「ハリウッド版『蒲田行進曲』+ …」バビロン Haihaiさんの映画レビュー(感想・評価)
ハリウッド版『蒲田行進曲』+ …
2022年(日本は2023年)公開。
監督と脚本はデイミアン・チャゼル。
冒頭、象の脱糞シーンに強烈な衝撃を受ける。
「まじか?」
この時点では、どんなジャンルの映画なのかすらわからない。
続いて、謎のパーティー会場にはいり、主なキャストが出揃う。
映画が産業としての地位を固めつつある中、出自やキャリアを問わない、カオスの中の出会いを象徴しているシーンだろう。
トップスターのジャック・コンラッド(ブラッド・ピット)、
女優志望のアバズレ系ギャルのネリー・ラロイ(マーゴット・ロビー)、
一旗揚げたいインテリ風メキシコ人マニーことマヌエル・トレス(ディエゴ・カルバ)、
の面々だ。
1920年代ハリウッド黄金期が舞台に設定されている。
”映画バブル” を満喫する業界人の乱痴気ぶりと、トーキー登場に戸惑う現場の姿を背景に、無声映画時代のスター俳優&成り上がりの若い男女の成功と没落を描く。
マニーのネリーに対する一途な想いは、『フォレスト・ガンプ/一期一会』におけるフォレストのジェニーに対するそれにも似る。
懐古的なトーンは『蒲田行進曲』と同じだが、
最近のアメリカ映画に共通の、露悪的な性描写も加わる。
古いタイプの私は、その部分がどうしても好きになれない。
必要に感じないのだ。
ぼかさないとダメなカットがなくても、
業界の退廃ぶりや堕落したさまは伝えられる。
そろそろ止めてほしい。
監督のデイミアン・チャゼルは『ラ・ラ・ランド』同様に、”業界の空気感” を映像化するのが抜群にうまい。
自信と不安が背中合わせの若さの演出も出色の出来だ。
ノウハウを持ってるだけでなく進化させてる。
中でも、
トーキー映画撮影現場の混乱ぶりを伝えるシーンは秀逸。
もちろん、デフォルメされていると分かっていても
現場の緊迫感やイライラが伝わってきて、心臓マヒを起こしそうになった(笑)
日本公開時には、R15だ、R18だと混乱があったようだが、R指定なしで作れたはずじゃない?
ということで、☆3.5