劇場公開日 2023年3月3日

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「偉大な映画監督が少年だった頃」フェイブルマンズ まきもどしさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0偉大な映画監督が少年だった頃

2023年2月25日
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鑑賞方法:試写会

泣ける

知的

幸せ

フェイブルマン家はユダヤ人の家系。戦後まもなく生まれたサムは家庭の都合で引っ越しをすることが多く、差別を受けることもあるが優秀な電気技師の父親のお陰で物質的には裕福だった。幼い頃に見た映画というものに惹かれすぐに見様見真似で映画作りを始めるサム。サムが監督し、妹や友達が演者、出来上がった作品はコミュニティ内で上映会をする。そんな充実した日々がやがて終わりを告げる……という、スピルバーグ監督の自伝的作品。
スピルバーグ監督、母と同世代で、物心ついたときには既に偉大な映画監督であったので「どんな少年時代を過ごしたのか?」など考えたこともなかった。母親から受け継いだ芸術的資質と、突然家族の形が変わってしまったことがスピルバーグ監督の優しくてファンタジックな作品として現れているのかなと思った。
齢70を過ぎても子供の頃の孤独や葛藤というのは消えないのかな。となんだか少し怖くもなったが、様々な経験が映画に生きているし、映画作りを通して昇華するしかない。そういう業の深さも感じて、スピルバーグ監督作品が好きな人は勿論、創作活動と日常生活とのバランスを見つめ直したい人にもオススメの作品です。

ところでガブリエルラベル、冴えないスティーヴロジャースみ(CGで縮んだくりえばみ)がありません?すごく気になってしまった……。

まきもどし