ほの蒼き瞳のレビュー・感想・評価
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ハリポタ”ダドリー”役のメリング演じるポーがとてもいい
クーパーとベイルが組んだ過去2作はどれも少なからず西部劇的な香りが漂っていたが、本作は従来とやや異なる風味のノワール・サスペンス。1830年代、夜闇と霧とが溶け合う幻想的なほの蒼さの中、首をつり心臓を抜き取られた死体をめぐって怪しげな相関図が浮かび上がっていく。事件の謎に挑むのは都市を離れ隠遁生活を送る元刑事ランドーと、陸軍士官学校の生徒で不思議な観察眼を持つポー。つまりランドーを主軸にした推理物ながら、いずれ作家になるエドガー・アラン・ポーの「エピソード0」でもあるというわけだ。40歳で死んだポーの最晩年の小説の題名が「Landor's Cottage(ランドーのコッテージ)」だったり、本作には他にもポー作品にまつわる小ネタが散りばめられているのかもしれない。クライマックスには賛否が分かれそうだが、一枚、また一枚と襞をめくるように丹念に織りなされたディテールと作品世界は非常に見応えあり。
ハリー・メリングが良かった
終始暗い雰囲気で、集中できるか不安だったけど、気付いたらストーリーに引き込まれてた。
何よりハリーメリングの演技がとても良かった。
ハリポタのダドリーのイメージが強いから、こんな繊細で気難しい役ができるなんて知らなかった!
彼の演技が素晴らしくて、クリスチャンベールと2人っきりのシーンでも見劣りしないし、かなり満足。
今後さらなる活躍を期待。
ポー?実話なの?
何も知らずに見始めてしまったので、わざわざエドガー・アラン・ポーという名前を出してきて、え?実話?と思ったけどまあこんなとんでもない経験してるわけ無いわよねと落ち着くと同時に何でこんな面倒くさい名前つけるわけ!と腹も立ちまして、まあ原作がそうらしいので仕方ないですが、原作に思い入れのない人にとってはただの雑音ですね。あと画面終始暗い。何やってるのか分からないところ多々あり。ネットフリックスが作るなら映画館前提じゃない画作りを考えておくれよ。家は明るいんだよ。昼間見ることもあるしさ。でそもそもストーリー、今風ね、ギュウギュウに詰め込んでハイどんでん返し!いかがですか?って。要素少なくていいからもっと丁寧に作られたものを見たいんだな。クリスチャン・ベールの無駄遣い。
わりと拍子抜け
前作Antlersは好きでした。が、スコットクーパーは手堅いけれど生真面目すぎます。概して“優等生で食い足りない”という印象があります。この映画The Pale Blue Eyeもまさにそうでした。
興味深い原作で、お金をかけ役者もそろえロバートデュバルまで引っ張り出して撮影は高柳正信。悪い点は見あたりません。なのに、な~んか満足度が低いのです。(性的という意味ではなく)色っぽさに欠けるのです。
ただしポー役Harry Mellingは出色でした。
来歴を見たらハリポタが並んでいるのでハリポタファンにはなじみ深い人なのかもしれませんが、個人的に忘れ得ないのはコーエン兄弟のバスターのバラード (2018)の挿話「食事券」です。Harry Mellingは四肢なしの弁士でした。じぶんはそのレビューをこう書いています。
『「あっけらかん」という日本語の意味を調べてみたら、次のように書かれていました。
『常識的、道徳的に考えれば当然あるはずの屈託、ためらい、恥じらいといった感情がなく、平然としているさまを表わす語。』
この映画にピッタリくる言葉です。
どの章も無情で即物的でアイロニカルです。でも、なんとなく空気感は陽気です。そしてあざやかです。
