フェイブルマンズのレビュー・感想・評価
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あえての酷評
映画鑑賞にハマったきっかけは小学生の頃に観た「E.T.」でした。
「ジュラシックパーク」と「シンドラーのリスト」を同年に観せられたときには、本当のエンターテナーとはこういう人のことを言うのかと衝撃を受けました。
「バビロン」「エンパイアオブライト」と映画愛3作品と勝手にグルーピングして、締めくくりに期待を寄せていました。
それだけに、スピルバーグの生い立ちを観られたこと以外は、全体の流れが単調で、少し残念でした。
「これをつくっておかないと」と予告で発言されていたのに対し、家族のあれこれ、映画製作への歩み、ユダヤ人への偏見と、焦点がどこにあったのか不明確な感じだったせいでしょうか。
どんなに優れた才能をもってしても、自分語りは難しいということでしょうか。
「衝突」の原点、「E.T.」を思い出させるクローゼット内の景色等を楽しみながら、どんな「THE END」になるのかと思いながら観るなかで、最後にジョン•フォードを登場させたことで、爽やかな気持で劇場を出ることができました。
この先も楽しませてくれると信じています。
おじさんの匂いがした
いい意味でおじさんの匂いがしました。ストーリーの中の感情は、時勢とか分かってないと感情移入しにくいと感じましたが、スピルバーグは色んな情緒、出来事に、触れて今でもそれらと真摯に向き合っているんだろうなと感じました。ラストの伏線回収には気付きませんでした。まだまだ勉強足りない。。でも最後の監督の言葉は印象に残っています!
すごかった
想定を上回る表現や展開が連発し、感動しながら圧倒される。
お母さんの浮気動画を作ったら、みんなの前で上映してしまうのではないかと思ったら、そんな安い表現はしない。お母さんだけに見せる。お母さんはお父さんや家族を愛していながらも、浮気相手にひかれる。人間である以上どうしようもないことだ。お父さんの立場もつらい。
ビーチでの撮影で、いじめっ子に恥をかかせる動画を作るのかと思ったら、輝かしくかっこよく表現して、それで相手の心を傷つける。理由が「5分だけでも友達になれると思った」なんて切なさだ。傷つく相手も繊細だ。
8ミリが上手すぎる。すでにプロ級だ。
人生の春を描いた物語で、これから先夏が来て秋と冬も来る。想像しただけで涙が出る。
編集
映画のことを知らなくても有名な監督って誰?ってなればきっとスピルバーグ監督の名前が出てくると思う。それくらい圧倒的な存在感を示している監督。
そんな彼がどうして映画を選んだのか。
あるいは映画が彼を選んだのか…。
スティーブンスピルバーグ監督の幼少期から映画界に入るまでの思い出をもとに、サミーファブルマンズというキャラクターを通して映画化した本作。
スピルバーグ監督の映画の源流がこの作品に詰まっている!
映像の使い方を見誤れば多くの人を傷つける事もあるし、愛されることもある。
まさに映像の魔力。
そして映像は真実を映す時もある。
それは作り手の思いだったり、カメラを通して見えてくる憧れや、想いといった感情だったり。そんなフィルムを集めてカットできる部分と、カットできない部分を取捨選択していって物語が作られていく。
サミーが作るショートフィルムがいくつか出てくるのだが様々なアイデアには溢れていて映画の見せ方が画期的なんだなと気づかせてくれる。それらの作品が後々のスピルバーグ作品に反映されていくんだと思うとワクワクが止まらなかった。
楽しく才気に溢れて作り続けたサミーの作品が徐々に物議を醸し出してくると、アートと家族と好きを突き通す事の物語へと加速していき、見ているものの心を揺さぶっていく。
ラストの一瞬まで映画の面白さが溢れていて最後は泣きながら笑ってました。あの照れ隠し感がアメリカ映画だなと思わせてくれるんですね。
正直今の拙い語彙力ではネタバレをしなければこの作品の感激や、感動をうまく表せないのが悔しい!!
