銀河鉄道の父のレビュー・感想・評価
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よい映画だと思ったけど、賢治の修羅が見たかった。
宮沢賢治と言えば、父親との間に確執を抱えていたと本で読んだことがある。
映画にも出てきたように、父は浄土真宗、賢治は日蓮宗。
それが確執の一因であるという評論。
しかし、この映画を観る限りでは、その評論がなにかの間違いではないかと思わせるほど、父と賢治の間に家族愛が溢れていることが伺える。
事実どうだったかということは分からないが、愛情深い父親に育てられたように描かれている。
また父親との間だけではない、途中で亡くなった賢治の祖父や妹、それに母との間にも深い確かな絆がある。
宮沢賢治は『春と修羅』という詩において、
「四月の気層のひかりの底をつばきし歯軋り行き来する俺はひとりの修羅なのだ」
と語っており、私は賢治が苦悩いっぱいの人生を送った人間かのように勘違いしていたのかもしれない。
それともこの映画がそうした賢治の闇の一面をあえて描かなかったのか。
作中に「このままでは私は修羅に堕ちる」と賢治が父親に言うシーンがあったけれど、この映画の心温まるような家族愛のなかでは、その言葉の真意は読み取れない。
全体を通して、自分の人生について考えさせられたし、よい映画だと思ったけれど、一つ欲を言うなら、修羅について語る賢治のその修羅というものがなんだったのか見てみたかった。
全体としては、家族愛の溢れた心温まるよい映画だった。
あと、雪の降る情景が綺麗だった。
面白くならないはずがない、のにならない
直木賞受賞作の原作。
主役が安定の、というか安定すぎる絶対間違いのない役所広司と菅田将暉。加えてお母さん役が板についてきた坂井真紀。若手実力派の森七菜とベテランの田中泯。
面白くならないはずがない、のにならない。
ワクワクしない。
セット、衣装、美術、ロケーション、演者、どこを切り取っても絵になる。見事な映像。なのに、
見せ場になると邪魔をしてくる、朝の連続テレビ小説のような音楽と、寄ったり揺れたり転けたりと目が回りそうなカメラワーク。
感動はする。子を思う親の心。子を失う親の悲しさ。
期待以上でも以下でもない。
ワクワクしない。
東宝でも東映でも松竹でもない木下グループの製作。
ヒットしてほしいけど、公開三日目にして観客2人。
とても残念だけど、主演の2人以外に魅かれるものがないから仕方ないのかな。
今作に限らず、若い人や普段映画を観ない人たちを映画館まで引っ張ってくるような魅力のある作品が少ないように思う。
平日の映画館はシニア料金の年寄りばかり。
教授が亡くなって思い出したけど、「戦場のメリークリスマス」が公開された時なんて本当にワクワクした。
大島渚がメガホンとった日英合作、戦争映画、デビッド・ボウイと坂本龍一とビートたけし(まだ世界の北野じゃなかった)が主演。どんなものが見れるんだろうと公開が待ち遠しくて仕方なかったな。古い話でごめんなさい。
ああいった思いをすることがなくなったのは年をとったからなのかな。
親でありすぎる!
