「死にゆく息子が最後に見た父の姿は…」タイラー・レイク 命の奪還2 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
死にゆく息子が最後に見た父の姿は…
Netflixで大ヒットしたクリス・ヘムズワース主演のハード・アクションの続編。
監督のサム・ハーグレイヴ、プロデュースのルッソ兄弟、キャストでは美人チームリーダー役のゴルシフテ・ファラハニらが続投。
ヘムズワース演じる凄腕の傭兵、タイラー・レイクの新たな任務は…
って言うかその前に、生きていたタイラー!
前作のラストで首に銃弾を受け、橋から川に転落し、死んだと思われたが…。
とは言うものの、前作のラストカットでタイラーとおぼしき人影が見えていたんだけどね。
瀕死の重体の所を救出され、辛うじて命を取り留める。本人は死なせて欲しかったと言うが…。
リハビリと心身の癒しを兼ねて、寒地の小屋で過ごしていた時、彼を訪ねてきたのは…
えっ? ヘイムダル…!? ここはアスガルド…?
イドリス・エルバ演じる謎の男。タイラーに仕事を依頼。
東ヨーロッパのジョージア。
凶悪なギャング兄弟が牛耳る。
弟は今獄中におり、兄は権力を使って出そうとしている。
弟の妻子も獄中に。自分の近くに置いて守っていると思いきや、監禁し虐待を強いている。
その妻子を救うのが今回の任務。
請け負った仕事とは言え、何故ギャングの妻子を救出するのか? 実は…。
またタイラー自身も死の淵から生き延びた理由を求め、戦線に復帰。
再び生死と隣り合わせの危険任務に挑む…。
前作でもそうだが、最後に人質救出ではなく、序盤早々に身柄確保。
そこからの脱出~逃走~生還がメイン。
それをド迫力のアクションの連続で見せる。
戦場の如く飛び交う銃撃獄中戦、炎に包まれた片腕で敵を殴り倒す格闘、森林のカー&バイク・チェイス、列車での攻防、走る列車から銃でヘリを撃墜、列車脱線…。
しかもこれらを、長回しで見せる。前作では10分以上に及んだが、今回は驚異の20分以上!
勿論こんなに壮絶なアクション・シーンを20分以上の長回しで撮る事は不可能。巧みなカメラワークや編集で長回しのように見せているのだが、今回もその臨場感や緊迫感は半端ねぇ! 本当に本当に、劇場大スクリーンで見たかった…。
「“2”だからアクションも2倍」。監督のその明言に偽りナシ!
ゴリゴリのハード・アクションだが、意外にもドラマ面もシンプルながら疎かにはされていない。
タイラーがこの任務を引き受けた理由…。実はギャングの妻は、タイラーの元妻の妹。二人の子供も甥姪。
息子と死別した悲しい過去を持つタイラー。自分に近い者を、今度は死なせない!
前作では後方支援だったチームリーダーのニック。今回は共に現場へ。彼女の弟も参戦。が、激戦の最中…。姉弟の絆、タイラーとの信頼…。
それはギャング兄弟だって同じ。極悪人だが、劣悪な環境の中で、幼い頃より共に生きてきた。獄中での闘いの中、弟はタイラーに殺される。兄は復讐を…。
その弟の息子、タイラーの甥のサンドロ。父を慕っていて、父を殺したタイラーを憎む。
が、タイラーは言う。君たちは父親に利用されていた。君たちを本当に守っていたのは、母親。今度は君が母親を守る番だ。
気持ちが揺れ動くサンドロ。彼は過ちを犯してしまった。身を隠している場所を伯父に教えてしまった…。
敵襲来。高層ビルでの闘い。ガラス張り上で追い詰められ、大ピンチ…!
サンドロは敵の魔手に。
ボロボロに傷付き、血を流しながらも、甥を助け出す事が出来るか…?
タイラーにこの任務を依頼したのは意外な人物。“ヘイムダル”は仲介人。
元妻。
久し振りの再会時、どんな巨悪にも怯まないタイラーだが、この時ばかりはバツが悪く…。
“あの時”の事をぎこちなく謝罪するタイラー。今更…と、元妻。未だ複雑な両者。
が、ある面会シーンで、元妻が掛けた言葉にタイラーは救われた。
死にゆく息子が最後に見た父の姿は、自分を見捨てた父の姿ではなかった。命を懸けて困ってる人を助けに行く勇敢な父の姿だった…。
悲しみを背負い、我が身を省みず、命を救うタイラー。
“雷神様”を超えるヘムズワースのアクション、カッコ良さ、人間臭さ。
先日、第3弾の製作も決定。
次なる任務は…!?