百姓の百の声

劇場公開日:

百姓の百の声

解説

自然と向き合い作物を熟知する農業従事者の人々にスポットを当てたドキュメンタリー。

「千年の一滴 だし しょうゆ」の柴田昌平監督が「食」の原点である「農」をテーマに、全国の農家の人々の知恵や工夫、そして人生を、丁寧なインタビューと美しい映像で紡ぎ出す。

彼らが畑で何と格闘しているのか、ビニールハウスの中で何を考えているのか。小手先では解決できない様々な矛盾を独自の工夫で克服する彼らの姿を通し、多くの人々が「風景」としか見ていない営みのコアな姿を、鮮やかに浮かび上がらせていく。

2022年製作/130分/日本
配給:プロダクション・エイシア
劇場公開日:2022年11月5日

スタッフ・キャスト

監督
プロデューサー
大兼久由美
監修
百合田敬依子
撮影
柴田昌平
大兼久由美
川口慎一郎
音声
柳田敬太
編集
高橋慶太
柴田昌平
音楽
ダン・パリー
甘茶
題字
財前謙
メインビジュアル
阿部結
カラーグレーディング
堀井威久麿
音声ガイド語り
小谷あゆみ
制作デスク
宮川尚子
全てのスタッフ・キャストを見る

フォトギャラリー

  • 画像1
  • 画像2
  • 画像3
  • 画像4
  • 画像5
  • 画像6
  • 画像7
  • 画像8
  • 画像9
  • 画像10
  • 画像11
  • 画像12
  • 画像13
  • 画像14
  • 画像15
  • 画像16
  • 画像17
  • 画像18
  • 画像19
  • 画像20
  • 画像21
  • 画像22
  • 画像23

(C)プロダクション・エイシア ASIA Documentary Productions, All rights reserved.

映画レビュー

4.0百姓はしんどい、食ってけない、面白くない→この固定観念が覆る

2022年11月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

「百姓」という言葉は放送禁止用語だそうだ。(知らなかった)確かにあか抜けない感じは否めない。
でもこの映画を観終わると「百姓ってかっこいい!農家って面白そう!」と印象が大きく変わる。

よく考えるとそういう切口の映画や報道ってこれまでほとんどなかった。農家じゃ食っていけない、つらいので若者がなりたがらない、台風で収穫がすべてダメになった、などネガティブな番組や報道は見受けられるが、この映画のように百姓の凄さ、かっこよさ、醍醐味にフォーカスした報道や作品は珍しい。

・高校生の頃からバケツに分けた稲の栽培実験を続けてきた稲・リンゴ栽培の百姓
・栽培記録ノートが自分の背丈を超えるまでに積みあがったトマト栽培の百姓
・発酵を極めて化学肥料に頼らない新しい農法を生み出した百姓や、同じく発酵で野菜の苗を無事育てる方法を開発した百姓
・オランダからデータ農法を採り入れてすごいキュウリを育てることに成功した百姓
・害虫被害に悩まされながらも国産の飼料用米に試行錯誤する百姓とその地域
・赤米・黒米などのマイナーな古代米で差別化し、減反政策を乗り越えた百姓
・一房1万円や、双子ちゃんに贈呈するためのオーダーメイド双子マスカットなど高級路線を邁進するシャインマスカットの若き百姓
・凄い観察眼で、夏にも芽を出す「たら」の存在を見逃さなかった百姓
・周辺農家から依頼されディズニーランド3つもの大面積を耕作するも、品種を変えるなど田植えの時期をうまく分散させるピークマネジメントで1台の田植え機で乗り切るなど、単純に設備を大規模化するメガファーマー「ではない」新しい大規模農家の在り方を知力を尽くして模索する法人方式の百姓、、、。

