フェイブルマンズのレビュー・感想・評価
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お相手はセス・ローゲン
全人類が彼の映画を観たことがあるスティーブン・スピルバーグ監督の自伝的作品にして、続けざまに公開される「映画の映画」の本命、予告だけで涙していた一作だが、スピルバーグはどう才能を開花させていったのかというより、ママの浮気で家庭がぐずぐずになっていくファミリームービーだった。たしかにタイトルはフェイブルマン家だし。とはいえ、オレに言われるまでもなくスピルバーグは映画を撮るのがうますぎるので、2時間半飽きることはない。
宇宙人や恐竜好きの内向的でオタクな青年が描かれるのかと思いきや、仲間とともに8ミリを回し、ガールフレンドができて…と、スピルバーグ、普通に青春していた。一方で、家族の崩壊やユダヤ人差別によるイジメがあったり、そういった負の要素ですらフィルムで表現し、それが彼の創作意欲の原点にあるということか。
珍しくまともな役のポール・ダノがファーストシーンで、人間の脳は1秒24コマの~と言うところ、エンパイア・オブ・ライトでのトビー・ジョーンズとまったく同じ発言。一方、ラストのジョン・フォードも全人類もれなく印象に残る。公開初日に観てから10日ほど経つが、始めと終わりを映画の映画らしく押さえてあるせいか、なんかいい作品だったと思わざるをえない。
スピルバーグの原体験を知る必見作
音楽を真面目に聴き始めた頃にデビューしたジャクソン・ブラウンやイーグルスを同期だと思うのと同様、スピルバーグやルーカスを同期だと勘違いしている。
そう、中学生の時に『激突!』と『アメリカン・グラフィティ』に出会った。
これはそんな同期の一人、スティーブン・スピルバーグの二十歳頃までを描いた自伝的な作品。50年間寄り添ってきたとはいえ、知らないことばかりだった。彼の原体験を知ることができて嬉しかった。
そして我がミューズ、ミシェル・ウィリアムズ💕
彼女を見てるだけで幸せになるっちゅうもんだ。
ラストはまさに泣き笑い🤣ジョン・フォード作品のポスターに嗚咽を漏らし、リンチの登場にクスッとした。実に爽やかなエンディングだった。
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自分が映画館で初めて観た映画は「モスラ対ゴジラ」だったかな。ザ・ピーナッツが出てたやつ。夢の中に何度も登場したゴジラ。どんな細い路地に逃げ込んでも必ず見つかってしまうのは何故だろうといつも悩んでた。
そう、そんなことを思い出さずにはいられない作品だった。
もう少し先まで描いて欲しかった
スピルバーグが、監督になるまで描いて欲しかったです。
これからって思ったら、終わってしまいました。
(ラストシーンは面白かったですが…)
とある家族の物語って感じかな~?
これは、スピルバーグご自身の大ファンって方には、お勧めしますが、
作品のファンって方には、もしかしたら物足りない感が残るかもしれません。
でも、やっぱり凄い人なのは確かです。
衝突は好きだったけどさ...
やはり、私はアカデミー賞との相性が極度に悪いらしい。昨年は、「ドライブ・マイ・カー」と「ナイト・メア・アリー」くらいで、後は結構すきだったんだけど、今年は「ノマドランド」や「ミナリ」、「プロミシング・ヤングウーマン」の一昨年のように、評論家との意見が合わない。一貫して思うのは、長くて退屈。眠たくなっちゃう。スピルバーグの半生を描いた物語って、結構期待してたんだけどな...。
映画というコンテンツの素晴らしさを描いている映画だとてっきり思っていたんだけど、私の捉え方が悪いのか、どうもそうは思えなかった。というか、見たかったのはそこじゃない...っていうのが正直な感想。誰も知らない過去だからこそ、映画化することに意味があったのかもしれないけれど、どうもそこに面白みを感じられない。ただただ、〈フェイブルマンズ〉一家の20年を羅列しただけ。んー、退屈しちゃうよ、それは。
エンターテインメント作品としても、ドキュメンタリー作品としても、かなり粗い。「バビロン」の方が圧倒的に映画愛に溢れていたし、魅力的で面白かった。舞台は違うとは言えども、同じ映画という世界。どうして、こんなにも違うのだろう。それか、私がお子ちゃまなだけか?笑 この映画を楽しむには、スピルバーグ愛が必要なのか?ちと、理解に苦しむ。