映画の面白さ、編集する意味、好きな事を仕事にする覚悟について深く深く考えさせられました…。
最近のスピルバーグ作品ではダントツで好きな作品。今年ベストになるんじゃないかなと。脚本のトニークシュナーはミュンヘンやリンカーン、最近だとウエストサイドストリーなどを一緒に手がけた方。なのでスピルバーグ監督との付き合いはとても長いそうで、そう言ったキャリアを通じで本作は完成したそうです。
俳優陣のミシェルウィリアムズ、ポールダノ、セスローゲン、ジャドハーシュ、ガブリエルラベルとどのキャラクターたちも大変良かった。特にポールダノのラストの芝居には切なさに胸を打たれました。
映画に対する多種多様な想いがたくさん詰まっていて大変満足感が高い作品。
またこういった映画が見たいです。
スピルバーグ監督!!
スピルバーグ離れ
映画を作る僕的には果てしなく最高な映画だった。
ただ、10代20代はもう、スピルバーグを通ってきてない。
私はオタクなので、語り口調とユーモアのスピルバーグらしさに一喜一憂して終始興奮状態だったが、
多分これ、若者見たら寝ると思う。
あとは芸術を志したことがない人も。
ヒットする幅は狭いけど、ヒットするともう立てないくらい。
観てから一週間、何も映画が見れていない。
いじめっ子をヒーローみたいに映したエピソードが
好きな映画シーンのTOP10にはいるくらい鳥肌たった。
私すごいわかる。
前へ進もう! フェイブルマン家の物語
スピルバーグ監督御本人のお話かと思っていたら、一家の物語だったのですね。
家族のストーリーとして非常に面白かった!両親・きょうだいそれぞれが個性的、周囲からの様々な影響を受けながらサミーの映画人としての素養が築かれていったのでしょうね。
ややエキセントリックなアーティストのお母さま、ロジカルな思考で物事を突き詰めるお父様、両方の良いところも悪いところも受け継いで、大人になってもそれぞれは離れてしまってもリスペクトしあいながら心は繋がっている。
物事には理由がある、前へ進め!
サミーのサクセスストーリーというよりか、家族の物語として秀逸でした。
両親への深い想いに溢れた作品
両親に連れられ、初めて映画館で観た映像に目を丸くした少年サミー・フェイブルマン。後々巨匠となる彼が、葛藤し歩んだ自らの青年期を描いた作品。
多くの俳優が演じたかったであろうサミー・フェイブルマンを、ガブリエル・ラベルが見事に演じる。
悩みながらも母として家族を支えるピアニストミッツィをミシェル・ウィリアムズが、家族を大きな愛で包むコンピューターエンジニアの父バートをボール・ダノが演じる。
母親を…そして父親を見つめるサミーの眼差しが痛い程切ない。
エンドロールで流れるピアノの音色が美しく、巨匠スピルバーグ監督の両親への溢れる思いに一層心が揺さぶられた。
ーリアに捧ぐ
ーアーノルドに捧ぐ
映画館での鑑賞
お相手はセス・ローゲン
全人類が彼の映画を観たことがあるスティーブン・スピルバーグ監督の自伝的作品にして、続けざまに公開される「映画の映画」の本命、予告だけで涙していた一作だが、スピルバーグはどう才能を開花させていったのかというより、ママの浮気で家庭がぐずぐずになっていくファミリームービーだった。たしかにタイトルはフェイブルマン家だし。とはいえ、オレに言われるまでもなくスピルバーグは映画を撮るのがうますぎるので、2時間半飽きることはない。
宇宙人や恐竜好きの内向的でオタクな青年が描かれるのかと思いきや、仲間とともに8ミリを回し、ガールフレンドができて…と、スピルバーグ、普通に青春していた。一方で、家族の崩壊やユダヤ人差別によるイジメがあったり、そういった負の要素ですらフィルムで表現し、それが彼の創作意欲の原点にあるということか。
珍しくまともな役のポール・ダノがファーストシーンで、人間の脳は1秒24コマの~と言うところ、エンパイア・オブ・ライトでのトビー・ジョーンズとまったく同じ発言。一方、ラストのジョン・フォードも全人類もれなく印象に残る。公開初日に観てから10日ほど経つが、始めと終わりを映画の映画らしく押さえてあるせいか、なんかいい作品だったと思わざるをえない。
