フェイブルマンズのレビュー・感想・評価
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デミアン・○ゼルに煎じて飲ませたい Part2
2時間半があっという間!自伝映画ということで、宇宙戦争のようなスペクタクルは一切ないのですが、最初から最後まで全く目が離せなく、「もう終わっちゃった!(まだ観たい!!)」というのが映画終演直後の感想。
どこまでが事実でどこからが嘘なのかわからない。映画の嘘と真実がさりげなく語られるが、本作の中で主人公のサミーが母親へ語る終盤のシーンは、これは今のスピルバーグから母親へのメッセージのような気がして泣けた。
スピルバーグは幼少期から家族や友達を撮って映画やホームビデオにしていて、この映画自体も完全にそのスタイルに乗っ取っており、それを今のスピルバーグが映画にするというのがこれまた泣ける。
幼少期から現在のキャリアに至るまで全てやるのかと思ったら、ハリウッドに足を踏み入れるところまでで本当にスピルバーグの人生における序章も序章。そしてスピルバーグのインタビューなどで度々逸話として語られていたある伝説の監督との対面と彼に言われた衝撃的な言葉が満を持して実写化笑 (そしてこの監督を演じたのはあのお方!)
あのラストカットのチャーミングさったら!
だからスピルバーグが好きだ。
映画愛や映画好きを自称する監督であればあるほど、オレはこんな映画から引用するぜ!という映画偏差値の高さをひけらかすような描写が多く鼻に付くのだか、本作の余裕っぷりときたら!!さすが巨匠の余裕。
インディージョーンズの次回作で引退を仄めかしている91歳のジョン・ウィリアムズとは本作が最後の共演なのかな。
一年一本ペースで大作映画を作れる天才なので、仮に100歳まで生きるとしたらあと26本撮れる!笑
まだまだ終活なんて言わないで欲しい。
次回作はまだ未定とのことですが、楽しみに待ちたいと思っています。
愛おしいスピルバーグ少年
少年が映画にのめり込んで行く青春とその家族の物語。細部まで楽しめてとても感動的だった。
観ているとサミー少年の体験が、後々のスピルバーグ監督のあの作品やこの作品のきっかけになったのかと、ニマニマしてしまう。
サミー少年はやがて映画の力を思い知る。
それは人を感動させ癒やし、見る者の価値観をも変えてしまう。
映画好きなひとりとしてこの作品を観ることが出来て良かった。
母親役のミシェルウイリアムズの演技が最高に素晴らしい。子どもたちにかける愛情に何度も涙を誘われた。
まさかの「あの人」が・・・!
「インターステラー」の「あの人」に匹敵する驚きでした。未見の方にはサッパリだと思うので伏せますが、まぁ「あの人」ぐらいしか「あの人」は演じられないだろうなぁと思いました(笑)。派手さはありませんが、とても温かい映画でした。初日に観られて良かったです。ミシェル・ウィリアムズの演技は特に素晴らしいですね。それ以外の役者さんたちも素敵でしたし、アホな学友たちにも笑わせてもらいました。
彼にとっての神は映画。
スピルバーグの半生を描いたとされる作品。
どんな衝撃を受け、どんな幼少期、青年期を経て監督になっていったのかが分かる。
偉大な映画監督がどのようにして生まれたのかが分かる。
彼の周りの人びとが、いつでも彼の行動を応援してくれていることが印象的だった。
そして、どんなに辛い状況になっても映画、映像はいつも変わらずにいてくれる。それが救いになっていること。そこに心を打たれた。
作中熱心なキリスト教徒が登場するが、彼にとっての救いの神は映画、映像なんだと感じさせてくれた。
生き方の参考にもなるし、子育ての参考にもなる、そして、人間の美しさを描いてくれた作品だった。
(逆転のトライアングルという人間の醜さを描いた映画を見たばかりだったのでなおさらそう感じさせてくれた。)
ちゃんとした青春映画だった!