食事券の章で馬車が高架橋に寄ります。石を落とすので「ああ落とすんだなあ」とは判るのですが、それが「あっけらかん」と処理されます。
興行主がニヤニヤしながら近づいてきます→四肢のない弁士がごくりとつばを飲みます→鶏だけになった荷馬車→渋い表情の興行主。
愁嘆が回避され、倫理が浮いてしまいます。非道なのに、なんとも言えない余韻が残るのです。これはあざやかです。(後略)』
(わたしのバスターのバラードのレビューより)
まだ無名で士官学校にいたエドガーアランポーが猟奇殺人の謎解きに加わるという原作は心躍るものでした。
そして若きエドガーアランポーを誰が演じるか選ぶとしたら・・・Harry Mellingはうってつけでした。
病的で神経質で繊細で疑心暗鬼で、現存するダゲレオタイプのポーもまさにそういう風貌をしています。配役はさすがにスコットクーパーでした。
だけど映画はぜんぜん猟奇へ振られてなくてすっこぬけてしまいます。抽象的な言い方ですが色気と潤いがまるでありません。
この原作ならば仏映画のパフューム~(2006)やジェヴォーダン~(2001)のように、あるいはクーパー自身の前作Antlersのようにがっつりと猟奇や血なまぐささへ振ってクリスチャンベイルの痩けた頬を生かすべきだったと思います。
デュバル以外にもTimothy Spall、Toby Jones、Charlotte Gainsbourgなど名優を揃えていて、なんかもっとぜんぜんすごいのができる布陣だったし話だった(などと勝手なことを)と思ったのでした。
骨太ミステリー
1830年の冬に起きた陸軍士官学校での殺人事件をめぐり、クリスチャン・ベール演じる元刑事と、ハリー・メリング(ダドリーの面影が全くないくらいに細い!)演じる若き日のエドガー・アラン・ポーが事件解決に挑むミステリー。
ずーっと暗く重々しい空気感が続き、じっくりじっくり真相に近付いていくタイプの作品で、ストーリー自体は面白く雪に囲まれた士官学校というロケーションもミステリアスで良い感じですが、何度も睡魔が…。
謎解きも個人的に予想外でおぉっとなりましたが、集中できてなかったのも否めず。
クリスチャン・ベールは激渋で素敵でした。
エドガーは主人公にあらず
エドガー・アラン・ポーが主役の映画かと思いきや…
エドガーは冴えない士官候補生でで、主人公は元刑事のランドー。
二人が殺人事件を解決していく。
1830年の士官学校内の事件とか独特の雰囲気があるよね。
なにせ明かりが蝋燭だけ。とにかく薄暗い。
見応えありのミステリー
クリスチャンベイルとエドガーアランポー役のハリーメリングの演技が光る、見応えあるミステリー。
開始10分でこれは、めっちゃ面白い作品の予感!
って感じで、一気に見てしまいました。
まず、前編通して映像が美しい。
古い建物に、とても使い込まれた革張りの本。
湿った黒い森の木に真っ白な一面の雪。
なんとも言えない雰囲気のあるシーンが随所に見られる。
この美しい映像だけで、見たかいがあったなと思う。
私好みの作品でした。
この作品には、悲しそうな顔で生きている人がたくさん出てくる。
人は、ほっとくと悲しい方に引っ張られてしまうものだけども。
幼い頃に母を亡くしたアラン・ポーは人の悲しみに深く寄り添える優しさと、そして何より強さがあると思う。
心が疲れている時って、激しい映画よりも、こういう少し物悲しい作品の方が、心を軽くして、癒してくれる効果が
ある気がする。
ミステリーとしても、大変面白かった。
結末を見た後、もう一度見たくなるいい作品でした。
あと、オールドガードのときも思ったけど、やっぱダドリーいい役者!
