デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリームのレビュー・感想・評価
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お洒落ドキュメンタリー
正直現役時代は知りません。
ドキュメンタリーみたい気分だったので予備知識なしで鑑賞。
オープニングのhello space boyを映画館のドルビー音響で聴けた瞬間にアタリだと思った。
内容はグラムロック化粧バリバリ時代〜アメリカ〜ベルリン〜まさかの日本〜イマンと結婚しーの円熟期に至る過程をボウイの内面を描くような一種難解かつ芸術的な映像片とインタビューで綴っていく。
若い頃から自身を客観的に分析しており、突っ込んだ内容のインタビューにも丁寧に答えてる姿に好感が持てた。
よくある亡くなった人物を偲ぶ様な湿っぽい作りじゃないのも◎
もう一度、好きになってもいいですか
戦メリでボウイに出会った。その頃に出たアルバム「レッツ・ダンス」は、何回も繰り返し聴いた。次のアルバムも聴いて、過去作も掘ろうとがんばってみたが、3〜4枚で挫折した。その当時には、ボウイの哲学的な曲がちょっと重かったかな。そしてしばらくしたら、気持ちが離れてしまった。レッツ・ダンスの軽さがちょうどいい、そんな程度の軽いファンなんで、別れた男と久しぶりに再会した感覚で観た。やはりいい男だわ。観てるだけでぽーっとなった。別れなきゃ良かった(笑)。
ボウイの話は、正直よくわからないところが多々あった。ただでさえ画面と字幕を追うのに忙しいのに、観念的な語りは付いていけない。ただ、母と兄の話は、切なかった。寂しかったんだね。それも影響してるのか、あまり恋愛にはのめり込まない。だけど、ファンにも気軽にチューしてるのを見ると、かなり遊んだだろうな。プレイボーイ、40歳過ぎて運命の出会い。イマン! マイケル・ジャクソンの「リメンバー・ザ・タイム」のMVで女王様やってた人でしょ。超絶美女だわ。のろけまで出ちゃって、幸せになって何よりです~。想像だけど、イマンは精神が健やかな気がする。ちょっとひねくれたボウイを、彼女の明るさが照らしてくれたのかも。
ライブ映像、インタビュー映像も多く、バックヤード映像などで素の表情も見られる。何よりインタビュアー以外は、すべてボウイ本人の声で進む。何度か同じ映像を繰り返すのは残念だけど、とにかくボウイ尽くしなのは良い。ダンス的なパフォーマンスのしなやかさを見て、ああ、そういえばパントマイムやってたっけ、と頷いた。だからか、仕草とか歩き方がきれいなんだよなぁ。絵も描けるし、楽器できるし、自己表現では全方位可能で、こんなにどこを切ってもアーティストな人は稀有だろうな。
この映画を観る前に、予習と思って「★(ブラックスター)」のMVを観た。すでにガンだったから、死の匂いがプンプンしている。ジャズっぽい雰囲気もあり、もしボウイが病気にならず、今も生きていたら、この後どんな音楽を作っていただろうかと思うと、残念である。でも、デビュー作も遺作も宇宙がテーマ。夜空を見上げれば、ボウイの曲が頭をよぎる。こちらさえその気なら、毎日でもボウイに会える。
引用された映像がすごい。あちこちお願いしまくったね。ぱっとわかっただけで「アンダルシアの犬」、「メトロポリス」、「愛のコリーダ」もほんの一瞬映ったと思う。戦メリからもあり、胸が熱くなった。あと、焼酎のCM! 懐かしい〜。京都の電車ホームで撮影された写真は、ツイッターで出回ってたので、いただいた。スマホに保存している。
少しボウイを神格化してる感じもあるが、嫌味な感じはしない。若い頃から晩年までの姿を、じっくり観られて、自分はハッピーだった。
ファンは必見。
現象としての“デヴィッド・ボウイ”と本人の葛藤が主題のようで、インタビュー映像が多いのは興味深かった。ただ人間としての彼の実像を客観的に描き出す内容ではなかった(なり得なかった?)。
VJ的な映像も構成はややしんどくもあった。1990年にロンドンで行ったコンサート「SOUND AND VISION」の様子が出ないかと期待したが、その時期の記録はさっくり外されていた。
歯を見よ
ネタバレです。
●歯がだんだんキレイになっていくのを見るストーリー。乱れた歯並びに出自を見て一種の「粋」を感じていたファンのお姉様方は、アメリカ進出とともにヤニが落ち歯並びがキレイになって幻滅したとも言われている。
●ジェフ・ベックは出てくるがロバート・フリップは出てこない。
●飛行機嫌いで鉄道と船でやってきた70年代の日本公演の際のどんちゃん騒ぎで「営業バイ」がバレた話など、散々先人たちから吹き込まれている身としてはこうなると修正主義に近い。ボヘミアン・ラプソディなら「お話ですから、ファンタジーですから」で済まされそうだが、この映画のモノローグがあたかも聖人君子の哲学者のようで違和感。結局飛行機に乗ってるし。
●仕掛け人にして生き証人のトニー・ヴィスコンティ。こんな仕事がこんな未来に舞い込むとは思いもよらなかっただろう。
●グラムロックとパンクロックの間には5〜6年のインターバルしかない。そんな激動のロンドンを離れ70年代後半をベルリンでまとめたセンスはさすがだった。トップミュージシャンをベルリンまで呼びつける荒い人使いこそがボウイの絶頂期と呼ぶ人がいるのも頷ける。
●70年代のライヴはフル尺でちゃんと見たい。
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