「銀河鉄道の夜」等の著作で名高い、宮澤賢治の父・政次郎を主人公とした作品であるが、それと同時に、宮澤賢治の一生をも描いている。宮澤賢治自身の人生についてはなんとなく聞き覚えがあったし、それこそ「銀河鉄道の夜」などは子どもの頃に読んだ記憶があるものの、政次郎がどのような人物であったのかという予備知識は全くないまま作品を鑑賞した。
一言でいえば「親バカ」である。そのことはことは作中でも語られている。さらには「親でありすぎる」という(祖父・喜助の談)名言(?)まで飛び出す。「イクメン」というのは現代用語だが、母親が家を守りながら子育てをするのが当然であった時代においては、とかく異質な存在として描かれたことは確かである。賢治は亡くなるまでひたすらに政次郎の愛情に支えられた。親子関係は一筋縄ではいかないこともあったが、賢治の存在を誰よりも肯定したのは政次郎であった。
作品のカギを握るもう一人の人物は、賢治の妹・ヨシである。キーパソンであるがゆえに、やや強引にストーリーの中にねじ込まれたような感じも否めないが、賢治が子どもの頃に書いた物語作品を最も愛し、その才能を誰よりも感じていた読者である。彼女の存在を措いて宮澤賢治の文学作品は決して誕生しなかったであろう。
この物語は、政次郎の物語であると同時に、賢治の物語でもある。ネタバレとなるのであまり書けないが、宮澤賢治という名が世に知れ渡る以前から描かれているので、ぜひ彼の人生を知るきっかけとして鑑賞していただきたい。
宮澤家のホームドラマ。 映画とは全く関係ないが、僕は雨にも風にも負ける。
映画のタイトルどおり宮沢賢治の父政次郎の物語。NHKの朝の連ドラの感じで、宮澤家のホームドラマ。役所広司さんの演技には引き込まれてしまう。人に歴史有りだから、質屋のオヤジの人生にもイロイロあるが、ドラマチックではない。
息子の賢治はビッグネームだから、こちらのエピソードのほうがやはり気になる。生前は売れなかったのは初めて知った。
映画で妹トシが結核だと知ったときは、見ていて暗い気持ちになった。あの時代の結核は不治の病だ。映画を見たあと結核を検索したら、結核は昔の病気ではなく現代の病気でもあると知り驚いた。
全てが事実というわけではなく、映画的な演出もあると思うが、観賞後はしみじみとした良い映画を見たと思える満足感があった。
私は「雪渡り」が1番好きで、お気に入りのフレーズは「狐なんてうまくやってるネ」。 たまに頭の中でブツブツつぶやく。2番目は詩みたいな童話 「やまなし」で、なんかクラムボンとか出てきて何じゃコリャみたいな話でお気に入り。
2023/5/7(日) A
ごめんなさい泣けませんでした。
原作は未読であるが、直木賞をとった作品だと言うし、出演者も名だたる俳優さん揃い。
宮沢賢治の作品をいくつも読んだ私は、当然、期待値があがる。
映像は綺麗だなと思った。
話が断片的すぎる。実話エピソードの短編映像を繋げました感。
父親目線の宮沢賢治の生涯だからか、とにかく、話が淡々と進む。
そして、「はい、ここは笑うところ」「はい、ここは泣き所ね」と押し付けられる感が半端ない。
役所広司さん、名演なのに、活かしきれてない。この話なら、役所広司さんではなく、お医者さん役の益岡徹さんの方が、賢治の父の雰囲気ある気がする。
菅田将暉さんは、素敵過ぎて、眼がキラキラしていて、純粋そのものと言った感じで、宮沢賢治の文章から感じるシニカルさが全く感じとれない。(賢治の卑屈さ加減は重要ではないか?)
宮沢賢治の作品は、いくつもあるのに、有名な(学校で習う)作品を使いましたって感じ。だから、余計に宮沢賢治のシニカルさが伝わらない。
エンディング曲は、劇中の菅田将暉さんの「星めぐりの歌」からオーケストラの「新世界より」に流れた方が、銀河鉄道の夜風味のエンディングの雰囲気を壊さなかったのではないか?
