「サイレント映画からトーキーへと移り変わる激動の1920年代。映画...」バビロン ゆきさんの映画レビュー(感想・評価)
サイレント映画からトーキーへと移り変わる激動の1920年代。映画...
サイレント映画からトーキーへと移り変わる激動の1920年代。映画で成功することを夢見ながらも時代や運命に翻弄されていく俳優たちの栄光と凋落をハイスピードに描く。最初からエンジンガンガンにふかしてアクセル全開。倫理観バグった中での、半裸全裸ドラッグ排泄暴力拳銃等、アウトでクレイジーな要素のオンパレード。
自分の存在が性的客体としてしか見られず、知的にも見下されることに屈辱を感じたマーゴットロビーが、名誉男子的に男前に振る舞うことで、傷つきながらも己の自尊心を奮い立たそうと懸命に全身で怒り、暴れ狂う。いや、乱れ狂う。凄まじい魂の叫びである。
並べて語ると本当に怒られそうだが、映画のための映画という意味では、エンドロールのつづきと通ずるものがある。あまり書くとspoilerになるが、根底にあるのはある意味どちらもpureで無垢な映画愛。こちらは見かけは手垢に塗れているかもだが、根底にあるのは無垢な魂。
以下、注意点と評価ポイント。
最初から急傾斜の超ハイスピードジェットコースターに乗せられて、トンデモない次元にぐわんぐわん連れて行かれる。ララランドで甘い世界観に惹かれた頭で見に行くと、まるで胸ぐら掴まれてガラス瓶で頭カチ割られに行くようなものなので、シートベルトは超必須。世界観とか話の方向性はある程度確認してから行った方がいい。
ふいに訪れるマーゴットロビーのサイレント映画シーン、あれぐらいの静寂と余韻が緩急つけて定期的にある映画だったら評価上がったかもしれない。