ここ数年、映画絡みの映画が増えている気がする。「キネマの神様」「映画大好きポンポさん」「浜の朝日と嘘つきどもと」「サマーフィルムにのって」「エンドロールのつづき」「バビロン」「銀平町シネマブルース」等々。ほとんどが素晴らしい映画だ。そして満を持して登場したのがスピルバーグ大先生の自伝的映画の本作。正直あまり期待はしていなかった。自慢か説教か強い主張が入ってる気がして。
でも、そんな心配は無用だった。そんな先入観を持っていた自分を叱りたい。面白いじゃないか。昔ながらのフィルム撮影でどんな工夫をしたのかも面白かったけど、それよりも少年サムが家族や同級生との関係性の中でどんなことを感じ、どんな成長をしていくのかが面白かった。ちゃんとした青春映画なんだよな。
スピルバーグ先生は自分のことを自慢するわけでなく、ちゃんとイタかった自分をさらけ出している。女の子に舞い上がったり、同級生にいじめられたりするシーンもニヤニヤしながら楽しませてもらった。
そして最後。実はこれがこの映画に一番込めたかったことなのかも。あんなに短いシーンなのにとてつもなく印象に残ってしまった。あの後のサムのようになんか希望が湧いてくるんだから不思議。結構長い映画だったのに全く飽きることがなかった。スピルバーグ大先生健在だな。
やっぱりスピルバーグは上手い。でも、この映画を観た人にはスピルバーグの他の映画の前にジョン・フォードの映画を観て欲しいな、映画好きなら。
①基本的には映画への愛が根底にあるのだが、カメラ(映画)の怖さもさりげなく描いているのが、この映画を重層的なものにしている。
②カメラがそのまま映し出す残酷な現実、その現実を隠せる編集、フォーカスしたりスローモーションにしたり等の技術で作り出せる偶像等、映画の陰の面もありのまま描くところに数十年間映画を撮り続けてきたスピルバーグの監督としての歴史と矜持とを見る思いがする。
③ホンの1分ほどでサムの父親の口を借りて映画とは技術的にどういうものか(連続撮影されたフィルムをスクリーンに投影したもの)を簡略に説明する冒頭から巧い。その後も随所で映画に関する技術的な説明がされるが、一方、「芸術(映画)と家族(私生活)」に引き裂かれる芸術家(映画監督)としての苦悩・葛藤・覚悟も、ジャド・ハーシュの叔父さんの台詞やピアニストになる夢を諦めて主婦になった母親の姿等を通して描かれる。
この映画は自分の人生に実際にあった出来事を描いたのではなく「記憶」を描いたとスピルバーグは言っているが、スピルバーグ自身が監督人生を送る中で味わった様々な心情を反映させていることは間違いないだろう。
④母親役のミッシェル・ウィリアムズは相変わらず巧い。というか、サムの肩を押すのはいつも彼女であり、大人の世界の複雑さを彼に教えることになったのも彼女である。
そして、家族の中でサムが母親に一番似ていると真実をついたのはすぐ下の妹。家族ってお互いをよく見ているし、遠慮なく言えるのも家族ならでは。
そう、これは映画の話でありサムの映画監督への道のりの物語であると共に家族の物語でもあるのだ(『The Fablemans(フェイブルマン家)』という題名がそれを語っている)。
⑤サムとその姉妹たち、サムの青春時代と子供たちに日々を描くと共に、大人たち(父親と母親とベニー)のあわいな三角関係の有り様を描くところにもスピルバーグの巧さが現れている。
⑥ポール・ダノも、いつものややエキセントリックな役ではなく、アメリカの中流階級の知的で勤勉で家族思いの普通のお父さんを実に自然に演じている。
終盤、サムに届いた母親からの写真を見た(サムは気付かなかったので見せてしまったが、妊娠していることが見てとれる)時の、様々な感情が浮かぶ何とも云えぬ表情(顔面演技)が素晴らしい。