いきものがかりは嫌いじゃないが、余韻にひたれる感じではない。(いきものがかりは恋愛映画向けな気がする。)
申し訳ないが、登場人物の誰にも感情移入出来ず、1ミリも感動しなかった。
親バカと親不孝。
星めぐりの歌
作品の世界観に共感出来ないまま鑑賞を終えてしまった作品。 本年度ベスト級。
枠からはみ出した天才を支え続けた家族
宮沢賢治の作品は「注文の多い料理店」しか読んだことがありません。「風の又三郎」は、読んだことも無いのに、『どっどど どどうど どどうど どどう』の、独創性に富んだリズミカルな言葉が、記憶に残りました。本作でも、自作の童話を妹に読み聞かせますが、賢治は音楽の素養があるので、文章を声に出して読んだ時の効果を考えたのかもしれません。多趣味でセンスが良い人だったんでしょう。
そんな賢治の一番の理解者は妹のトシで、愛情深い父親、そして家族が支え続けたのが分かりました。
俳優の演技は良いですが、演出はくどくて好みではありません。妙にコメディだったり、妻が夫に敬語を使う家庭で孫娘が祖父をビンタしてハグしたり、風の又三郎だからと原稿を飛ばしたり、謎演出です。ちょっとぶつ切りで、賢治の人物像が捉えどころのないものとなりました。金持ちのボンボンらしく、おっとりして気前は良く、気まぐれだがこだわりは強いようには見えますが、考えている事が分かりにくかったです。父親も、そういう所は理解できなかったのかもしれません。それでも息子の作品を愛して、世に出す為に尽力しました。無償の愛です。でも、賢治の凄さをもう少し伝えてくれないと、ただの親バカの話になってしまいます。
トシが本当に「お兄ちゃん」と呼んだのかもしれませんが、私の母(宮城県北部出身)は、「あんちゃん」と言ってます。イントネーションは、後ろが上がります。音階にすると、1オクターブ下の「ソ(あん)シ♭(ちゃん)」位です(←適当です)
私はいきものがかりは好きな方ですが、本作のテーマ曲は可愛らしすぎて合ってないと思います。
森七菜さんの透明な声で「見上げてごらん夜の星を」のような歌を歌ってもらった方が良かった気がします。
泣けました。
宮沢賢治さんのことは、詳しくは知らないけど、
何となく面白そうと思い観賞。
菅田くんが演じた賢治には、
いろんな苦悩や葛藤があったんですね。
観賞後、パンフレットを読んで、知ったのですが
男性に想いを寄せて、失恋していたとのこと。
あの場面はそういうことだったのかと理解しました。
役所さん演じる父親は、本当にチャーミングでした。
愛情深いお父さんがいなければ、宮沢賢治が世に広く知られることも
無かったんですね。
賢治が亡くなる時の、役所さんの演技には
泣かされました。
「雨にも負けず…」の意味が心に刺さりました。
子が親より先に死んでしまうって、
本当に辛いことです。
ちょっと笑えて、泣けて、
全体的に良かったのですが…
正直な感想は「悪くない作品」って感じです。
小説家・門井慶喜が宮沢賢治の父である政次郎を主人公に究極の家族愛を...
小説家・門井慶喜が宮沢賢治の父である政次郎を主人公に究極の家族愛をつづった直木賞受賞作「銀河鉄道の父」を、「八日目の蝉」「いのちの停車場」の成島出監督のメガホンで映画化。
役所広司が政次郎役で主演を務め、長男・賢治を菅田将暉、賢治の妹・トシを森七菜、母・イチを坂井真紀、祖父・喜助を田中泯、弟・清六を豊田裕大がそれぞれ演じる。
演じる役者さんが素晴らしいです。感情移入でうるうる😢でした、、いいね!
愛にあふれたお父さんと宮沢家
銀河鉄道や「雨にも負けず」で有名な宮沢賢治は、こんなにも自分探しを続けていたんだと、それをずっと見てくれた家族がいてくれたんだなと知りました。お父さんにとってはむしろ不肖の息子。家業も継がず人造宝石をやるとか宗教に生きるとか、何を考えているかわからない。でも、これだけ家族に大事にされていたのであれば、幸せな人だなあと思います。
森七菜さん演じる妹トシは非常に良かったです。おじいちゃんをひっぱたくシーン、死の床で賢治の物語を聞くシーン、雪を食むシーンなど印象に残りました。今後の活躍を期待します。
賢治の死のシーンは悲しかったです。雨に負けずを諳んじて「良い詩だぁ」と言う父、「お父さんにやっど褒められたぁ」と弱々しく笑って答える賢治、「褒めだことなんか、ほかにもいっぱいある」と泣く父。もう少し前に、賢治が元気な時に言ってあげたら良いのに、なかなか言えなかったお父さん。