スピルバーグの原体験を知る必見作
音楽を真面目に聴き始めた頃にデビューしたジャクソン・ブラウンやイーグルスを同期だと思うのと同様、スピルバーグやルーカスを同期だと勘違いしている。
そう、中学生の時に『激突!』と『アメリカン・グラフィティ』に出会った。
これはそんな同期の一人、スティーブン・スピルバーグの二十歳頃までを描いた自伝的な作品。50年間寄り添ってきたとはいえ、知らないことばかりだった。彼の原体験を知ることができて嬉しかった。
そして我がミューズ、ミシェル・ウィリアムズ💕
彼女を見てるだけで幸せになるっちゅうもんだ。
ラストはまさに泣き笑い🤣ジョン・フォード作品のポスターに嗚咽を漏らし、リンチの登場にクスッとした。実に爽やかなエンディングだった。
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自分が映画館で初めて観た映画は「モスラ対ゴジラ」だったかな。ザ・ピーナッツが出てたやつ。夢の中に何度も登場したゴジラ。どんな細い路地に逃げ込んでも必ず見つかってしまうのは何故だろうといつも悩んでた。
そう、そんなことを思い出さずにはいられない作品だった。
スピルバーグ監督の自伝的物語
映像を撮ることによって、見たくなかった事まで
気付いてしまってからの葛藤や、
ユダヤと不当な扱いされてからの葛藤、
地平線のくだりなど
スピルバーグ監督誕生までの色々を知れて
面白かった。
もう少し先まで描いて欲しかった
スピルバーグが、監督になるまで描いて欲しかったです。
これからって思ったら、終わってしまいました。
(ラストシーンは面白かったですが…)
とある家族の物語って感じかな~?
これは、スピルバーグご自身の大ファンって方には、お勧めしますが、
作品のファンって方には、もしかしたら物足りない感が残るかもしれません。
でも、やっぱり凄い人なのは確かです。
衝突は好きだったけどさ...
やはり、私はアカデミー賞との相性が極度に悪いらしい。昨年は、「ドライブ・マイ・カー」と「ナイト・メア・アリー」くらいで、後は結構すきだったんだけど、今年は「ノマドランド」や「ミナリ」、「プロミシング・ヤングウーマン」の一昨年のように、評論家との意見が合わない。一貫して思うのは、長くて退屈。眠たくなっちゃう。スピルバーグの半生を描いた物語って、結構期待してたんだけどな...。
映画というコンテンツの素晴らしさを描いている映画だとてっきり思っていたんだけど、私の捉え方が悪いのか、どうもそうは思えなかった。というか、見たかったのはそこじゃない...っていうのが正直な感想。誰も知らない過去だからこそ、映画化することに意味があったのかもしれないけれど、どうもそこに面白みを感じられない。ただただ、〈フェイブルマンズ〉一家の20年を羅列しただけ。んー、退屈しちゃうよ、それは。
エンターテインメント作品としても、ドキュメンタリー作品としても、かなり粗い。「バビロン」の方が圧倒的に映画愛に溢れていたし、魅力的で面白かった。舞台は違うとは言えども、同じ映画という世界。どうして、こんなにも違うのだろう。それか、私がお子ちゃまなだけか?笑 この映画を楽しむには、スピルバーグ愛が必要なのか?ちと、理解に苦しむ。
どのようにしてスピルバーグが映画に目覚めたのか、そして、彼の子ども時代にはどのような映画を撮っていたのか。この辺の描きはしっかりしており、割とみていても面白い。穴を開けるというのはなかなか。だが、かなり普遍的。アカデミー賞作品賞にノミネートされるほどのものか?色んな人を敵に回してそうで怖いが、少なくとも私はそう思う。これで、主演女優賞貰えるなら...これ以上は慎みます。
感性、バグってんのかな笑 不安です笑
でも、どう考えても賞レースの流れ的に、本作かエブエブが今年の作品賞に選ばれるはず。まだまだ、日本公開されていない映画ばかりであるために、決め付けられないところもあるが、アカデミー賞作品を見るのはやめておいた方がいいかも。
この作品は世に出す必要あるのかな
クリエイターが自分語りをはじめたら終わりだろって気持ちがあったのね。
だから素直に観られてない可能性が高いんだけど。
