「娘と夫と元同性愛の恋人」ファイブ・デビルズ 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)
娘と夫と元同性愛の恋人
2021年。レア・ミシウス監督。フランスの田舎町に暮らすスイミング指導者の女性には消防士の夫と10歳の娘がいる。母を溺愛している娘は鋭い臭覚を持っている。問題を抱える父の妹が同居することになったとき、娘は香りを通して母の過去に入り込めるようになり、母の秘密を知っていく。
人造湖の寒々としたさざ波や遠くにそびえる山岳が美しい。タイムリープが事件の原因をつくってしまうというウロボロス的SF設定。時代だなーと思うのは、母親に対して、娘、夫、元同性愛の恋人、の4人がそれぞれに愛情をいただいているという点。さらに、そのなかで唯一無二なのは元同性愛の恋人だという点だ。娘や夫との愛情は偽物ではないが、真実の愛を覆い隠すものとしてある。そしてすごいのは、この苦い現実を夫は受け入れられないのに対して、10歳の女の子は驚異的に成長して受け入れ入れていくことだ。
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