Pearl パールのレビュー・感想・評価
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バチバチのホラーというよりも、一つの悲劇としてよくできた一作
おそらく映画史上最高齢の殺人夫婦が登場する、『X エックス』(2022)の前日譚となる本作。三部作として企画されているという本シリーズの二作目でもあります。
『X エックス』が1970年代を舞台にした、古今東西のホラー映画の要素を多数取り入れた作品だった一方で、本作はパール(ミア・ゴス)という一人の女性をめぐる物語です。
前回と同様、あえてホラー映画要素を過剰なまでに投入した物語を期待してしまうと、ちょっと意外に思うほどに、タイ・ウェスト監督はパールを中心としたドラマを丁寧に描いていきます。
前作を観た人ならもちろん、パールがその後どうなったのか、十分承知しています。そのため、映画デビューを夢見る若いパールの無邪気な(猟奇性も含んだ)笑顔がどうなっていくか、すでに顛末まで見通せてしまいます。だからこそ、作中のパールの振る舞いや将来の夢を語る姿に、胸の痛みを覚えます。不気味で、同情の余地をほとんど感じなかった、前作のパールにすら、ある種の共感や憐れみを感じるほどに。
前作を鑑賞していればもちろん物語の細部まで楽しめること間違いないですが、本作だけでも一人の女性の悲劇として成り立っているため、本作を鑑賞してから『X エックス』を観る、という順番でも全く問題ないと思います。
ミア・ゴスの演技はどの場面でも文句なしに素晴らしいですが、後半の語りや、最後に見せる表情は、ホラー映画という枠をはるかに超えて、強烈な印象を残しています。さらにゴスは本作の制作総指揮と脚本にも関わっており、作品の作り手としても確かな手腕があることを十分に証明しています。
そこで終わるのか
X エックス の前日譚であるパールを見てきました。
主人公が思いの外イカれていてドン引きですw
個人的には話をもっと纏めてラストの後からエックスまでの話を追加して欲しかったなぁと
ラスト後の旦那との生活が一番面白いのに・・・
顔芸を見てパールに魅せられた自分が、少し怖くなった
Xは観ており、その前日譚であることも前情報で知っていました。
◉怖い絵
これまでに観た恐怖シーンの中でも、きっとベスト5に入る怖いシーンだったかなと思いました。本能的に感じた身の危険にいたたまれず、ドアを押し開けて逃げ出す義妹。おもむろにドアを開き義妹の姿を確かめて斧を握るパール。義妹は走り、パールは走ろうともしない。二人の距離は開いているし、閉じ込められた狭いスペースでもない。足を挫く前にもっと引き離せるはずなのに、振り下ろされる斧の下に義妹は身を置いてしまう。
牧場の空はあんなに明るく晴れ渡っていたのに…。引きから入った、童話のワンシーンみたいな、この光景は恐ろしかった。人は皆、人知れず死んでいく。
◉絶望しか抱かない母
人生の絶望を体現しているかのような母親。大戦下でなくても、ドイツ移民でなくても、この母ならば易々諾々として辛い境遇に身を委ねて、そこから抜け出ようとはしない。悲惨とかのレベルではなく、意味を見つけ難いような、彼女の人生。今、ここにあるものを大切に…と言う言葉で自らの生を閉鎖してしまえる、この母も脅威であり、実に嫌な怖さを醸し出していた。
◉軽い娘の軽い殺りく
華やかな舞台を夢見る少女の心底には、殺しへの異様な欲望が満ち溢れていて、それがパールの中で何より優先されてしまった……と言うのが、この前日譚のテーマだったと、私は思います。しかし、目の前で展開した筋書きを単純に追うならば、寂しがりやで気の短い娘が、腹立ち紛れに思わず動物や人を殺してしまう…だけだったように思います。