⑦映画のラスト、撮影所を訪れたサムが思わぬ巡り合わせでジョン・フォードのオフィスに通されるシーン。
見回す壁には『駅馬車』『わが谷は緑なりき』(大好きな映画!)『男の敵』『捜索者』『三人の名付け親』『静かなる男』『リバティ・バランスを射った男』(ここでも登場)のポスターがズラッと並んでいるオールド映画ファンには夢の一時(ひととき)。
ジョン・フォードを誰が演じているのかと思えば、デビット・リンチだったんですね。映画史上の名監督であり大先輩を嬉々として献じているのが見ていて楽しい。
⑧最後、撮影所の中を未来に向かって歩いていくサムの後ろ姿が爽やかな余韻を残す。
終わり方がズルすぎる
正直、なんかそんなおもろくもないし、それでも安定した作りとか演出でそれなりにドラマとして見ることはできるかな・・・偉そうにもそう思いつつ、まぁ巨匠が作り上げる作品の所以は垣間見ることはできるのかなーなんて半ば学びのつもりで眺めていました。それなりに長いし・・・。でも最後、ずるいなーなんて─、思わず爆笑です。そしてあの言い放った事は、昔の監督のものなのか今の監督のものなのか、はたまた巨匠が考え出したことなのか分かりませんが、いずれの可能性も感じる素晴らしい台詞であり、あれだけでももうこの映画の価値はマックスに達している印象でした。最後のご褒美を味わうために頑張って観賞してください。
無邪気な映画愛だけでなく、芸術の「呪い」も感じることができる
劇中、最も印象に残るのは、祖母が死んだ後に突然やって来たその弟が、主人公の少年に語って聞かせる言葉だ。
曰く「芸術という麻薬の中毒となった者は、孤独という代償を払わなくてはならない」というもので、まるで、魔法使いが、少年に呪いをかけているかのように描かれている。
おそらく、これは、長年、映画という芸術に携わってきたスピルバーグの実感、あるいは本音なのだろう。
確かに、主人公の少年は、映画作りにのめり込みながらも、その一方で、両親が離婚したり、人種差別でいじめられたり、プロム会場で彼女にふられたりと、必ずしも幸せ一杯な生活を送っている訳ではない。
特に、主人公が作った映画を楽しんでいる人々と、それを映写している主人公の冴えない顔の対比は面白い。
ただ、どうせなら、芸術を選んだがゆえに味わう孤独のようなものが、もう少し明確に描かれても良かったのではないかと思われる。
芸術家の母親はもちろん、技術者の父親にしても、主人公に対する理解があり過ぎて、映画の道に進むに当たっての葛藤のようなものがまったく描かれないのは、どうしても物足りなく感じてしまう。
ところで、ジョン・フォードのエピソードは、スピルバーグが経験した事実なのだろうか?
いずれにしても、ラストショットのカメラアングルのズレには、ニヤリとさせられた。
自伝的作品もエンターテイメント作品に。
映画好きな子供がいかにして成長したか。スピルバーグ作品らしくただの成長物語ではなく素直すぎる家族の生き方やアメリンテイストな学園もの絡め楽しく見せてくれる。素直に生きるって勝手なのか必要なのか。幸せならいいか。
少年の未来を信じた家族の物語
成長期の少年と、それを支えた続けた家族。
家の中では太陽のように明るいママ
時に、月のように透き通ったママを
「ママは泣かさない」と守る少年。
一方、映画へのアイディアは少年を熱狂させた。
「あれはETの場面だ」と思うシーン。
また少年の演出に一変、涙する俳優役のシーン。
キャメラを覗き込み走り回る少年の姿に見た未来。
しかし、少年は悩んで、悩んで、すごく悩んだ。
「映画は事実と違う」それは分かっている。
自分には才能はないのか?と全てを諦めかけた。
そして、あの人の言葉。
ぶっきらぼうだけど、その言葉は少年の心に光を与えた。
、、、終わりはあっという間 !!
