「猥雑で下品なカオス」バビロン コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
猥雑で下品なカオス
映画を愛する人間が作った映画讃歌であり、映画に身を滅ぼした人々への哀悼であり。
繁栄ののち、人知れず埋もれ、後の世に発掘されてその時代を知ることになった古代バビロニアのように、フィルムに残った人々の姿もまた、歴史の中で消えたり復活したり。
そんな栄枯盛衰を描いていました。
(その映画への愛も、とっ散らかりすぎて&断片的引用で終わっていて、あまりリスペクトは感じない部分も大きいけども)
ただ、圧倒的に「猥雑」で「下品」。
のっけから、大小便、殺人、ゲロと容赦なく。
『ラ・ラ・ランド』みたいにおしゃれなフィルムかなぁ?って間違ってデート気分で観に行ったカップルが、「調べておきなさいよ」と喧嘩して別れるレベルに下品。
新興産業の初期のカオスを具現化した、と単純には言い切れない。
この点、観に行こうと考えている方々はご注意と覚悟のほどを。
それでも、ラスト近くの老年期に入ったジャック(ブラッド・ピット)のセリフは、輝いていました。
私はマーゴット・ロビーが暴れるってだけで肯定的に観ちゃうんですが……
これは観る人を選ぶ作品です。
絶賛と酷評がありえる、賛否両論にならざるをえない。
ダメな人には生理的に受け付けないでしょうね。
映画関係者には受けるかもしれないから、賞を取る(ないしはノミネートどまり)かもしれないけど……
興行成績は不安な作品だなぁ(特に日本では)。