「映画しかない男が映画の職を掴むまでのお話なんだけど・・・」フェイブルマンズ カツベン二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
映画しかない男が映画の職を掴むまでのお話なんだけど・・・
映画の事故シーンが怖かったトラウマを映画を撮ることで克服させるって、フィクションの裏側を教えると言う意味では良い方法だと思うが、バリバリの技術者の父親ではなく芸術系の母親が勧めたことが興味深く、のちにジョーズやプライベートライアンなど血まみれの映画を撮ることとの対比としても面白いエピソードだと思った。
母親は家族のために我慢していたが最後は自分に正直になり好きな人の元へ行くが、夫が見ている前でも構わずイチャつき、自由人として家庭を崩壊させる原因のように描かれており、スピルバーグ自身本当は心から許していないのではないかと思った。
父親は一見すると被害者者のようだが、家庭を守りたいが為にそれに気付かないふりをし平静を装い解決を先延ばしにするなど責任の一端は十分にあると思った。
実は嫌われてたおじさんが両親よりも一番サムのことや世間の事を良くわかっている。
プロムの彼女可愛いけどどうしたかったのか良くわからなかった。
高校のいじめっ子が映像を観て泣き喚いていたのは面白かったが、大したことではない現実でも映像で素晴らしく見せるという才能が開花した瞬間があれだったのかもしれない。
そしてアメリカ映画のイジメシーンはいつ見てもエゲツない。
スピルバーグの自伝的映画だが、ユダヤ人家庭の内向的な少年と言うこともあり、広い交友関係があるわけでもなく、ほぼ家族、特に母親と自身との関係を描いた部分が多く、もっと映画制作、作風、方向性に影響を与えたきっかけみたいなものを見てみたかった。
撮影でリアリティを出すための色々な工夫は面白かったけど。
デビッド・リンチ演じる何故か血だらけのジョン・フォードは笑えたが、なんかよくわからない地平線の話はサムには刺さったみたいで、これが史上最高の映画監督誕生の大きなきっかけとなったとしたら最高のエピソードだと思った。