どのようにしてスピルバーグが映画に目覚めたのか、そして、彼の子ども時代にはどのような映画を撮っていたのか。この辺の描きはしっかりしており、割とみていても面白い。穴を開けるというのはなかなか。だが、かなり普遍的。アカデミー賞作品賞にノミネートされるほどのものか?色んな人を敵に回してそうで怖いが、少なくとも私はそう思う。これで、主演女優賞貰えるなら...これ以上は慎みます。
感性、バグってんのかな笑 不安です笑
でも、どう考えても賞レースの流れ的に、本作かエブエブが今年の作品賞に選ばれるはず。まだまだ、日本公開されていない映画ばかりであるために、決め付けられないところもあるが、アカデミー賞作品を見るのはやめておいた方がいいかも。
この作品は世に出す必要あるのかな
スピルバーグの原点
スピルバーグ監督の見事な手さばきの映画、心地良い面白さ
(完全ネタバレですので鑑賞後にお読み下さい)
この映画はスティーブン・スピルバーグ監督の自伝的なストーリーだということのようですが、スピルバーグ監督の見事な手さばきの映画だと思われました。
個人的には以下3点にその見事さがあるように思われました。
1点目は、それぞれのシーンでの生き生きとした登場人物たちの演技だったと思われます。
監督の演出は、主人公のサミー・フェイブルマン(ガブリエル・ラベルさん)による、劇中のナチスとの戦いの戦争映画の撮影現場で、味方が全滅した後の上官の感情を演出する場面でも表現されていたと思われましたが、とにかくどの登場人物も魅力的に映画の中で存在していたと思われます。
それは主人公のサミー・フェイブルマン(幼少時代含む)だけでなく、特に母のミッツィ(ミシェル・ウィリアムズさん)や、妹たちのレジー(ジュリア・バターズさん)・ナタリー(キーリー・カルステンさん)・リサ(ソフィア・コペラさん)(幼少時代含めて)、祖母のハダサー(ジーニー・バーリンさん)、ボリス伯父さん(ジャド・ハーシュさん)など、登場人物の魅力的な演技が輝いていたと思われます。
(父のバート(ポール・ダノさん)は控えめな人物で、また違った魅力がありましたが)
2点目は、人間の矛盾を深く理解して描いていたところだと思われました。
この映画『フェイブルマンズ』は、幼少時の主人公のサミーに母のミッツィと父のバートが映画がいかに美しく素晴らしいか暗闇が怖くないと説かれている場面から始まります。
しかしこの時に幼少時の主人公のサミーが見た映画の『地上最大のショウ』は、特に子供にとっては美しさや怖くないとは真逆の、列車が車と衝突して大脱線事故が繰り広げられる悲惨でショッキングな内容でした。
しかしサミー少年は逆にこの列車事故の映像に魅了され、映画作りのきっかけになって行きます。
ここにも人間の矛盾が描かれていたと思われます。
この人間の矛盾を描いている場面は、ベニー・ローウィ(セス・ローゲンさん)と主人公のサミーとのエピソードでも描かれていたと思われました。
後に、父バートと母ミッツィとの親友であるベニーが、母ミッツィと父を裏切る行為をしていたと、サミーがキャンプのフィルムを編集している時に気がつきます。
サミーの家族がベニーと別れてカリフォルニアに行く直前に、ベニーはサミーに高価なフィルムカメラを餞別にプレゼントします。
しかしベニーが母ミッツィと、父バートや家族への裏切りをしたと思っているサミーは、ベニーからのカメラのプレゼントの受け取りを拒否します。
ベニーは何度もカメラを持って行くようにとサミーに伝え、根負けしたサミーはその時自分のそれまで持っていたカメラを売って得たお金の全てを渡してベニーが渡して来たカメラと交換します。
しかしベニーはマジックのごとく別れ際にサミーの上着のポケットにお金を返して、サミーに映画を撮ることを辞めるなと言って立ち去って行きます。
このベニーが餞別にサミーにカメラを渡す場面は、彼の親友であるサミーの父やサミーの家族を裏切った人物を、サミーにとっての全面的な悪として描かず、矛盾ある魅力的な人物としてベニーを表現していたと思われます。
サミーはカリフォルニアに行った後で、反ユダヤのローガン(サム・レヒナーさん)などから高校でいじめに遭います。
しかし後にサミーが撮影した高校卒業間近のビーチパーティーの記録映画の中で、反ユダヤのローガンは輝いて映画の中に映っていました。
サミーは反ユダヤのクソであっても、映画はその人物の魅力を映してしまうことをローガンに伝えます。
ただローガンは、映画に映っていたのはステレオタイプの理想のそして自分にとっては軽薄な人物で、自分はあんな人間ではないと涙します。
ここでも、サミーにとって反ユダヤの憎むべき人物であっても、人間の矛盾を深く理解した上での人物描写がされていたと思われました。
