「ストーリーはこんなにも人を喜怒哀楽させるのかと感動」フェイブルマンズ // frec //さんの映画レビュー(感想・評価)
ストーリーはこんなにも人を喜怒哀楽させるのかと感動
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宗教、差別、スクールカーストといった、誰かが作り上げた空想の中でもがき、家族の中では、最も自分を精神的に支援してくれたお母さんの恋模様が、お父さんは資本主義に翻弄された猛烈サラリーマンで家族を翻弄する。これらの格差、差別、イデオロギー、経済システムは全てフィクションによって構築されたものだ(サピエンス全史的な世界観)。そのフィクションを映画という形でパッケージングしてるという構成が面白い。
子供の頃から映画に夢中になったサム少年は、レンズ越しにこれを捉える。ポールダノに「趣味だ」と揶揄されるが、それに怒りを覚える。卒業式で流した映像で、同級生が悲しみ•怒りを爆発させる。「こんなにも映像は人の喜怒哀楽を揺さぶるのか!」と思ったに違いない。サム少年は、その様子をどこかレンズから覗いているように客観的に見ているように感じた。
今はスマホで簡単に撮影してSNSでシェアされるが、当時は映像コンテンツなど少なかったに違いない。しかも、自分たちの仲間が写っているとなればみんな喜ぶだろう。承認欲求という点では今も昔も変わらないなと実感した。
「クラッシュ」で始まり終始「クラッシュ」が根底に流れて続けているような映画だった。だが、最後にくすぶっていた情熱がジョンフォード氏の言葉によって爆発したように見えた。映画界の巨匠同士が良い意味でクラッシュした瞬間を見たようだった
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