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フェイブルマンズ : 特集

2023年2月20日更新

“至高の映画監督”スピルバーグの半生に、語ることを
避けてきた秘密があった…!?絶対に素晴らしい映画だと
わかってたが、観たら期待を遥かに超える傑作だった!

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3月3日から日本公開される「フェイブルマンズ」。世界最高峰の巨匠スティーブン・スピルバーグの最新作であり、第95回アカデミー賞では作品賞を含む7部門にノミネートされています。

この記事を読む今作未鑑賞の“あなた”は、「きっといい映画なんだろう」と思うかもしれません。しかし、違うんです。

今作はいい映画ではありません。“最高にいい映画”なんです。これを観ないと2023年の映画は語れない、とこの時点で確定するほどの作品。スピルバーグの自伝的物語であり、映画史に燦然と輝く名作につながる秘話も描かれるのです。

……とはいえ、どうしても「配信で観ればいいかな」と思っている方もなかにはいるかもしれません。ですが、それは本当にもったいないッ!! 期待を上げに上げた状態で観ても、ぶっ飛ぶほどの満足感がある作品なので、可能な限り映画館で観るべきです。

事実、映画.com編集部も実際に鑑賞し、期待を大きく超える体験を堪能できました。スピルバーグ自身が“語ることを避けてきた”秘密をも明らかにし、さらに映画史に残るであろうラストシーンが刻まれていて……この記事では、注目してもらいたい“5つのポイント”をレビューしていきます。


【予告編】人生の出来事、そのひとつひとつが映画になった。

●【期待オーバー①】映画ファンが幸せになれる作品…劇場で鑑賞しないと“損”
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映画.com編集部:今作ほど「観る前から傑作だとわかりきっている映画」も稀だが、今作ほど「観てぶっ飛ぶほどの満足感があった映画」もまた非常に稀だ。

あらすじは予告編から読み取っていただければと思う。とにかくあらゆるジャンルを内包しており、映像体験の密度がそこらの作品とは段違いだった点にまず驚かされた。

感動的なヒューマン・ドラマ、血湧き肉躍るアクション、心臓が凍るほどのホラーやサスペンス・スリラー、甘酸っぱく匂い立つような青春……この映画には全部が含まれている。まさに、さまざまなジャンルを横断して傑作を放ってきたスピルバーグしかできない、まるで宝石箱のような映画空間が拡大と収縮を繰り返し、最後にスパークするのだ。

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そんな今作は当然というべきか、世界中で称賛を浴びており、第95回アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞、脚本賞、作曲賞、美術賞の7部門にノミネート。第80回ゴールデングローブ賞では最優秀作品賞(ドラマ)&最優秀監督賞に輝き、賞レースで圧倒的な強さをみせつけている。

いち早く観ないと損、とまで言い切ることができる今作。観て幸福な気持ちにどっぷり浸れたし、期待を超えに超える要素が雨あられと降り注いできたので、以下にさらに詳述していこう。


●【期待オーバー②】物語に強い驚き!
スピルバーグの半生に、こんな秘密があったとは!
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今作を観るなかで、最も筆者の期待を超えた要素が、実のところこの“物語”だった。

スティーブン・スピルバーグ監督は今作を「たとえ話ではなく、私の記憶」と語る。「ジョーズ」「E.T.」「ジュラシック・パーク」など、世界中で愛される傑作の数々を世に送り出してきた“世界最高峰の巨匠”が、映画監督になるという夢をかなえた原体験を映像化しているのだ。

映画冒頭、幼いフェイブルマン少年(スピルバーグ自身を投影した主人公)が、映画館へ入ることを怖がる様子から始まる。彼と映画の最初の出合いは恐怖だったという意外な事実を知り、もう心が躍る。

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そして、スピルバーグ自身がこれまでほとんど語ってこなかった“映画監督にいたるまでの半生”を詳らかにしている点だ。それは家族についてである。

父は先見の明がある天才エンジニア(演:ポール・ダノ)、芸術肌のピアニストである母(ミシェル・ウィリアムズ)、そしてフェイブルマン少年と3人の妹……あと、父の親友であり部下でもある陽気な“おじさん”(セス・ローゲン)が、ほぼ家族同然の仲で暮らしている。

そんな一家は、父の何度かの転職を理由に引っ越しを繰り返す。そのたびに生活は激変し、家族の関係性も轟音を立てて変化し、騒動も起こる。フェイブルマン少年はそれでも映画を撮り続け、たまに撮るのをやめ、映画作家としてメキメキと頭角を現すが、やがて家族と自身の夢の間で板挟みになるのだ。

