに合わせてトレーニングしたそうである。
長いボクシングシーンが映画で珍しいのは、当然であるが役者さんの体力が持たないためと怪我を恐れてである。-
■今作の圧倒的な見所
・当たり前であるが、天才肌のWBAフェザー級チャンピオン中西と、黒木祥吾の決戦シーンである。
横浜流星と、窪田正孝の鍛え抜いた身体と軽やかなフットワーク、そしてそこから繰り出されるフック、ストレートパンチ。
リアリズム溢れる最終ラウンドまでの二人の闘う姿には、素直に敬服する。
邦画俳優で、あれだけのボクシングシーンを演じる事が出来る人って何人いるんだろうな、と思う。
横浜流星は世界空手選手権大会で優勝した経験を持つ”格闘家”の経験が大きいんだろうな。役作りの際にも、”格闘家の様な生活を送っていた。”そうである。
・黒木翔吾と出会い、絡み、自身の生き様を再び見出していく、広岡の姪、カナコを演じた橋本環奈や、黒木の母を演じた坂井真紀や、広岡と且つて三羽烏と言われていたサセを演じた片岡鶴太郎やジローを演じた哀川翔や、彼らが所属していたジムを引き継いだレイコを演じた山口智子(久しぶりに拝見。不老の人である。吃驚。)などサブキャラの面々も良い。
・心臓を患っていた広岡仁一が、桜の花の舞い散る中、桜の木の根元で事切れていたシーンもしんみりする。
ー 本望だったんじゃないかな・・。-
<ラスト、眼を痛めていた黒木翔吾が、カナコにお弁当を貰って背広をビシッと着て、再々出発するシーン(いつの間に!)も良かったな。
そして、広岡仁一の”走れ!”という声が聞こえたかのように、爽やかに晴れ上がった空の下、堤防を走り始める黒木の姿。
今作は、邦画のボクシング映画の逸品だと思います。>
共感ありがとうございます。
グローブ着けて制約下で殴り合う・・ボクシングには他の格闘技とは異質な魅力があると思います。この作品は、選手、指導者、家族、観客、興行側とそれぞれの視点が有ったと思います。