劇場公開日 2024年1月12日

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「無言で進むロードムービー」葬送のカーネーション コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5無言で進むロードムービー

2024年1月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

トルコを旅する老人と孫娘の話。
あらすじには「亡き妻」とあるが、後半でやっと明かされるまで、誰の亡骸かは不明のまま映画は進む。
孫娘の名を呼んだり、宗教的に子どもだからと許せないことを叱る以外に、ほとんど主人公の老人にセリフはない。
孫娘が墓にカーネーションを添えるまで、なんでこのタイトルだかもわからない。

帰りに見た宣伝パネルに、「小津安二郎の影響をうけた」と書いてあり、あゝと膝を打つ。
見終わって、観た人間の心の中でやっと完結するタイプ。
しかも、人によってまったく感想が異なるやつ。

私には、ロードムービー調に周りの人々がどんな価値観があるかを述べさせながら、主人公にとっては大切な故郷、家族の思い出の地を奪った戦争や対立する国々への怒りと悲しみに震え、このまま死んでいってもいいという自暴自棄ぶりに見えました。
またそんな男の姿と対比で、これからの世代〜孫娘は、子どもらしい生き方は許されないまま一人で生きていかなければならないという未来を示した作品に思えました。
この感想が、監督スタッフが意図した方向とは限らないけれども、人の数だけ感想がわかれるような気がしました。

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コージィ日本犬