「期待を裏切る100周年作品」ウィッシュ ネズミさんの映画レビュー(感想・評価)
期待を裏切る100周年作品
子供の頃からディズニー映画が好きで、長編、短編、アニメオリジナルなど全て必ず見て来ました。
100周年を記念する作品との事で観に行きましたが、非常につまらない!
主人公アーシャの見た目が黒人なのは別にいい。
地中海の島といえど、色んな国から人々が移民してると言う設定で、黒人主人公なのには納得できた。
だけど、本人の願いが伝わって来ない。
ティアナのように父親との夢を叶えたいと言う事でもない。
みんなが願いを叶えられるようにしたい的な願いを持っているんでしょうが、イマイチ刺さらない。
国民の願いをみんなに返すと豪語しておきながら、まずは家族の願いを取り返す事を優先し、国民達の夢は後回し。というか、スターが来なければ多分取り返さなかっただろうな。
これ見よがしに意味ありげなタペストリーを出しておきながら、それに対する掘り下げが全くなく、国民にしつこく質問様にあっただけで国民を無礼者呼ばわり。
優しく慈愛に満ちた国王と慕われているのに、結局中身はナルシストで傲慢で短気。
スターが登場してからは、自分より強い魔法を使えるスターに嫉妬丸出し。
なんで、国民の願いを集める事に執着しているのか、ちゃんと掘り下げられれば面白くなるのにそれがないから内容がペラッペラ。
禁書がなぜ禁書と言われるのかと言う説明もなく、質問攻めにして来た国民にイラついて禁書を使用。ただの仕返しにしか見えから、集めた願いなんて二の次なのかと。
同じく王妃も過去の掘り下げがないおかげで、あっさり王様を見限っただけに見える。
ラストでは王様を更生させ、1からまた2人でやり直すとかなら感動もあったんだろうけど、自分がトップの立場になっただけで、ここはしっかりとポリコレ。
全てが音楽で押し切ってる。最後みんなで歌わせればいいと思ってるんだろうな。
歌詞の内容も薄すぎて泣ける要素なんて皆無。
泣いてる観客いたけど、どこがよかったのか納得させてほしい。
過去作のオマージュがたくさんあって、そこを探すのが楽しみで、話は最低。
唯一、スターの表情とか動きが可愛いだけが救い。でもスターがなんで現れたかも曖昧。
本編は2時間でも2時間半でもしっかりとキャラの過去を掘り下げられる設定と尺があれば、面白くなっただろうに残念。
映像に関してだけど、CGがディズニーチャンネルにありそうな安っぽさがあるから、思い切って手書きでやって欲しかった。
常に進化し続ける、がディズニーのモットーでもあるけど100周年なんだからアニメーターやウォルトへのリスペクトも兼ねて原点回帰でも喜ぶ人は居ると思う。
もうディズニーの長編映画には期待出来ない。
私の感動のピークは本編前の短編。
ディズニープラスで何度も見たけど、観るたびに泣ける。
短編になら1800円出す価値はある。