「ファンフィルムみたい!?」デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム 万年 東一さんの映画レビュー(感想・評価)
ファンフィルムみたい!?
監督によるオリジナル映像からブニュエルやキューブリックなど様々な映画を挟み込みデヴィッド・ボウイ出演作品を羅列しながら哲学的に語られるボウイ自身のナレーション、その時代で変化し変貌する音楽性やスタイルを断片的に映し出し、デヴィッド・ボウイの何を中心に描こうとしていたのかWikipediaで知り得る情報から映像と音楽を繋ぎ合わせた程度にしか思えない、自伝的ドキュメンタリー映画としてよりデヴィッド・ボウイの壮大なプロモーション映像としての完成度。
秘蔵映像がありながら基本的に既存の映像を掻き集めただけのようで、監督の手間が省けた分、本編と関係のないようなイメージ映像を作って挟み込んだり、ミック・ロンソンのドキュメント映画でも印象的だったボウイの前妻は登場せず二番目の奥さんだけが、映画監督になった息子のダンカン・ジョーンズの存在すら否定するのか、そもそも本作は息子に撮らせるべきだったのでワ、潔くシンプルに作り上げているようで余計に邪魔でノイズに感じる部分が多くて気が散るし、監督に対しては不信感が残る!?
デヴィッド・ボウイ財団唯一の公式認定ドキュメンタリー映画として監督は『ゴッドファーザー』のプロデューサーとして有名なロバート・エヴァンスやストーンズにカート・コバーンの映画も手掛けている訳で期待大だった筈が自分には合わなかっただけだなぁ、ボウイの死後に作られた回顧展のドキュメンタリー『デヴィッド・ボウイ・イズ』からアメリカでのドサ周りを描いたジギー・スターダスト前夜な伝記映画『スターダスト』そしてこの本作と消化不良が続く中、復活して最高のアルバムを二作残したデヴィッド・ボウイに対する傑作と唸らせる映画は作られない、ジャニス・ジョプリンやエイミー・ワインハウスのドキュメント映画が素晴らしかっただけに苛立ちが募る。
なんとなくルー・リード目当てで『ハート・オブ・ドッグ〜犬が教えてくれた人生の練習〜』を観た時と似た感覚が!?