「今の世界に、人種を超えた愛を💛」リトル・マーメイド bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
今の世界に、人種を超えた愛を💛
アンデルセン童話をモチーフに、ディズニー・アニメでも世界中で愛されてきた『リトル・マーメード』の実写化。実写化というものの、ほとんど背景や魚、人魚の動きは、CGで描かれており、CGアニメのようでもあった。しかし、その映像は息を呑む素晴らしさがあった。
太陽のきらめきが届く明るいカリブの海の中で、色鮮やかなのサンゴ礁の間を泳ぐ熱帯魚の群れ。ミュージカル・シーンで踊る、色とりどりのウミガメ、ヒトデやクラゲ、イソギンチャク等の海の生き物。そんな中を自由に泳ぎ回るアリエルの動きは、水中での髪の毛の揺らぎまでもが、とてもリアルに表現されていて、自分も水中にいるかのような錯覚を覚えた。
また一方で、サメやウツボ、そして本作のビランであるタコのアースラが登場する、光の届かない船の墓場のような海底では、ダークな雰囲気と共に、海の怖さを醸し出している。特に、ラストのアースラの豹変による激闘シーンは、アニメには無かった迫力ある演出であった
人間界に憧れていた海の王トリトンの末娘のアリエルが、嵐の中で命を助けた王子エリックのことが忘れられなくなり、海の魔女アースラとの取り引きに応じて、人間界へと上がる決意をする。王子との距離を縮めていくアリエルの前に、再びアースラが人間の姿となって現れ、エリックの心に呪いをかけ結婚を結ぶ約束をしてしまう。しかし、…というアニメ通りのお話。
最後は、それまでいがみ合っていた人間と人魚が手を取り合ってメデタシ、メデタシの結末。そして、トリトンの娘も白人からアジア系、黒人まで様々な人種の女性が務め、アリエル自身も黒人が務めているというのは、今、こういう世界状況だからこそ求められる、人種を超えた愛や繋がりも意識しているのだろう。
アリエル役のハリー・ベイリーは、オーディションを勝ち抜いた大抜擢の新人女優。歌は、声量もあり、文句のつけようがない歌いっぷり。但し、個人的には、『美女と野獣』のエマ・ワトソンの様に、誰もが知るかわいらしさと気の強さ、ビジュアル的な美しさを兼ね備えた人魚姫だったかという点で、少し物足りなさを感じた。