息子に対して素直な言葉をなかなか言えない気持ちは、私も父としてわかります。そして「なぜもっと早く言えなかったか」という後悔に苦しむことも多いのです。愛していること、褒めること、励ますことを口に出して言うのは気後れするけれど、勇気を出して言葉にしなければならないと強く思います。息子だけでなく誰に対しても。
そういうことを感じさせてくれた映画でした。
映画として残念だった点もあります。
色々なエピソードが描かれていますが、それらがやや表層的で浅いのです。私は宮沢賢治さんのことをよく知りません。それでも賢治が人造宝石や宗教に打ち込む理由、農民に拘る理由とか心情の描写は不十分と思いました。主人公はお父さんだから仕方ないかな。
まるでゴッホの弟テオの様な親父には驚いた。
小説家・門井慶喜が、
宮沢賢治の父である政次郎を主人公に究極の家族愛をつづった直木賞受賞作「銀河鉄道の父」を映画化。
セピア風にモノトーンに画面はフィルターがかかり、
いにしえの物語が展開されて行った。
切れのあるカメラワークが止まった様に決まり、
息を呑んでしまう。凄いスポットだった。
特に妹トシの火葬場面は俊逸で、
彼が危険人物とされるほどの宗教感の燃焼と焼失が見事だった。
そんな過度な展開から見事にファンタジーに軟着陸させたのはほっこりした。
役所さんの演技も口跡も強過ぎて皆んな萎縮してしまうなぁ
^^
岩手県で質屋を営む宮沢政次郎の長男・賢治は家業を継ぐ立場でありながら、
適当な理由をつけてはそれを拒んでいた。
学校卒業後は農業大学への進学や人工宝石の製造、宗教への傾倒と我が道を突き進む賢治に対し、
政次郎は厳格な父親であろうと努めるもつい甘やかしてしまう。
やがて、妹・トシの病気をきっかけに筆を執る賢治だったが……。
役所広司が政次郎役で主演を務め、長男・賢治を菅田将暉、賢治の妹・トシを森七菜、母・イチを坂井真紀、祖父・喜助を田中泯、弟・清六を豊田裕大がそれぞれ演じる。
^^
お父さんの話だから仕方ないけど宮沢賢治の内面が描写不足なのが物足りない。宮沢賢治という超有名人におんぶにだっこした家族愛物語としては水準の出来。(キレイゴト過ぎるんだよね)
①はじめの方は舞台が明治なだけで平凡なホームドラマの様相だったので期待薄か、と思って観ていたら賢治が日蓮宗にはまりこんだ辺りからやっと劇として面白くなってきた。
②役所広司は好演だが、好演するのが当たり前の人なので驚くこともない。唯一感心したのは、病床の賢治の枕元で、ランプの灯りの下で「雨ニモ負ケズ風ニモ負ケズ…」を読んでいる時の表情。
③妹のトシと賢治との絆の強さが描写不足なので、賢治の進学を許さない父親があっさりとトシに説き伏せられるところ、トシが病に伏せたと知った途端に賢治が童話を書き始める等のエピソードの描き方が唐突すぎる。
誰もが知っているエピソードだから突っ込んで描かなくても良いだろう、というのは映画作りからしたら手抜きなのだ。
④菅田将暉は宮沢賢治役にはミスキャストだと思うが華のある俳優なのでこういう映画にはキャスティングされやすいのだろう。
結核に冒されてからは何とかそれらしくなってきたけど…
⑤賢治の臨終のシーンには泣かされたけど、泣かすような脚本で、泣かすような演出で、泣かすような演技なので泣いたようなもの(+私は涙もろい)。余韻がない。
⑥銀河鉄道(?)に乗った政次郎が乗客である賢治とトシに「ありがとう」というラストも?
観終えた後、スクリーンに向かって「ありがとう」と言える映画に出会いたいものだ。
明治から昭和初期の時代
小説関連では最高の映画
日本の映画が好き
悪くはないがちょいと残念
井上ひさしの『イーハトーボの劇列車』を観ている身からすると物足りない。
父親が主人公である事はわかる。
しかし親子の対立なら演劇の方の日蓮宗と浄土真宗で極楽が何処にあるかの問答で、日蓮上人の教えに従うなら、宮沢家を、花巻、仙台をユートピアにする事が本筋でないかと説教する話のが面白い。
更に演劇では賢治を花巻に戻す最終手段もして…
映像は悪くない。
逆に昔の商家の間取りや田園風景等は面白い。
役所の演技も悪くないと思う。
しかし演劇で観た様な、偉大なる木偶の坊としての突き刺さる言葉、会話が思い返せないのだ。
宮沢賢治自身の物語ではないかも知れない。
しかし最後の『雨にも負けず』の詩に結びつき、家族への気づきに繋げてほしかった。
あと世情の変化と共に賢治への評価の変化と共に家族の思い等も描いて欲しかった。
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