これ『スピルバーグのことだな』と思って観てるから観られるけど、その辺の少年の話を描いてるんだったら、たぶん観られたもんじゃないんじゃないかな。
出来事を淡々と語ってはいるけど、それに対してどうこうがないもんね。
良くあるアーティストの伝記作品になっていて、物語としての面白さはないのね。
そしてそれを、自分でやってしまっては、やっぱりどうかなと思ったよ。
スピルバーグの原点
自伝ではあるが、スピルバーグのサクセスストーリー!ではなく、スピルバーグの映画監督になるまでの、家族や青春時代を描いたお話し。まさに監督を形作った原点。両親の影響が強いのかな?すごくダイナミックというわけでなく、家族と過ごす青春時代が丁寧に描かれていて、これらの出来事が監督に影響を与えたんだなあ、と自然に思わせる。奔放なママ役のミシェル・ウィリアムズも好演だったけど、パパのポール・ダノも確かな演技(バッドマンのリドラーの人なんだよね!)三時間長いと思う人もいるかもしれないけど、私はじっくり楽しめました。ラストのほうのイケメンイジメっ子も意外だったよね。
スピルバーグ監督の見事な手さばきの映画、心地良い面白さ
(完全ネタバレですので鑑賞後にお読み下さい)
この映画はスティーブン・スピルバーグ監督の自伝的なストーリーだということのようですが、スピルバーグ監督の見事な手さばきの映画だと思われました。
個人的には以下3点にその見事さがあるように思われました。
1点目は、それぞれのシーンでの生き生きとした登場人物たちの演技だったと思われます。
監督の演出は、主人公のサミー・フェイブルマン(ガブリエル・ラベルさん)による、劇中のナチスとの戦いの戦争映画の撮影現場で、味方が全滅した後の上官の感情を演出する場面でも表現されていたと思われましたが、とにかくどの登場人物も魅力的に映画の中で存在していたと思われます。
それは主人公のサミー・フェイブルマン(幼少時代含む)だけでなく、特に母のミッツィ(ミシェル・ウィリアムズさん)や、妹たちのレジー(ジュリア・バターズさん)・ナタリー(キーリー・カルステンさん)・リサ(ソフィア・コペラさん)(幼少時代含めて)、祖母のハダサー(ジーニー・バーリンさん)、ボリス伯父さん(ジャド・ハーシュさん)など、登場人物の魅力的な演技が輝いていたと思われます。
(父のバート(ポール・ダノさん)は控えめな人物で、また違った魅力がありましたが)
2点目は、人間の矛盾を深く理解して描いていたところだと思われました。
この映画『フェイブルマンズ』は、幼少時の主人公のサミーに母のミッツィと父のバートが映画がいかに美しく素晴らしいか暗闇が怖くないと説かれている場面から始まります。
しかしこの時に幼少時の主人公のサミーが見た映画の『地上最大のショウ』は、特に子供にとっては美しさや怖くないとは真逆の、列車が車と衝突して大脱線事故が繰り広げられる悲惨でショッキングな内容でした。
しかしサミー少年は逆にこの列車事故の映像に魅了され、映画作りのきっかけになって行きます。
ここにも人間の矛盾が描かれていたと思われます。
この人間の矛盾を描いている場面は、ベニー・ローウィ(セス・ローゲンさん)と主人公のサミーとのエピソードでも描かれていたと思われました。
後に、父バートと母ミッツィとの親友であるベニーが、母ミッツィと父を裏切る行為をしていたと、サミーがキャンプのフィルムを編集している時に気がつきます。
サミーの家族がベニーと別れてカリフォルニアに行く直前に、ベニーはサミーに高価なフィルムカメラを餞別にプレゼントします。
しかしベニーが母ミッツィと、父バートや家族への裏切りをしたと思っているサミーは、ベニーからのカメラのプレゼントの受け取りを拒否します。
ベニーは何度もカメラを持って行くようにとサミーに伝え、根負けしたサミーはその時自分のそれまで持っていたカメラを売って得たお金の全てを渡してベニーが渡して来たカメラと交換します。
しかしベニーはマジックのごとく別れ際にサミーの上着のポケットにお金を返して、サミーに映画を撮ることを辞めるなと言って立ち去って行きます。