最後に3点目は、スピルバーグ監督による並行したエピソードの巧みな構築にあったと思われます。
この映画は例えば映画制作の素晴らしさを描いただけの作品ではないと思われます。
この映画は、家族の物語であり、映画制作の話であり、反ユダヤをめぐる話などであったと言えます。
それぞれの細かいエピソードも含めて、頭から最後まで1つのテーマで描かれた作品では実はなかったと思われました。
ただそれぞれのエピソードが並行して描かれ、それぞれがダブって描かれているので、エピソードは様々であるのに断片的やぶつ切りに思われず、151分の長い作品でありながらまだまだ続きを見ていたい面白い映画になっていたと思われました。
また、よく考えれば私達の人生も、それぞれの問題が解決されないまま並行して進んでいるのだと改めて思わされる映画になっていたと思われます。
この並行したエピソードをダブらせて巧みに描く構築は、スピルバーグ監督の見事な手さばきだからこそ可能になっていると思われました。
以上の、
1.登場人物のそれぞれ輝く魅力
2.人間の矛盾に対する深い洞察と理解による描写
3.並行したエピソードを巧みにダブらせて配置する構成
によって、この映画『フェイブルマンズ』は見事な作品に仕上がっていると、僭越ながら思われました。
もちろんこの映画は大きな1つのテーマで描かれている作品ではないとは思われます。
なので大傑作大感動の映画とはまた違った作品だとは一方では思われました。
ただ万人に向けてお勧め出来る、素敵で素晴らしい作品であったこともまた事実だと思われました。
時に分かり易く、時に分かり難く
これを書いてる現時点の明日がアカデミー賞の授賞式で、作品賞の候補作は10本中の7本を鑑賞しましたが個人的な希望としては本作になれば良いかなと思っています。
本作が一番の傑作という意味合いではなく、アカデミー賞に一番似合う作品という個人的な勝手なイメージでの推薦です。でも、流石スピルバーグの作品だと思いましたし、彼の集大成に相応しい作品になっていたと思いました。
本作は自伝ということで勿論本人の物語ではありますが、他に映画について、家族について、人生についての物語が同じ比重で成立しているので、私の嫌いな偉人伝的要素は全くなく映画ファンとして実に興味深く観ることが出来ました。特に映画についての物語が、個人的には非常に面白かったです。
映画に限ったことではありませんが表現物には何にでも、真実と嘘とが表裏に重なり合っていて、表をだけを見せていても裏側も垣間見えたりその逆もあったりもする。母親やいじめっ子などの映像作品などで主人公が見せたかったもの見せたくなかったもの、作り手の意図する事と受け取り側の捉え方のギャップなど興味津々で鑑賞させられました。
まあ、この親にしてこの子有り、この環境にしてこの人生ありと頷きっぱなしの作品でした。
スピルバーグのデビュー当初は超娯楽作品ばかりでしたが(その後の人間ドラマも含め)その作品の全てに人間の持つ嘘と狂気が、時に表面的に時に隠され、時に分かり易く時に分かり難く描かれていたことが、本作によって納得させられた気がしました。
期待してたものと違う
地平線
横綱相撲を思わせる圧倒的な「映画」
フィルムが映し出すものの表裏
自伝かー、スピルバーグかー、であんまり見る気がありませんでした。でもみなさんのレビューを読んだり色々考えて、「自伝」でなくて記憶を参考にしたフィクション映画なんだ!スピルバーグって誰どすか?と思えたら急に見る気が出てきたので見ました。面白かったです。沢山笑えて少し泣けた。
ママのミシェル・ウィリアムズが最初から最後まで素晴らしかった。衣装もヘアメイクもセリフも。自ずとからだが動いてダンスする姿、悲しかったり欠落感を感じて何もしたくない気分の彼女、割と雑な料理の仕方と盛り付け、完璧で優しい夫への愛、自分を完全に解放できないジレンマ、サティを弾く彼女、自分をリラックスさせて笑わせてくれる人が好きな彼女。全部に共感できた気がする。なぜテーブルクロスも皿も紙で、カトラリーはプラスチックなんだろう?と思ったけれど、食事終わったらぜーんぶ紙クロスで包んで捨てちゃえば食器洗いしなくてすむね!ピアニストだから手はとても大事です。当時はもう食洗機はあったと思うけど。真っ赤なマニキュア塗った長い爪でピアノ弾くのはないよなあ、と思ったら親友ベニーがまず物言い。その通りだ!奔放で笑うことが好きで自分の気持ちをすぐに言葉にしてしまうところも好き。
ポール・ダノはこの役のために少し太ったのかな?完璧に理系の優秀な技術者、子ども達の父親であり妻を疑いなく心から愛している夫を素晴らしく演じていた。ポール、いい!
