劇場公開日 2025年10月17日

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「サイキック密教×「アルタード・ステーツ」的な奇作」次元を超える 高森郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 サイキック密教×「アルタード・ステーツ」的な奇作

2025年10月28日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

豊田利晃監督56歳、波乱に満ちた経歴の持ち主だ。十代で将棋棋士を志すも断念し、二十代から映画業界入り。30歳のとき「ポルノスター」で監督デビューするが、7年後に覚醒剤所持で有罪、執行猶予。2018年に「泣き虫しょったんの奇跡」が公開されるも、翌年には銃砲刀剣類所持等取締法違反(拳銃の所持)で逮捕され、不起訴処分。以降は「「狼蘇山(おおかみよみがえりやま)シリーズ」と呼ぶ短編群を自主制作で発表してきた。この最新作「次元を超える」は同シリーズの集大成だという。

サイキックパワーを操る密教僧たち(千原ジュニア、渋川清彦)のバトルがあったり、修行者(窪塚洋介)が精神的な高みを求めて宇宙空間を旅したりと、スピリチュアルな題材が好きな人に向きそう。60年代後半から70年代のヒッピー文化の影響を受けた「アルタード・ステーツ 未知への挑戦」に似た感じもある。逆に言えば、精神世界や哲学に興味がないと、なにやら荒唐無稽な法螺話に思えるかも。

豊田監督の波乱万丈な経歴を思い起こすなら、ある種の開き直りさえ感じさせる自由奔放な奇作と言えるだろう。警察沙汰を二度起こした危うさはあれど、才能に惚れ込む俳優も多いのか、先述の3人のほかに松田龍平、芋生悠、東出昌大、板尾創路、祷キララとキャストもなかなかに豪華。万人受けしないのは確かだが、こんな尖った映画が劇場公開されるのも豊かさなのだろうと思う。

高森郁哉