意外な真相
この映画はラストのラストまで目を離せない展開です。
真相を上手に上手に隠してますので、犯人が分かった、
解決した・・・と思ったその後に、実は・・・
「ほの蒼き瞳」の意味ががやっと分かるのです。
前半部分はちょっと長いです。
静かでスローな展開、
悪魔崇拝
遺体損壊
(首括り吊り下げられた死体からは、心臓が抉り出されていた)
1830年。ニューヨーク州ウェストポイントにある陸軍士官学校。
その生徒の一人フライが死んだ。
事件解決のために呼ばれたのは元刑事のランドー
(クリスチャン・ベイル)
妻は病死して、娘は駆け落ちして行方不明・・・
そんな不遇な酒浸りの男だ。
そんな彼に事件解決の白羽の矢が当たる。
はじめのフライ殺害事件が解決せぬまま、
1ヶ月後、2番目の殺人事件が起こる。
やはり士官候補生のバリンジャー。
こちらの死体は心臓が抉られ更に去勢がなされていた。
稀に見る猟奇殺人事件です。
続いてランドーの捜査の手伝いに呼ばれるのは、
なんと推理小説の始祖とも呼ばれる若き日のE・A・ポー。
彼も士官候補生の一人なのです。
ポーを演じるのはハリー・メリンダ(ポーの肖像画に生き写し)
そして驚いたことに実際のE・A・ポーも陸軍士官学校に学んでいる。
なんとも贅沢な配役。
祈祷師のペペ役で、
ロバート・デュバルが長台詞を滔滔と話す。
撮影時は91歳超えの筈(驚きでした)
(そんな高齢には見えないお元気な姿に感動)
原作者は有名作家のルイス・ベイヤード(1963年生まれ)
この映画の原作「陸軍士官学校の死」が代表作。
ゴシック・ホラー風のミステリー。
雪深き冬枯れの木々の森。
校舎の屋根に鴉。
ポーの小説の雰囲気を踏襲するオドロオドロしさ!
ランドーの娘マッティの不幸な事件。
そして死体に取り憑かれた兄と妹。
2つの要因が複雑に絡んで、
単純な殺人事件が猟奇的な色彩を帯びる。
E•A・ポーの参戦もありドンデン返しも面白い。
ラストには驚愕するか?
唖然とするかは?
あなた次第!!
映画は終わりまで結末は分からない
映画は終わりまで結末は分からない。
元刑事役のクリスチャン・ベールと
エドガー・アラン・ポー役のハリー・メリングの演技合戦が凄すぎです。
原作の小説がしっかりしているからなのか
ストーリー展開もどんでん返しも素晴らしかった。
重厚な中に推理も交えて見応え十分でした。
netflix作品でもありますし、わかりにくい点もあるので、両方みるのもおすすめ。
今年13本目(合計666本目/今月(2023年1月度)13本目)。
この手の映画はレビューが難しいですね…(何らかのガイドラインが欲しいです)。
ジャンルといえばミステリーもの(推理もの)になるでしょうか。
陸軍士官学校でおきたあるトラブルに対して、元刑事の男が真相を求めていく…という趣旨のストーリーです。
原作小説があるので作品としてはよくできているのだけど、映画館でみたときは時代が若干古く、字幕としてもわかりにくいかな…(一部、今では使わないような語も出てくる)というところもあります。また、文化としても今と少し違っているので、今の一般常識や人権などに対する考え方の相違もはっきり出てきます。
幸い、netflixの契約の方であれば日本語字幕(日本語音声)で見ることもできるので、映画館(大半は英語)でわかりにくいかな、と思ったところも補うところはできます。
採点上、ややわかりにくいかな…という部分は感じたものの、「時代設定がしっかりしている、少し前の時代を扱った小説の映画化であり、そういう点が生じるのは仕方がない」ということも踏まえて減点なしにしています(上述通り、netflixの方は補完的、または、事前に日本語版を見ることができます。ただし、「先に」日本語版を見てしまうと、映画の趣旨上、「何がトリックで何が真相か」ほかすべてわかってしまうので注意です。最初の5分程度であれば大丈夫)。
この謎に秘められた悲しく辛く薄暗い真実と愛が見る者を苦しめながらも何処か魅了する…
クリスチャン・ベイル × スコット・クーパー監督コンビ(『ファーナス/訣別の朝』『荒野の誓い』)がまたもや見応えのある骨太作品を仕上げてくれた!! 生と死の境界は曖昧…人里離れた山籠り隠居刑事が陸軍士官学校で起こった謎の死の真相に挑む!相方兼弟子は若き日のエドガー・アラン・ポー、変わり者でいじめられている。そんな二人の師弟関係とその先に待っている真実に胸が張り裂ける思いだ。陰鬱で胸糞で切なく、読書会や授業よりも為になること。
駆け落ち
"悪党たち"
悪魔崇拝
なるほど・・こう言うことだったのかぁ・・布石はあったにゃん♪ しか...