次第に、彼の心は引き裂かれていき……騒動の具体的な内容と結末は今作の醍醐味なので、やはりご自身の目で確かめていただきたい。映画.comが今作を映画館で観るべきだという大きな理由は、この物語展開と、以降に語る“ラストシーン”を、最も集中できる映画館で体感してもらいたいからである。


●【期待オーバー③】フェイブルマン少年のヤバさ!
“映画の現人神”の成長を、もっともっと観たくなる
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いい映画というのは“キャラクターが立っている”ものだが、今作の主人公・フェイブルマン少年も例に漏れない。

彼は映画のことだけを考え、実際に撮影し続ける。類まれな才能を持つ者が思考を繰り返し、ビジョンを具現化する経験を、1度や2度ではなく、子どもの頃から数十年にわたって積み重ねた結果、“映画の現人神”が誕生する、ということがスクリーンに刻み込まれている。

彼の才能はもはや“狂気”に見えることがあり、フェイブルマン少年が、祖母が亡くなる瞬間を見つめるシーンが極めて印象深い。普通の人だったら、祖母の顔から目が離せないだろうがこの男は違う。顔ではなく、首筋の、血管をじっと見つめる……どく、どく、と脈打つ間隔の変化に、生が遠のき、死が近づく瞬間を感じ取っていたのだ。天才が見ている “想像を絶する景色”を強制的に体感させられたような気がして、感心を通り越してゾッとさせられもした。

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このシーン以外にも、フェイブルマン少年のやばさというか、“すごみ”を痛感できる場面が山のように盛り込まれている。しかしながら、その天才性は凡人の理解を常に拒んでいるわけではなく、意外にも「その感覚、わかるな」と共感することも非常に多かった。

最終的に、観ているうちに彼を応援している自分に気がつく。少年の成長と葛藤は普遍的なドラマを紡ぎ出し、感動的な展開へとつながっていくので、場合によってはハンカチが必要になるかもしれない。


●【期待オーバー④】映画史に残るラストシーン!
最高の環境で、特大の感銘を受けてほしい
ジャド・ハーシュ
ジャド・ハーシュ

ラストシーンが素晴らしい映画はそれこそ星の数ほどある。そのなかで今作は、映画史に残るレベルだと断言できるほどだった。

もちろんネタバレになるため、ここでは詳述できない(語れないのがもどかしい……!)が、筆者は観た瞬間に「あっ!」と喜びの声を上げそうになった。遊び心と茶目っ気に満ちた、本当に素晴らしいシーンに仕上がっている。

だからこそ、受け取れる感情を可能な限り増幅できれば、きっと今までに経験したことのない映画体験になるはず。ゆえに、今作は可能な限り良い環境=映画館で観るべきだ、と主張してきているわけだ。願わくは、映画.comユーザーがいち早く映画館で鑑賞せんことを……。


●【期待オーバー⑤】人生と傑作映画のリンク!
人生のこの瞬間が、あの作品にいきてる!という感動も
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そしてやはり、今作のキャッチコピー(人生の出来事、そのひとつひとつが映画になった。)通り、スピルバーグは人生丸ごとを映画にいかしているのだと痛感できる点も最高だった。

フェイブルマン少年が初めて観た映画は「地上最大のショウ」だった。同作での汽車と車の衝突シーンに心を奪われ、自宅でおもちゃの汽車と車を繰り返し衝突させ、フィルムカメラに撮っていた経験は、言わずもがなスピルバーグの出世作である「激突!」につながっている。

また、ボーイスカウトの仲間とともに第二次世界大戦を題材にした自主製作映画を撮る場面も。これが「プライベート・ライアン」などに影響を与えているのか、と推測させられる。こんな具合に、映画的記憶のひとつひとつが今作のシーンとつながり、脳内麻薬が放出される瞬間が幾度もあるのだ。

その一方で、「映像が人を勇気づけることもあれば、人を破壊することもある」と描かれることも興味深い。映画が宿命的に持つ暴力性にも言及し、スピルバーグ自身が長い間思い悩んできたであろう内省的なテーマも見え隠れする。

なるほど、スピルバーグが映画人生の集大成を放ってきたのか――“至高の映画監督”が全身全霊をかけたことがありありと伝わってきて、強い感動が何度も何度も押し寄せるのだ。


●【期待オーバー⑥】“子の才能を伸ばす”こと
目からウロコ…そしてキャスト陣の演技に圧倒「母親がすごすぎる」
母親役のミシェル・ウィリアムズ
母親役のミシェル・ウィリアムズ

