劇場公開日 2023年12月15日

「生田絵梨花の「ウィッシュ」を聞いてください。」ウィッシュ ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0生田絵梨花の「ウィッシュ」を聞いてください。

2024年1月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

人は何かを願って生きることで強くなれる。ヒロインのアーシャが歌う「ウィッシュ~この願い~」に、この映画のテーマは集約されている。人々が願いを取り戻すというだけの単純なストーリーだが、ディズニーのエッセンスが詰め込まれていてとても見応えのある作品に仕上がった。まずヒロインのアーシャがとてもいい。自分の為ではなく、人の為に全力を出せる優しさ。思い込んだら諦めない一途さ。仲間を巻き込む人間性と行動力。典型的なヒロイン像である。ディズニーらしいファンタジー要素も満載である。舞台が魔法の王国であり、願い星(スター)が天から降りてきて地上で魔法をかけまくる。おしゃべりな子ヤギが相棒なんて、いかにもそれらしい設定である。誰しも子供の頃に、動物と話せたらと「願った」ことがあるはずだ。
正義のヒロインには立ち向かう相手として悪役(ヴィラン)が必須である。マグニフィコ王はヴィランを演じているが、悪者ではない。よく言えば人々が不幸にならないように気遣う優しさを持つが、悪く言えば他人に関心がない、いつも自分が最優先のナルシストである。あんなにアーシャ達から責められることもないと思うが、彼の一番の罪は人々の「願い」を奪ってしまったことである。「願い」は生きる根本であることを考えれば、ひどいヴィランの扱いを受けても仕方ないかもしれないと思う。
主題歌の「ウィッシュ~この願い~」が、あまりに印象が強く、生田絵梨花の歌声が素晴らしい。字幕版もいいが吹替版は伝わるものが違うように思う。これはぜひ吹替版で見るべき作品である。

ガバチョ