「えぇ〜! もっと観たいのに」と心の中で叫んだ。
でも、この後の物語は、少年の未来は、
すでに世界中の誰もが知っている。
この映画の続き、何百倍もの映画の時間をくれた
スティーブン・スピルバーグに感謝したい。
※
夢を追う少年の苦悩と成長の物語
この映画はスピルバーグ監督の半生を描いた自伝映画であり、夢を追うことの痛みも描いています。
そしてその痛みを受けることへの苦悩、しかしその中にもある映画を撮る喜びなどを知りながら、少年が成長していくという映画です。
人並みではいられない
それぞれが幸せを願い
それぞれが苦しくなる
辛く悲しい現実だけど決して悪いことじゃない
人の気持ちは誰にもわからない
自分でさえ何が正解なのかどんなに歳をとってもわかるはずない
どこかで折り合いをつけてそれなりの理由を落とし所として生きていかなくちゃ
笑ったり泣いたりが多いほど人の心は豊かになると思う
読んだり見たり聞いたりしただけでは断片しか分からない
だからこそもっともっと経験を重ねていきたくなるものです
美味しいと言われてラーメン屋へ行きますが
まずいと人が言ってもそのラーメン屋へ私は行ってしまうのです
いろんな経験をしたい、いろんな場所へ行きたい
彼のように映画は作らなくても経験をたくさんしたいのです。
スピルバーグの生い立ちを
自伝的な作品なので淡々と進みます。偉大な映画監督の生い立ちを知るための作品です。一見の価値はありましたが劇的なものは何もありません。それを期待する作品ではないですが面白いとは言えません。知識のひとつとして記憶に留めておきます。
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家族の物語ですね。
スピルバーグの自伝的な映画だと言うことだったので、スピルバーグの映画作りを追った映画だと勝手に思ってました。
けれど、ジョーズも未知との遭遇も激突さえも出て来ません。
彼の話と言うより、彼の家族の話でした。
私もその昔8mmフィルムで映画(と呼べる物じゃないけど)を撮ってた事があるので、フィルムに傷を付けたり、編集したりした事を思い出したりして見てました。
この映画、どこ迄が本当なのかな?
文句なし!スピルバーグの作品への思いが伝わる
スピルバーグの自伝期を作品にしたが、全然違和感がなく、フェイブルマンの成長期を垣間見る事が出来た。彼の成長期での出来事をもとにヒット作のヒントとなっているのかと肌で感じた。シーンはネタバレになるので省くが、一つ一つのシーンに作品のヒントがある。これを見つける楽しみが本作品にはある。また、作品を通じて家族との愛、絆、人種差別についてもう一度観客に考えてほしいとのメッセージも含んでいる。スピルバーグの半生期ながら色々考えさせられた映画。見事でした。
普遍的な家族の物語
スピルバーグが自伝的映画を作ったと聞いて、一体どんな映画になるのか、もしかしてあの作品やあの作品の裏話が見られるんだろうかと楽しみに、公開日初日に鑑賞。
結論から言うと、本作はスピルバーグのアバター、サミー少年が映画作家として歩きはじめるまでを描いた物語だった。幼少期両親と一緒に見た初めての映画に衝撃を受け、プレゼントの鉄道模型とミニカーでそのシーンを再現するところから、映画製作に夢中になったサミー。
最初は妹たちと、やがて友人たちと8㎜映画を作り続けながら、サミーは成長し、映画の娯楽性と残酷さの両方を知っていく――というストーリー。
スピルバーグの自伝というと、映画作りに物語がフォーカスされていると思ってしまうけど、本作はもっと普遍的な家族の物語なのできっと多くの人の心に刺さると思うし、ほぼ3時間と長尺な映画なのに、体感ではあっという間に終わってしまった。おススメ。
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