「親として子にどう接するか」もテーマのひとつだと感じ、筆者は2児の親でもあるので非常に感銘を受けた。上述のような「映画ファンとして期待していたこと」だけでも満点だったのに、親目線でも多くの気付きや学びがあり、非常に満足度の高い体験となったのだ。

特に「子どもの才能をどう伸ばすか?」という点は、見習いたいと思わされた。幼いフェイブルマン少年は、「地上最大のショウ」を観て以来、おもちゃの列車(しかも結構高価なやつ)を何度も何度も衝突させては楽しんでいた。母はそんな少年を叱るでもなく、おもちゃを取り上げるでもなく、「撮影して、映像で何度も衝突させるといい」と言って8mmカメラを買い与えるのだ。

そうした両親の姿勢が、未来の巨匠を形作ったのだと示唆される。加えて、スピルバーグ自身の親に対する感謝の念も伝わってきて、たまらなく温かい気持ちが心に流れ込んでくる。

また、物語を具現化するキャスト陣にも脱帽だった。特に母親役のミシェル・ウィリアムズ(「マンチェスター・バイ・ザ・シー」など)がすさまじい。ときに突拍子もない無軌道な人物を体現する一方で、母として、そして1人の人間としての苦悩も表現。観客の心が離れぬ絶妙なバランス感覚の熱演は、称賛されて当然だと感じた。

さらに、87歳の名優ジャド・ハーシュにも注目してもらいたい。出演時間はとても短く、画面に映っている時間は10分もないかもしれない。しかし第95回アカデミー賞の助演男優賞にノミネートされている。つまり、そういうことだ。これぞ映画のマジックと思えるハーシュの存在感が、きっと目に焼き付くはずだ。


●【結論】いい映画じゃない…“最高に”いい映画だった…何が何でも劇場で!!
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実際に鑑賞し、期待を大きく超えた要素を以下にまとめよう。

①:映画ファンが幸せになれる映画体験

②:物語が、スピルバーグが語ることを避けてきた“家族”について描いている

③:主人公・フェイブルマン少年がいい意味で狂っている

④:ラストシーンが映画史に残るレベル

⑤:スピルバーグの人生が、彼の数多の名作に投影されていることがありありとわかる

⑥:子の才能を伸ばすためには…親目線で観て目からウロコ&キャストの演技がすごすぎる

今作はいい映画なのではなく、最高にいい映画なのである。しつこいくらいに「映画館で観てほしい」と繰り返してきたが、紛れもなく、本心のなかの本心だ。VOD配信を待つのは損でしかない。筆者が身を投じた情動の渦に、観客の皆様もまた身を投じてみてほしい。(映画.com編集部)


【さらに深掘り!】では、観客は今作に何を感じた?
「頂点」「感動」「心に残る」「もっと観てたかった」

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最後に。「フェイブルマンズ」が必見作であるという主張を、もっとよくわかってもらうために、ある調査を実施しました。

映画ファン向けの特別試写会を実施し、観客の方々に自由に感想をつづってもらったので、その一部を抜粋してご紹介! この記事を読む“あなた”も、きっと今作を心ゆくまで楽しめるはずです。


・「何かを作るということ、特にアートというものへの憧れが加速する映画」――た さん

・「昨今は監督の自伝であったり、映画についての映画が増えているが、エンタメとしての自伝においても、映画論を語る映画においても、本作が頂点だと思う」――おやげ さん

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・「これまでスピルバーグ作品に何度も楽しませてもらった身としては、感動だった」――Anya さん

・「余韻がすごくて寝るまで振り返ってしまったわ。どうしても欲しいものはどんなにしても気持ちを捨てられない、その渇望と熱意を是非とも映画館でご覧ください。おすすめ」――icco さん

・「最初から最後まで、どのシーンも心に残るものだった。これから先、何回も鑑賞する作品になりそうだ」――ちーきー さん

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・「最後のあの大物役をあの監督にやらせるセンスにときめきました!」――びんご さん

・「(この作品が151minと知った時、長いなと思いましたが)終わってしまった時には、もっと観ていたかったという感じでした」――annabel さん

・「自分も転勤家族だったので親の仕事に自分の人生が左右される様に苛立ちを感じることもあったが、何事にも意味があるとポジティブに生きようと感じた」――としき さん

・「家族の会話の中で何度か出てくる『Everything happens for a reason』。この台詞は、困難なことに直面したときに前向きになれる素敵な言葉だと思い、大切にしていきたいと感じた」――のん さん

>>すべての観客レビューはこちらでチェック!


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