僕の特別な兄弟のレビュー・感想・評価
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【”二人は社会的弱者だけれども、共に生きる事で最強になる。”今作は頭脳明晰だが車椅子生活を送る男と知的障害を持つ男との20年に渡る関係を描いたチョイと沁みるヒューマンコメディなのである。】
■頭脳明晰だが脊髄損傷により車椅子生活を送るセハ(シン・ハギュン)と、長身で運動神経抜群で、水泳が得意の知的障害を持つドング(イ・グァンス)。
彼らは施設で出会い、施設が無くなった後も20年間共に暮らし、実の兄弟以上の強い絆で結ばれていた。
そんなある日、ドングを困窮の為に捨てた母親が彼らの前に現れ、ドングの法定相続人になると言いだすのであった。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・冒頭、今作が事実に基づく物語であると示される。
・施設”責任の家”で、出会った少年のセハとドング。直ぐに仲良くなるが、酒好きの施設を運営する神父さん(クォン・ヘヒョ)が亡くなってしまい、二人はアパートで共に暮らし始める。
・セハは頭脳明晰で、二人で生きるために役所と掛け合うシーンが、コミカルに描かれるのだが、ここでのドングの素直過ぎる姿が可笑しい。
・ドングが不器用ながらセハを、一生懸命世話する姿。特に自分の歯と、セハの歯を一緒に磨くシーンが可笑しい。
ドングは、セハが施設に居た時も、いつでも彼を肉体的に支え、セハはドングを精神的に支えて来たのである。
■そこにドングを困窮の為に捨てた母親が、現れるシーン。彼女は息子をプールで泳がせている間に、立ち去ったのである。
故に、ドングは泳ぐのはとても速いのだが、必ず途中で止まって立ち上がってしまうのである。自分を捨てた母を探すために。
・今作では、就職準備生ナム・ミヒョン(イ・ソム)も二人の関係性に彩りを与えている。ドングを捨てた母も含めて悪人が居ないのである。
故に、クスクス笑えるシーンが多いのだが、ちょっと沁みるシーンもあるのである。
・ドングが法廷で、裁判官に”誰と住みたい?”と聞かれた時に指さしたのは、母親だった。その気持ちは分かるが、その際のセハの表情が切ない。
<だが、ドングが水泳大会に出ると決まった時に、セハは一人で電動車椅子で車道を走り、大会に駆け付けようとするのである・・。そして・・。
今作は、頭脳明晰だが車椅子生活を送る男と知的障害を持つ男との20年に渡る関係を描いたチョイと沁みるヒューマンコメディなのである。>
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