劇場公開日 2023年3月3日

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「地平線はどこにある…⁈」フェイブルマンズ bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0地平線はどこにある…⁈

2023年3月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

昨日の『エブエブ』に続き、アカデミー賞・ノミネート作品の鑑賞。映画ファンならずとも、世界中が誰もが知る、数多くの名作映画を生み出してきた、映画監督・スティーブン・スピルバーグの幼少期からハリウッドへの第一歩を踏み出すまでの生い立ちを描いた自伝的作品。

スピルバーグが、この世に残してきた業績は、計り知れないものがある。『ジョーズ』や『ジュラシック・パーク』では、ハラハラ感や恐怖を、『E.T』や『未知との遭遇』では、宇宙との親睦的なコンテクトを、また『シンドラーのリスト』や『プライベート・ライアン』では、人類の黒歴史としての戦争の悲惨さを、他にも『インディ・ジョーンズ』『レディ・プレイヤー1』、最近では、『ウエスト・サイド・ストーリー』もリメイクしたし、挙げればきりがない。そして、「彼が作った映画はぜひ観たい」と思わせるだけの期待を抱かせ、多く人を映画館に足を運ばせてきた。勿論、自分も初めて『激突』を劇場で観て以来、殆どの作品を鑑賞し、自分の人生の様々な場面に、彼の作品はリンクしてくる。

本作では、そんなスピルバーグ監督の誕生秘話を、初めて両親に連れられて観にいった映画に魅了されるシーンから始まる。そして、母親の買ってもらった8mmカメラで、自分なりに作品を撮り始め、それを観る人が笑顔になることで、益々映画作りの魅力の虜となっていく、少年の姿が描かれていく。

しかし、彼の映画作りには、ユダヤ人差別による苛め、父親が映画作りへの無理解、母親の浮気からの両親の離婚、若気の至れの失恋、等、様々な試練が立ち塞がっていく。その中で、やはり家族愛と言うものを、彼自身がずっと欲していたのだ、と感じとれた。彼の作品を今一度思い返してみると、その作品の根底に流れているのは、やはり彼が求め続けてきた信頼や家族愛が流れている、と感じた。

また、本作の中で、友人と連れ立って自転車で走り抜けるシーンや、冒頭の列車が脱線衝突するシーンは、それぞれ『E.T.』や『スーパーエイト』にもあったと思う。彼の幼少期から刻まれた様々な記憶の断片が、各作品の印象的なシーンの原点となって描かれているのかもしれない。

彼自身、何度かアカデミー賞には輝いているが、その偉大な監督・スピルバーグが、ハリウッドに辿り着くまでの若かりし頃の紆余曲折を、ヒューマンタッチに描いている。映画界に多大な業績を残してきた彼だからこそ、再度、オスカーを手にするに相応しい作品でもあると感じた。

bunmei21