劇場公開日 2024年4月19日

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「『恋人たちの予感』を観ていたはずが気付いたら『ファントム・スレッド』になってましたみたいな展開が全く読めないヘンテコ映画」マンティコア 怪物 よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0『恋人たちの予感』を観ていたはずが気付いたら『ファントム・スレッド』になってましたみたいな展開が全く読めないヘンテコ映画

2022年11月4日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ゲーム会社でモンスターのデザインを請け負っているデザイナーのフリアンはアパートの隣室で起こった火事から一人で留守番していた少年クリスティアンを助けたことから彼が奏でるピアノに心を癒されるようになる。フリアンは父親を介護しながら勉強しているディアナと知り合いデートを重ねるがフリアンの心の中では奇妙な感情が蠢いていた。

『アバター』の話などでそこそこ盛り上がったりするオーソドックスな恋物語に、フリアンがクリスティアンに語る幼い頃の夢、ゴヤの『我が子を喰らうサトゥルヌス』といったノイズがチラチラ見え隠れするのを眺めながら一体どんなオチに連れて行かれるのだろうかと身構えながら鑑賞していましたが、ほぼ前振りもなく訪れる修羅場からの迷走、袋小路に強引に風穴を開ける展開と静かな終幕、何もかもがこちらの予想にないもので仰け反りつつ、なるほどだからこのタイトルなのかと納得しました。『恋人たちの予感』を観ていたはずが気付いたら『ファントム・スレッド』になっていたぐらいワケ解らない。カルロス・ベルムト恐るべし。

『マジカルガール』の冒頭で長山洋子の“春はSA-RA SA-RA”を流すという常人ではないサントラセンスを見せていましたが、本作では主人公がやたらと日本食を食べたがる辺りにチラッと日本贔屓を見せます。最もビックリしたのがヒロインのディアナを演じているゾエ・ステインがアイドル時代の長山洋子にソックリなこと。そのユニーク極まりない目線の日本贔屓は全部長山洋子経由なのかと改めて驚きました。

よね