劇場公開日 2023年11月10日

「作為的な人物造形」正欲 bionさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0作為的な人物造形

2023年11月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

 ガッキーが演じる桐生夏月の最後のセリフは、ごく普通の言葉なのにとんでもなく響いた。佐々木佳道は、その言葉を聞いただけで、勇気づけられたに違いない。そして、自分に対する想いを全て感じとったはず。

 ラストは感動したんだけれども、人物造形については疑問符だらけ。
 稲垣吾郎が演じる地方検事の一家が、嘘くさい。嘘くさいは言い過ぎとしても、家族の匂いがしない。セリフや演出の問題だと思うが、上っ面の会話劇が白々しい。
 生きづらい人々は、いろんな形で存在しているし、自分も生きづらさを感じている。だけれども、この作品に登場する人々は、どこか人工的に作られた感じがして、共感できない。

 マイノリティを自称する人々の中には、毒蛇の輩も混じっている。そういうリアリティ路線を作品全体で通してくれれば、随分と違った印象になったと思う。

bion
humさんのコメント
2024年1月15日

どこか人工的…
そうかも知れないと思いました。
なにか作り話感のようなもので自然に冷めてみていた時間があったのは
家族の匂いがしない…それだったのかと。その言葉をしばらく考えていました。
ぎくしゃくしていても夏月の実家は家族の匂いがしていたのを思い出します。

hum
bionさんのコメント
2024年1月7日

iwaozさんへ
コメントありがとうございます。
原作は読んでいないのですが、答えありきで作った感を受けてしまいます。

bion
iwaozさんのコメント
2024年1月7日

そうですよね!^ ^
役者陣は皆、良かったのですが
すごい違和感を感じましたね。
演出の方向性なんでしょうか?
脚本のせいなのか?原作からそうなのか?
狙いはすごく良いのですが。。
「何者」でも感じた違和感。
レビューに同感でした!!(^。^)

iwaoz
ニコさんのコメント
2023年11月11日

コメントありがとうございます。
おっしゃる通りで、登場人物にどこか生々しさがないように感じました。東野絢香は危うさがあってよかったですが。
これだけ人の生き方や指向が細分化した時代に、自分なりの経験に立脚した価値観を持つ個人が、本作のようなレアな例まで見越して全てを肯定する(言い換えれば、内心においてさえ否定や批判、拒否が許されない)のは無理がある気がします。
互いの価値観を邪魔しない、利害が被ったら落とし所についてのみ対話する、くらいが望ましいのだろうと、個人的には思います。

ニコ