「的確に今起こっていることがわかる演出」理想郷 maduさんの映画レビュー(感想・評価)
的確に今起こっていることがわかる演出
めちゃくちゃ面白かった。
何処にでも起き得る、田舎とそこへの移住者の摩擦がほんとにスリリング。
全員正しいこと言ってる面白さ、的確に今起こっていることがわかる演出の繊細さと役者の演技と物語の着地、全てが素晴らしくて、なんてクオリティの高い作品なんだろう。映画として全てが行きとどいてる。
ホスピタリティめちゃくちゃ高い映画!
監督の過去作品今から全部観ます。
こんな映画観れるから、映画を観るのやめられない。
前半と後半パートで、
後半パートに入ったとたんこの映画はどこに行くのだろう。と思うのだけど、なんて深度の深い結末。
明確だけど、観る人それぞれに違った印象も与えそう。
私は表面的な対立をしてきたものと
物言わぬ対立ををしていたもの。
表面的な対立の奥に無言でその対立をコントロールしようとする戦いがずっとあったことにゾッとしたし、それを1つの会話だけで表現する切れ味の鋭い結末に鳥肌たった。
監督は男性的衝突、女性的衝突の違いを踏まえて
少し女性の方がポジティブな意味合いを込めているのだと思うけど、女性の私にとってはこちらの戦いの(物理的ではない)どろりとした嫌さもわかるので、この終わり方、恐怖が身近になった分怖かった。
オルガは、ずっと村で起こる事態を観察し
愛と信頼で夫のアントワーヌの手綱を握っていた。
夫婦の絆がすごい。
娘が滞在してることもよかったな。
パンフレットもドゥニ・メノーシェや監督のインタビューが読みごたえあって最高。
インタビューでも言っていたが、監督自身が村人サイドでもアントワーヌサイドどっちの味方でもない視点で映画を作っている誠実さが、作品の良さを支えているのを感じた。
悪なき殺人のときもドゥニ・メノーシェの演技素晴らしいなって印象あったんだけど
今回イングロリアスバスターズの冒頭の農夫の役の人って気がついた。どうりで最高な役者なわけだ…!
映画館で鑑賞