このベニーが餞別にサミーにカメラを渡す場面は、彼の親友であるサミーの父やサミーの家族を裏切った人物を、サミーにとっての全面的な悪として描かず、矛盾ある魅力的な人物としてベニーを表現していたと思われます。
サミーはカリフォルニアに行った後で、反ユダヤのローガン(サム・レヒナーさん)などから高校でいじめに遭います。
しかし後にサミーが撮影した高校卒業間近のビーチパーティーの記録映画の中で、反ユダヤのローガンは輝いて映画の中に映っていました。
サミーは反ユダヤのクソであっても、映画はその人物の魅力を映してしまうことをローガンに伝えます。
ただローガンは、映画に映っていたのはステレオタイプの理想のそして自分にとっては軽薄な人物で、自分はあんな人間ではないと涙します。
ここでも、サミーにとって反ユダヤの憎むべき人物であっても、人間の矛盾を深く理解した上での人物描写がされていたと思われました。
最後に3点目は、スピルバーグ監督による並行したエピソードの巧みな構築にあったと思われます。
この映画は例えば映画制作の素晴らしさを描いただけの作品ではないと思われます。
この映画は、家族の物語であり、映画制作の話であり、反ユダヤをめぐる話などであったと言えます。
それぞれの細かいエピソードも含めて、頭から最後まで1つのテーマで描かれた作品では実はなかったと思われました。
ただそれぞれのエピソードが並行して描かれ、それぞれがダブって描かれているので、エピソードは様々であるのに断片的やぶつ切りに思われず、151分の長い作品でありながらまだまだ続きを見ていたい面白い映画になっていたと思われました。
また、よく考えれば私達の人生も、それぞれの問題が解決されないまま並行して進んでいるのだと改めて思わされる映画になっていたと思われます。
この並行したエピソードをダブらせて巧みに描く構築は、スピルバーグ監督の見事な手さばきだからこそ可能になっていると思われました。
以上の、
1.登場人物のそれぞれ輝く魅力
2.人間の矛盾に対する深い洞察と理解による描写
3.並行したエピソードを巧みにダブらせて配置する構成
によって、この映画『フェイブルマンズ』は見事な作品に仕上がっていると、僭越ながら思われました。
もちろんこの映画は大きな1つのテーマで描かれている作品ではないとは思われます。
なので大傑作大感動の映画とはまた違った作品だとは一方では思われました。
ただ万人に向けてお勧め出来る、素敵で素晴らしい作品であったこともまた事実だと思われました。
時に分かり易く、時に分かり難く
これを書いてる現時点の明日がアカデミー賞の授賞式で、作品賞の候補作は10本中の7本を鑑賞しましたが個人的な希望としては本作になれば良いかなと思っています。
本作が一番の傑作という意味合いではなく、アカデミー賞に一番似合う作品という個人的な勝手なイメージでの推薦です。でも、流石スピルバーグの作品だと思いましたし、彼の集大成に相応しい作品になっていたと思いました。
本作は自伝ということで勿論本人の物語ではありますが、他に映画について、家族について、人生についての物語が同じ比重で成立しているので、私の嫌いな偉人伝的要素は全くなく映画ファンとして実に興味深く観ることが出来ました。特に映画についての物語が、個人的には非常に面白かったです。
映画に限ったことではありませんが表現物には何にでも、真実と嘘とが表裏に重なり合っていて、表をだけを見せていても裏側も垣間見えたりその逆もあったりもする。母親やいじめっ子などの映像作品などで主人公が見せたかったもの見せたくなかったもの、作り手の意図する事と受け取り側の捉え方のギャップなど興味津々で鑑賞させられました。
まあ、この親にしてこの子有り、この環境にしてこの人生ありと頷きっぱなしの作品でした。
スピルバーグのデビュー当初は超娯楽作品ばかりでしたが(その後の人間ドラマも含め)その作品の全てに人間の持つ嘘と狂気が、時に表面的に時に隠され、時に分かり易く時に分かり難く描かれていたことが、本作によって納得させられた気がしました。
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