劇場公開日 2023年3月3日

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「映画作りは、作る側の心をズタズタにする。その対価とは」フェイブルマンズ bionさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5映画作りは、作る側の心をズタズタにする。その対価とは

2023年3月4日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

 スピルバーグの映画に対する思いがストレートに伝わってくる。
 怖がりのサミー少年が、初めて見る映画は列車強盗があるアクション映画。列車と自動車が激突するシーンにショックを受けるが、そこはスピルバーグ少年、脳裏に焼き付いてしまう。列車の模型を走らせるだけでは飽きたらず、激突シーンを8ミリフィルムで撮ってしまう。

 第1幕は、少年時代。第2幕は、父親の仕事の都合で引越したアリゾナ時代。ここでサミー少年は、映画制作の楽しみを存分に味わうことになる。
 ところが、またもや父親のキャリアアップのためにカルフォルニアに移り住むことに。色々な事が起こる第3幕へと突入する。

温厚でエンジニアとして成功していく父、ピアニストとしても活動する芸術家肌の母親。その2人に加えて、父親の親友であり助手でもあるベニーが家族のイベントごとには必ず存在する。徐々に、ベニーに対して違和感を感じるようになるが、この辺の演出を映像だけで表現してしまうのが、さすがスピルバーグ。

 映画作りは、作る側の心をズタズタにする。作中で何度かセリフとして出てくるが、その対価に何を得られるかは、言葉では語られない。
 フェイブルマンが撮った映画を観て、笑いころげる顔、興奮する様子、内面を抉られたように反応する人間。そのリアクション全てが、サミーのさらなる映画への情熱の原動力になり、これが最高の報酬だと思う。

 フォード監督が、サミーに与えたアドバイスには、唸ってしまう。たったあれだけのことだが、私には目からウロコでございました。

bion
2023年3月6日

千葉のイオンシネマにて観ようと思います。

美紅