マルチバース
2019年製作/カナダ
原題または英題:Multiverse
スタッフ・キャスト
- 監督
- ガウラブ・セス
- 脚本
- ダグ・テイラー
- 撮影
- アイバン・ゲコフ
- 編集
- アレックス・コールソン
-
パロマ・クワイアトコウスキ
-
ロバート・ネイラー
-
マンロー・チェンバーズ
-
サンドラ・メイ・フランク
-
マーリー・マトリン
2019年製作/カナダ
原題または英題:Multiverse
パロマ・クワイアトコウスキ
ロバート・ネイラー
マンロー・チェンバーズ
サンドラ・メイ・フランク
マーリー・マトリン
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マルチバース 多宇宙 バブル宇宙論 パラレルワールド
このなんとも不可思議な世界観を表現したSF作品
SF作品らしい構図が生かされてよくできている。
これに関わる研究をしているという点が出発点であって、情報ナレーションも兼ねていて面白いが、実際にその理論的物証に行きつくことは難しいだろう。
できないと言った方が近い。
ロレッタの理論とそれを実証するための装置はありえない。
1997年に起きたニューヨーク大停電
これには物質転送実験が関わっていたとする都市伝説が残っている。
このようなものと自分たちのマルチバース理論の展開から、起きてしまった事故につなげたほうが良かったかもしれない。
しかしそこを何とかしなければ、幽霊好きが幽霊を見たとか、UFO好きが宇宙人と出会ったという一昔前のプロットを使うことになる。
そのぶっ飛んだ理論だけが惜しいと感じた。
さて、
この問題は本当に堂々巡りになってしまいかねないSFの鉄板の型
もうすでにメビウスの輪のようなっていて、スタート位置そのものがわからなくなっている。
あの事故の際、すでにメタバースが起きていたことになるが、実際には起きてなどいなかった。
ではいったい彼らはどこで出現したのか?
理論の完成と共に出現したのだろうか?
しかし、これがSFの面白さだろう。
物語の途中でニュース映像が差し込まれるが、崖から落ちて爆発炎上した人たちの身元の特定に四苦八苦していると流れた時点で、最後のオチが想像できるが、それくらいがちょうどしいスタンスだろう。
この作品を面白くさせているのは、4人の登場人物そのものだろう。
最初に死んでしまったロレッタ
まったく同じ人物の登場でパニックになる3人
死んだ彼女だけがそうなったのかと思ったら、3人分登場する。
そこの事実を告げる「金魚」の存在
どんな法則か知らないが、その法則が働く所為でどちらか一方は死ぬ運命になる。
パラレルから来た3人は全く同じではなく、少々違う。
そして葛藤が始まる。
この葛藤が三者三様だったのは非常によかった。
別のニュース報道では、彼らの大学で火災が発生して焼死体が発見されたニュースが流れる。
同じように見える人物でも性格が違うという設定は見事だと思う。
後半の予想通りの格闘シーンは、視聴者を騙す最大の伏線だった。
そしてあの忌まわしい道
個人的には最後は全く同じではなく、ロレッタの腕は掴まないようにした方がよかったように思うが、これについては作り手も再三迷ったことだろう。
では、
SF
意味不明な理論に基づいて製作された謎の装置
同じ世界が多数存在するのであれば、同時に他の世界にいる自分たちも同じ実験をしているに違いないという発想。
片方だけなら力不足かもしれないけど、両方から同時に実験すれば成功するかもしれない。
そのキーは「水」
やはりこのぶっ飛んだ概念だけが惜しかった点だろう。
そして、この物語に登場した「数学とは単なる数字遊び」というセリフだが、これは我々が科学などと言っていることそのものが、ごく矮小枠の中だけの想像の産物でしかないのかもしれない。
その逆が、想像可能なことはすべて実現可能ということになる。
これは飛躍しているかもしれないが、これこそが科学の原動力だろう。
錬金術と同じ構造だ。
この現実でもある堂々巡りとその面白さ。
この分野には日本人作家も多数参加してほしいと思う。
マックスウェル大学の4人の学生がパラレルワールドの研究をしています、もう一つのワールドでも同様の研究をしていますがそちらの方が進んでいるようでこちらの世界に転出してきます。ワームホールではなく湖、ワープには大量の水が必要なようです。
突然、もう一人の自分に合ったらどうするのか、現実世界では共存はできないらしくどちらかが身を引いたり、殺しあったりと悲惨な振る舞い・・。見分けるのは腕の入れ墨だがどっちがどっちか紛らわしい。彼らはどう見ても普通の学生にしかみえません、マルチバースの研究者ならもっと知的に描くかバックトゥーザフューチャーのドク(クリストファー・ロイド)のような存在、権威づけがあればよかったですね。
最後はタイムループにもハマった様で同じ出来事の繰り返し、もっと馬鹿げていればSFとして面白かろうに友情とか親子愛、恋心など人間心理の方を掘り下げるから娯楽性は薄く、チープで生真面目な青春ドラマになってしまいました。