なるほど・・こう言うことだったのかぁ・・布石はあったにゃん♪
しかし・・いつまで経っても、この手の事件は一向に減らず・・。もっと厳しい処罰が与えられるべきですよね・現実社会では・。もし、クリスチャン・ベールが私だったら・・同じ事をするだろうなぁ・・。
大した感動もない
アメリカとはいえ電気も水道も電話もない時代。
全体を通して灯りはロウソク。
そっか、こんな時代か。
陸軍士官学校で起きた殺人事件をある男に解決を委ねるサスペンス。
悪魔崇拝や魔女狩りなど神秘学なるものからヒントを得ながら犯人を探すと言う今とは違った捜査を垣間見る。
オチはなるほどね〜と軽く思える程度でthe end
復讐そして推理作家の誕生
映画であれ、小説であれ、ミステリーが好きである。映画を見るというのは良きミステリーに触れることとほぼ同義語だ。
ニューイングランド的な闇の映画というのは、実は、そんなに得意じゃないのになあと思いながら見始めた。実際、舞台はニューイングランドでもなく、ニューヨーク州のウェストポイントだ。どちらかといえば、ワシントン・アービングのSleepy Hollow的な土地柄だ。
うすくらい背景の中で、わかりにくい謎が語りはじめられるのかと思ったら、案外、ミステリーの構造が初めからすっきりとしていて助かった。一人暮らしの物事に絶望したような元刑事にウェストポイントの士官学校で起こった猟奇的殺人の解決の依頼が入ることになる。
捜査の過程で二度目、三度目の犯罪が起こりという物語展開は素直である。
元刑事役のクリスチアン・ベールも、士官学校の生徒でいじめられキャラのエドガー・アラン・ポー役のハリー・メリングも適役。特にメリングは、ベールの助手役になり捜査を手助けするのだが、まさに若き日のポーという感じで、ヤングシャーロック的な風味もあっていい。 ヤングシャーロックは案外好きな映画だったのだが、シリーズ化するという風情を残しながら結局一作で終った不憫な映画である。
つまりは、見る価値のある映画だったといいたいわけである。大体マンハッタンが舞台のスリラーならば何でもOKというタイプの鑑賞者なのだが、この映画も骨格としてはそのシンプルさが軸には通っていて、ニューイングランド風(しつこいようだが舞台はニューヨーク州)の味付けは濃すぎない。
ただし若き日のポーが元刑事の弟子として輝きを増していくあたりからは、少々この映画の「特筆すべき」点になっていく。 洞察力を増していくポーの蒼き瞳があぶり出していくのが最後の謎であり、最大の悲劇である。
大傑作だ!と叫ぶわけではないが、週末に時間を使うのに十分に値する佳作だ。
重厚なミステリーの傑作
スコット・クーパー X クリスチャン・ベール‼︎
1830年、ニューヨーク州ウェストポイントの陸軍士官学校で起きた殺人事件。
クリスチャン・ベール演じる著名な元刑事とハリー・メリング演じる若き日のエドガー・アラン・ポーが真相をさぐる。
これは悲劇のつづれ織り。“Pale Blue” というより “Dark Blue” なイメージの重厚なミステリー。
傑作だった。
推理が面白く、どんでん返しもある
1830年のある冬の日。米ニューヨーク州ウェストポイントの陸軍士官学校で、ひとりの士官候補生が首吊りで死亡し、安置所で遺体から心臓がくり抜かれた。存続の危機だった学校の幹部は、体裁に傷がつくことを恐れ、事件をひそかに調査するため、引退していた元刑事ランドーに真相解明を依頼した。調査を進める中でランドーは、詩を愛する変わった士官候補生のエドガー・アラン・ポーと出会い、2人で事件の真相に迫っていき、ついに殺人犯を追い詰め・・・という話。
めでたしめでたし、かと思ってたら、最後に、エドガー・アラン・ポーが、真犯人を推理するというどんでん返しが面白かった。
小説家のエドガー・アラン・ポーの若き日の推理も観れて満足だった。
それと、医者の娘役のルーシー・ボーイントンが狂気の美しさだった。
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