「期待していたものとは違うが、これはこれで受け入れるしかない」マッドゴッド tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
期待していたものとは違うが、これはこれで受け入れるしかない
伝説の特撮マンであるフィル・ティペットの職人技を後世に残すために製作され、それを堪能できる映画なのかと期待したが、そうではなかった。
これといったストーリーや台詞もないまま、グロテスクでおぞましい描写が延々と映し出されるが、そこで用いられているストップモーション・アニメに、特段、目を見張るような技巧はない。
むしろ、ライカやアードマンのアニメーションの方が、よっぽど洗練されているし、同じような題材と手法の「JUNK HEAD」の方が、遥かに完成度が高いと思えてしまう。
それどころか、表現技法として、ストップモーション・アニメにこだわってすらおらず、ありとあらゆる方法で、悪夢のようなイマジネーションを具現化することだけに心血が注がれているように感じられるのである。
これがティペットの作りたかったものならば、それはそれで仕方がないのかもしれないが、映画そのものよりも、紆余曲折を経た製作の過程にこそ、ドラマを感じる作品なのかもしれない。
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