パールの心中で生まれた、殺意の芽生えも醸成も特に語られず、恋人を殺すのも義妹を殺すのも、ワニがいくら腹を空かせていたかも知れないけれど、あまりに性急。殺す前にも後にも、タメがなかった。
殺人女子の哀しみも混ぜた、暗色のホラーなら良かったと思うのですが、もの凄く軽いエキセントリックさだけが、ひたすら先走りした感じでした。
ラストのパールの表情だけで
前作を一層味わい深いものにし、次作への興味を強くさせる傑作
前作「X」は鑑賞済みです。
前作のキーパーソンの前日譚となっており、なぜああなってしまったか、が描かれております。
ホラー作品のような触れ込みではありますが、エンターテインメント業界が多くの人に与える夢と絶望をきっちり描き切っており、前作の様々なエピソードにより多くの意味を与えてくれます。
結果として、前作のディティールをより興味深く、立体的に浮かび上がらせる作品となり、
三部作映画の第二作としては、これまでにない繋ぎ方をしながら、非常に秀逸なものといえるでしょう。
ものすごいものを見せられたな、と思いながら、次回作への期待を大きく膨らませて待っています。
ミア・ゴス大暴れ
近年米国発のネオ・ホラーの傑作が次々と登場しているが、その中心となっている製作会社A24が、またしてもユニークでオリジナリティの高いホラーを製作した。
3部作となる1作目は2022年に公開された「X」で1970年米テキサスが舞台であったが、2作目の今作は時代が遡り1918年が舞台で「X」で殺人老婆だったパールの青年期、いかにして殺人鬼パールが誕生したかの前日譚になる。
映画スターに憧れるパール(ミア・ゴス)は厳格な母と病気で全身麻痺の父とテキサスの農場で暮らしている。
夫は戦地に出征中で、父の介護と家畜の世話に明け暮れている。
パールの息抜きは家畜の世話の最中のミュージカルスターの妄想や街へ使いに出た時の映画鑑賞など。
ある日、ミュージカルショーのオーディションが街に来ることを知り、参加を母に相談するが、母はパールの映画スターの夢を罵倒し、参加は許さない。
この辺りから、抑圧に対する狂気が沸騰し始め、殺人鬼が覚醒する展開になる。
まずホラー映画なのだが、映画のトーンが「オズの魔法使い」や「メリー・ポピンズ」といったハリウッドの古き良きミュージカル映画にある、テクニカラー風の極彩色の色調を使い、夢のような世界観を表現する。
しかしこの映画の最大の魅力はミア・ゴス演じるパールのコケティッシュかつ常軌を逸した殺人鬼ぶりだろう。
ミア・ゴスのオンステージと言ってもいいくらい暴れまくる。
傑作シーンはいくつもあるがオーディションのダンスシーンは戦場をバックに大砲と花火が炸裂するブラックファンタジーは必見。
ラストのパールの表情はホラー映画史に残る名演技だ。
監督・脚本は前作同様タイ・ウェストが務め、今作ではミア・ゴスが脚本と製作総指揮も担当と正に大暴れ。
3部作の完結編の「MaXXXine」が製作中であり、公開が楽しみだ。
どこも共感出来ない
シリアルキラー誕生秘話
「Xエックス」シリーズの前日譚で若き日のパールの姿を描いたホラー映画。大スターを夢見る少女がシリアルキラーに変貌する理由が明らかにされている。主演を演じたミア・ゴスの小悪魔的な演技が強烈で恐怖を感じるくらい素晴らしかった。
2023-116
2023年のベスト・エンディング賞暫定1位
2022年に公開された、タイ・ウェスト監督、ミア・ゴス主演のホラー「エックス」シリーズの2作目。1970年代が舞台の1作目「エックス」に登場した殺人鬼老婆パールの若き日を描き、夢見る少女がいかにしてシリアルキラーへと変貌したかが明かされる前日譚。
1作目のエックスがかなり面白かったので期待して観に行ったら、その期待を超えてくる面白さだった。やはりA24製作のホラー映画は裏切らない。「映画史上、もっとも無垢なシリアルキラー誕生」というキャッチコピーもいいじゃない!