サミーも可愛かったなあ。チェックのボタンダウン・シャツ見て思わずスピルバーグが脳裏に浮かんでしまったよ~!大人なのにこの人はずっとチェックのボタンダウンにキャップなんだな、と昔思ったから。
スピルバーグの映画で私が好きなのは、「カラー・パープル」「ターミナル」「ミュンヘン」です。
良かった! 特にラスト5分の名シーンは鳥肌もの!!
スティーブン・スピルバーグ監督の幼少期から映画監督を目指すまでを描いた味わい深いドラマ
昔から映画雑誌などで語られてきた、スピルバーグ監督の辛かった家庭事情とピーターパン症候群、ユダヤ系として経験してきたいじめの実態を背景にしていながらも作品自体は暗くならず、爽やかでエネルギッシュ、最後はとても前向きな気分になれる後味がいい作品、"このストーリーを語らずにキャリアを終えることはできない"として撮った監督の想いがひしひしと伝わってくる味わい深い名作として完成されています
映画に詳しくなくても多くの人がスピルバーグ監督の代表作 「ジョーズ」「未知との遭遇」「インディ・ジョーンズ シリーズ」「E.T.」「ジュラシック・パーク シリーズ」といった映画史上に燦然と輝く名だたる作品群を知っていて、SFファンタジー/アドベンチャー色が強いため、そっち方面の監督と思われているかもしれませんが、本人としては人間ドラマで大成したいと思ってきた人、
本作はその原点に迫ると共に人を描きたかった監督の愛情あふれる演出に感嘆します
監督を投影したサムを力強く演じたガブリエル・ラベルさん、苦悩する母親を演じたミシェル・ウィリアムズさん、二人の熱演が印象的
特にサムが8㎜カメラのファインダーを覗きこむ姿にワクワクしました
そして個人的に一番好きなシーン
スピルバーグ監督が本格的に映画監督を目指すきっかけとなったエピソードが描かれるラスト、サムが出会うのは当時既に大巨匠だった「駅馬車」「リバティ・バランスを射った男」「捜索者」などで有名なジョン・フォード監督、アイパッチに葉巻を燻らしものすごい剣幕でまくし立て、構図について二言三言、助言する僅か数分のシーンですが、その熱量の凄いこと・・・
全身鳥肌ものだったのと、身体中に力が入り、まさに"息をのむ"とはこのことだなと実感しました
そのフォード監督を演じたのは「ブルー・ベルベット」「デューン/砂の惑星(1984年)」のデヴィッド・リンチ監督、本編中は誰か分かりませんでしたがエンドクレジットで判りました
今は亡き超大物監督を現代の超大物が圧巻の演技で魅せる最高に粋な演出、間違いなくスピルバーグ監督の新たなる代表作として語り継がれることでしょう
個人的には本作の後、TVドラマ映画「激突!」で注目され「続・激突! カージャック」で劇場用長編映画監督デビューし続けて「ジョーズ」「未知との遭遇」・・・とヒット作を次々と世に送り出していく続編をいつか撮ってほしいとも思いました
おっ、今から面白くなりそうと思ったら
監督の家族の物語
スピルバーグ監督の幼少期から青年期を土台に作った物語だけど、期待したものと違ってた。
映画の魅力に取り憑かれた青年の物語かと期待したんだけど、
制作場面はところどころに出てくるんだけど、映画制作そのものより主人公とその家族がどう過ごしたかといったものになっててなんとなく掴みどころのない物語の様に感じた。
ところどころに監督の作品にインスパイアされる場面が出て来るところは映画好きには心をくすぐられる。
スピルバーグの、ってのなくていいくらい
想像してたのとまったく違ってた。「E.T.」の家庭に父親がいなく、母親がテンション高めで、妹がお父さんのことを言うと泣いたりするあたりがスピルバーグの子どもの頃に見ていた家族の姿だと思っていたが、もっとディープでした。そして母親と父親の間に起こった出来事。伝え聞いていたカメラを持った神童の姿もチョロチョロっと描かれるのだけど、そのカメラはもっと見てはいけない世界を捉えてしまっていた。
映画は偉人の伝記ではなく、むしろあまり見せたくないパーソナルな秘話。幼年期青春期に自分の手にシネカメラがありました、という少年の話で、虚構に魅せられる少年が、真実しか映さないカメラを通して映し取ってしまった真実に悩み、また真実だけど中身が映ってない、ということに悩むいじめっこがいたり、アメリカ映画といよりは、ヨーロッパのアート映画のテーマのよう。これ、スピルバーグの自伝、とかいう設定なく描いても良かったのではと思ってしまう。いや、フェイブルマンという名前にしてるくらいだから宣伝の仕方よりはその趣向ではあるのだろう。ただ、ラストシークエンスのあの巨匠の登場は問答無用に感動。そしてラストカットのゆらっ、はニンマリする。
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