「もう一度、好きになってもいいですか」デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム ぷにゃぷにゃさんの映画レビュー(感想・評価)
もう一度、好きになってもいいですか
戦メリでボウイに出会った。その頃に出たアルバム「レッツ・ダンス」は、何回も繰り返し聴いた。次のアルバムも聴いて、過去作も掘ろうとがんばってみたが、3〜4枚で挫折した。その当時には、ボウイの哲学的な曲がちょっと重かったかな。そしてしばらくしたら、気持ちが離れてしまった。レッツ・ダンスの軽さがちょうどいい、そんな程度の軽いファンなんで、別れた男と久しぶりに再会した感覚で観た。やはりいい男だわ。観てるだけでぽーっとなった。別れなきゃ良かった(笑)。
ボウイの話は、正直よくわからないところが多々あった。ただでさえ画面と字幕を追うのに忙しいのに、観念的な語りは付いていけない。ただ、母と兄の話は、切なかった。寂しかったんだね。それも影響してるのか、あまり恋愛にはのめり込まない。だけど、ファンにも気軽にチューしてるのを見ると、かなり遊んだだろうな。プレイボーイ、40歳過ぎて運命の出会い。イマン! マイケル・ジャクソンの「リメンバー・ザ・タイム」のMVで女王様やってた人でしょ。超絶美女だわ。のろけまで出ちゃって、幸せになって何よりです~。想像だけど、イマンは精神が健やかな気がする。ちょっとひねくれたボウイを、彼女の明るさが照らしてくれたのかも。
ライブ映像、インタビュー映像も多く、バックヤード映像などで素の表情も見られる。何よりインタビュアー以外は、すべてボウイ本人の声で進む。何度か同じ映像を繰り返すのは残念だけど、とにかくボウイ尽くしなのは良い。ダンス的なパフォーマンスのしなやかさを見て、ああ、そういえばパントマイムやってたっけ、と頷いた。だからか、仕草とか歩き方がきれいなんだよなぁ。絵も描けるし、楽器できるし、自己表現では全方位可能で、こんなにどこを切ってもアーティストな人は稀有だろうな。
この映画を観る前に、予習と思って「★(ブラックスター)」のMVを観た。すでにガンだったから、死の匂いがプンプンしている。ジャズっぽい雰囲気もあり、もしボウイが病気にならず、今も生きていたら、この後どんな音楽を作っていただろうかと思うと、残念である。でも、デビュー作も遺作も宇宙がテーマ。夜空を見上げれば、ボウイの曲が頭をよぎる。こちらさえその気なら、毎日でもボウイに会える。
引用された映像がすごい。あちこちお願いしまくったね。ぱっとわかっただけで「アンダルシアの犬」、「メトロポリス」、「愛のコリーダ」もほんの一瞬映ったと思う。戦メリからもあり、胸が熱くなった。あと、焼酎のCM! 懐かしい〜。京都の電車ホームで撮影された写真は、ツイッターで出回ってたので、いただいた。スマホに保存している。
少しボウイを神格化してる感じもあるが、嫌味な感じはしない。若い頃から晩年までの姿を、じっくり観られて、自分はハッピーだった。