去年公開の「エックス」、今年公開の「パール」と、期間を開けずに公開してくれたことが非常にありがたく、公開から2ー3年も経てば易々と内容を忘れてしまう記憶力に乏しい私のような人間でも、1作目のパール老婆の行動原理が随所に散らばめられていることに気づき、それらを見つけてはつい笑みを浮かべてしまっていた。親に秘密で家を抜け出すために2階の屋根から外に出ることを繰り返していた若きパールを見れば、老婆が若者を襲う時ために屋根から狙いに行っていたシーンを思い出す。映写技師の彼に誘われ映写室の小さな窓から違法ポルノ映画を覗くパールの姿には、セックスシーンを撮影している若者たちの様子を窓の外から凝視している老婆の顔がフラッシュバックする。あのワニちゃんも続投。まさか父親も食べさそうとしていたとはね。
両親、映写技師の彼、義理の妹を次々と殺し、血で染めたような真っ赤なワンピースに身を包んだパール。スクリーンの中で残酷なスターとなってしまった彼女がとても可哀そうだった。片田舎に生まれ、毒親と暮らし、そこから出ることのできないパールの不満と恐怖にはシンパシーを感じてしまう。今、朝ドラ「あまちゃん」の再放送を観ているが、行くとこまで行っちゃったユイちゃんだ。生まれた時代・場所・性別によって、とんでもない居場所に雁字搦めにされた人間は、死にたくなるか殺したくなるかのどちらかになってもおかしくない。
前作「Xエックス」で主人公マキシーンとパールの2役を演じ、今作でもパールとして主演したミア・ゴスの怪演が素晴らしく、義理の妹への告白シーンの長台詞の衝撃、そしてラスト5分間の快感と悲憤に満ちた笑顔は凄まじかった。2023年のベスト・エンディング賞暫定1位だ。本作では脚本も担当したらしく、今後がとても楽しみな俳優である。3作目の「マキシーン」も期待大。
凶悪な老婆パールの若き日の物語
俺は最後までパール「ちゃん」って呼ぶぞ…
死んでほしくない人が死ぬからこそのサスペンスホラーだとは理解していますが…義妹ちゃんは生きててほしかった…
個人的にはウジ虫湧いてる豚が一番直視に耐えない。
あとワニの卵なんで潰したん?謝れ!湖に向かって土下座し!
三部作なので前作エックスでハワードがパールちゃんと同じレベルの殺人鬼になるのはある意味ネタバレ済みなわけですが、何でそうなった?それほどまでにパールちゃんを愛してるってこと?
次回作は一作目の主人公、マキシーンの名前がタイトルなので、ハワードの変貌ぶりには言及しなさそうで残念。
映像はおしゃれで素敵でした。
あの真っ赤なドレスもサイコー!
お母さんはパールちゃんが怒るとソッコー人殺すようなイカれガールだと見抜いてたんですね。そんなイカれガールに真っ向から喧嘩うってくママすげえよ。死してなおパールちゃんの心を抉っていける貴女がナンバーワンだ。
ピアノの蓋は開けとくでしょ?
オーディションの場面。トップじゃないんたからさ。そういうとこ、気になるなあ。
その他は、よかった!今年ベストの候補かな?特によかったのは、
ラスト斧でバラバラにするシーン
エンドロールのパールの表情
かな?鏡合わせの手法で、グロいシーンをなんとなく片付けたのはいいね。あーゆーの、今まであんまなかったよね?それにラストのあの笑顔からの長尺の中で少しずつ表情が変化していくとこも、グッときた。
さらには告白のシーンの長台詞もパールのぶっ壊れっぷりが出てたね。
そもそも最初の方で案山子と踊るシーンも結構ヤバめだし、映像の質感や文字の書体も全体的に「B級感」出てて、
個人的には刺さった!鳥が飛んでく「音バン」はあったけど、音楽も含め、欠点なし!
前作、もう一度見たくなった。
ミアゴスの不思議な魅力がよく出てて、近年のホラーの中ではいいと思うよ。ピエロが出てくるのより😅
ミアとワニブタとGOTH〜🎵
とある少女の血みどろ夢話
全作エックスは近くのシネコンで上映していたのに、パールになった途端なぜ上映館が減るんだよ?!?!