生物化学の知識、問題解決力、分析力、観察力、記録とデータ、運転技量、DIY力、知力、体力、政治や法改正、世の中の動向に対する深い洞察力、決断力と実行力、バイタリティ、ユーモア力、、、。
ほんと百姓って実は文武両道のスーパーマンだ。 (確かに身内の百姓も賢く、頼もしい人だ。)

この映画にでてきた農家はベストプラクティスたち?普通の農家の実状は?普通でもやっていけているのだろうか?いや、この映画の百姓たちのように知恵と工夫と行動力がないと農業はそもそも厳しい世界なのではないか。会社員のように日々会社に行って言われたことやっていれば給料もらえる、という緩い世界では少なくともなさそうだ。「普通の農家」なんて存在しない、ベストプラクティスじゃないとやっていけない世界、、、厳しいと感じるか、面白いと感じるか。(厳しい世界だと感じてしまっている自分が情けない。。)

※映画に出てきた百姓のみなさんも、当日トークショーに登壇された百姓の方も、みな言語化能力が素晴らしくて驚いた。的確に分析して、整理して、説明できる。「田舎の人」の認識が変わった。。

※若梅さんの「己の職業を道楽と思え」「記録をとれ」 これ、ささりました。

※清友さんのカプセル怪獣ミクラスの例え、むっちゃ腑に落ちました(笑 高知の人は太っ腹も!

コメントする (0件)
共感した! 3件)
momokichi

3.0百姓という言葉

2024年8月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:その他

自主上映で見ました。
プロデューサーの話の中に、百姓という言葉は放送禁止用語で、新聞も使わない方がいい言葉にカテゴライズされているとの話には、少し驚きました。

映画の中に出てくる百姓は、腹も座り、そこそこ成功して指導者的な立場の人かな。
その人たちの言葉もやっていることもすごい!

だけどポスターとタイトルから受けた(勝手な)印象は、もっといろいろな百姓の腹の内を聞けるのかなと。
そう言う意味では、物足りない感じ。
登場した人たちの言葉には感動したけど、すごいうまくそっなくまとまり過ぎたかな。

前出のプロデューサーの話に、農業の話は農業問題かその風景が美しく憧れか…と言う話がありました。天と地ではない農業、百姓の話を映画にしたとのことでしたが、この映画に出てきた百姓は憧れの存在で、プロデューサーの思いとは乖離してる印象を受けました。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
ぷぷぷ

4.0レジェンド

2023年3月21日
Androidアプリから投稿

農協ではなく農文協
家の光ではなく現代農業ですかぁ
農家は天候に左右されて大変と漠然と考えていましたが、
観察眼、創意工夫が要求される理系なお仕事。自然には自然で対抗、編み出した方法も惜しみなく情報共有する 政策に振り回されるも自助で克服、努力が並大抵ではない
名人達の高齢化が気になってしまいましたが、やはり職業という時点で心得は会社勤めのフィロソフィにも活かせるのではないかと 日本農業賞とかあるらしいけど叙勲とかも対象にして欲しいな

コメントする (0件)
共感した! 0件)
ゆう

5.0いまこそ観なければいけない「百姓の百の声」

2023年3月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今見ずしていつ観る?と声を張り上げたくなる作品だった。「百姓」と聞くと、ちょっとドンくさく聞こえる節もあるが全く予想と違って、スクリーンに現れる人たちはみんなカッコいい。日本の食料自給率の低さがウロ戦争でようやく「これやばいんじゃない?」と気づき始めた人も多いのではないかと思う。国内の農業を支えてくれるのは、ここに登場するようなコツコツと日々土と向き合い誠実に作物を作り続けてくれる人たち。それが「百姓」。全く現実とかけ離れた政策で農業をダメにして行く政治家や官僚たち。勉強だけ出来て机上の理論立の力は有っても、地に足をつけた政策を打ち出すことは不可能に近いと映画を観て改めて感じた。一人でも多くの人にこの作品を観てもらい「農業の大切さ」「農家の苦労」「農家の底力」を理解して欲しい。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
しのぶ