「百姓」という言葉は放送禁止用語だそうだ。(知らなかった)確かにあか抜けない感じは否めない。
でもこの映画を観終わると「百姓ってかっこいい!農家って面白そう!」と印象が大きく変わる。
よく考えるとそういう切口の映画や報道ってこれまでほとんどなかった。農家じゃ食っていけない、つらいので若者がなりたがらない、台風で収穫がすべてダメになった、などネガティブな番組や報道は見受けられるが、この映画のように百姓の凄さ、かっこよさ、醍醐味にフォーカスした報道や作品は珍しい。
・高校生の頃からバケツに分けた稲の栽培実験を続けてきた稲・リンゴ栽培の百姓
・栽培記録ノートが自分の背丈を超えるまでに積みあがったトマト栽培の百姓
・発酵を極めて化学肥料に頼らない新しい農法を生み出した百姓や、同じく発酵で野菜の苗を無事育てる方法を開発した百姓
・オランダからデータ農法を採り入れてすごいキュウリを育てることに成功した百姓
・害虫被害に悩まされながらも国産の飼料用米に試行錯誤する百姓とその地域
・赤米・黒米などのマイナーな古代米で差別化し、減反政策を乗り越えた百姓
・一房1万円や、双子ちゃんに贈呈するためのオーダーメイド双子マスカットなど高級路線を邁進するシャインマスカットの若き百姓
・凄い観察眼で、夏にも芽を出す「たら」の存在を見逃さなかった百姓
・周辺農家から依頼されディズニーランド3つもの大面積を耕作するも、品種を変えるなど田植えの時期をうまく分散させるピークマネジメントで1台の田植え機で乗り切るなど、単純に設備を大規模化するメガファーマー「ではない」新しい大規模農家の在り方を知力を尽くして模索する法人方式の百姓、、、。
生物化学の知識、問題解決力、分析力、観察力、記録とデータ、運転技量、DIY力、知力、体力、政治や法改正、世の中の動向に対する深い洞察力、決断力と実行力、バイタリティ、ユーモア力、、、。
ほんと百姓って実は文武両道のスーパーマンだ。 (確かに身内の百姓も賢く、頼もしい人だ。)
この映画にでてきた農家はベストプラクティスたち?普通の農家の実状は?普通でもやっていけているのだろうか?いや、この映画の百姓たちのように知恵と工夫と行動力がないと農業はそもそも厳しい世界なのではないか。会社員のように日々会社に行って言われたことやっていれば給料もらえる、という緩い世界では少なくともなさそうだ。「普通の農家」なんて存在しない、ベストプラクティスじゃないとやっていけない世界、、、厳しいと感じるか、面白いと感じるか。(厳しい世界だと感じてしまっている自分が情けない。。)
※映画に出てきた百姓のみなさんも、当日トークショーに登壇された百姓の方も、みな言語化能力が素晴らしくて驚いた。的確に分析して、整理して、説明できる。「田舎の人」の認識が変わった。。
※若梅さんの「己の職業を道楽と思え」「記録をとれ」 これ、ささりました。
※清友さんのカプセル怪獣ミクラスの例え、むっちゃ腑に落ちました(笑 高知の人は太っ腹も!