エックスは、”老人×性欲×80年代ホラー”の掛け合わせが斬新でした。
今作は性欲おばけキラーであるパールおばあちゃんの若かりし頃の話。
エックスが80年代ホラーのホコリ臭い雰囲気だとしたら、
パールは鮮やかな”絵本”のような印象です。
どのシーンを切り取っても絵になるのに、ストーリーは猟奇的。
パールちゃんの頭の中を映像化したような絵画的な美しさもある!!
アンガーコントロールが苦手なパールちゃんに恐怖を感じつつも、
感情移入してしまう不思議な体験。
私たちも一歩間違えば、環境が違えば、時代が違えば、こうなっていたかもしれない…
なんといっても見どころは主演ミア・ゴスの表情管理でした。
最近でいうと「SMILE」に近い、直視できない笑顔が最狂です。
(エンドロールは口ぽかんレベルで見入ってしまう…)
信用していた人間が、自分から離れていく瞬間。
この絶望が”憎悪”に変わる瞬間、シーンは何度でも見返したい。
こいつ殺されるな…フラグの緊張感もすごいし、パールちゃんの『絶対に仕留めてやる』という確たる殺意、まるでゴキブリを仕留めるかのようでした。
三部作なので、次回作のマキシーンも楽しみで堪らない…!!!
タイトルなし
昨日『Xエックス』見て予習しておいてよかった(見てなくても楽しめるとは思うが)。
『こわれゆく女』『マリア・ブラウンの結婚』など最近立て続けに見た映画を思い出すが、もっと爽快というかストレート。
パーソナリティ(人格・性格)とは何か、とか考えてみる。
ノーメイクだとレディース顔
前作Xの前日譚ということで、殺人BBAの若かりし頃を本作でも演じ、終盤のひとり語り長回しとエンドロールのひくひく顔芸まで、まさしくミア・ゴス劇場。舞台はいまから約100年前だが、現代の新型コロナやウクライナ戦争をオーバーラップさせる設定となっていてうまい。
ド田舎の農場で家族3人暮らしの閉塞感のなか、ミア・ゴスのイカれていく感じが怖いには怖いんだけど、個人的には悪趣味な演出や展開に笑ってしまった。串刺しのガチョウをワニの餌にするオープンニングタイトルから、案山子との擬似性交で絶頂に達する瞬間に鳥がばーっと飛び立つとか、母娘で殺り合ってる時の身動きできない親父の恐怖顔に、オーディションのダンスがまたくそダサくて笑った。
三部作らしいので次作も薄眉毛のミア・ゴスに期待したい。
豚に真珠?
うーん。まあまあだったかな。
ミア・ゴスの演技は、まさに憑依状態で完璧だったけど…
前作からの流れを踏まえると殺人の快楽と性欲は激しくリンクさせないとダメじゃない?
せめて、鬱積した性的なフラストレーションによる強度なヒステリー状態、からの〜
狂気のスイッチOn!とか…
そんくらいは、ないとねえ。
一応、それを連想させるシーンはあったけど、あのスケアクロウだけじゃ、全く物足りない。
あの『X』の前日譚なんだから。
映写技師を殺すシーンなんか、疑心暗鬼だけではなく、ベッドシーンの最中、まさに絶頂寸前で、お預け食らったのが一番の原因でスイッチ入ってしまうとか…
そっちの方がブラックな失笑となって、パールらしくて良かったと思うけど。
クライマックスとなる義理の妹とのシーンにしても、例えば…
狂気の昂ぶったパールに問い詰められた義理の妹が、実はハニートラップで審査員の聖職者を買収していた事を、恐怖のあまりガクガク震えて白状してしまい、パールのヒステリーに火がついてしまうとか…
なんかにした方が、もっとらしくなったと思うけどなあ。
あと、アヴァンタイトルは、音楽もピッタリで、A24らしくて最高でバッチリだったけど、ラストはもうちょっと工夫して欲しかった。
エンド・クレジットの直後、洗脳されちゃったハワードのショッキングなカットが突然オマケで入っても良かった気もするけど。蛇足かな…
というか、今回のトリロジー3部作のラストとなる次作に向けた粋な伏線はあっても良かったんじゃない?
実は、もう仕込んでるとか?
豚に真珠とか?
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