「久しぶりの上質ホラー」バーバリアン 真中合歓さんの映画レビュー(感想・評価)
久しぶりの上質ホラー
あのリメイク版イットの制作陣がお送りする新作ホラーという事で期待して鑑賞して参りました。いやあ~結果は大当たり!!
本作はRECシリーズ的な所謂『この建物には”何かが居る”』といった感じのホラーで、イットの制作陣ながらオカルト的なパワーのお話ではなく、純粋に成れの果てとなってしまった怪物女を相手にしたサバイバルが描かれます!
この普通の建物かと思ったらその深部には・・・みたいホラーのテイストは、まさしくRECの遺伝子です。
とにかく前情報無しで観たものですから、一体どういうお話なのか?という部分から僕の気持ちは始まるわけで、何やら部屋番号を間違えているかもしれない男と共に、どちらの視点に立ってみても信用ならない妙な緊迫感に包まれる序盤。この男が徐々に正体を表していくのか~!と思ったら全くそういう話ではなく、地下になにやら”いやがる”という死角からの恐怖展開へ。
ここまでまだ30分程度で場面は変わって軽快な音楽と共にドライブを楽しむ男へとチェンジ。もうビックリしましたよ。。。まだ30分でこれ?と。こっからこの軽快な音楽に乗る男とさっきの現場がどう融合していくの~!?というワクワク感で期待もマックス。
それでその男が家主だという事が判明するのですが、そういえばなんでそんな家に宿泊サービスが提供されてるんでしたっけ?この辺はアメリカの杜撰な管理という事で良いのかな。。
それでまあ最初の女性主人公と合流してなんやかんや有って脱出~という感じなのですが、とある感想ブログにて興味深い内容を見かけました。
それは、本作は裏テーマとして男女の差異、及び差別問題を描いているというもの。簡単に要約すると、例えば冒頭で主人公が予約していた部屋が手違いでバッティングしてしまい、とある男と一夜を過ごす事になります。こちらのシーンでは当然妙な緊張感が流れているわけなのですが、どちらかといえば女性である主人公側に緊張の度合いは傾いていて、もしかすると!?という緊張はずっと有るわけです。
他にも、途中から登場するレイプスキャンダルに晒されている彼ですとか、そもそもあの怪物女を生み出した経緯ですとか。まあ確かにこうしてみるとそっちが本筋のテーマである事が分かります。
まあそれは良いんですが、そちらのブログでは『こういうサインに気づかない男は差別主義者だ!!』と言わんばかりの論調でしてちょっとドン引きでした。差別とかそういうのが駄目なのは当然ですが、そういったモノを暗に描いた作品でそういったサインに気づけない奴は予備軍だ!差別野郎だ!というのはキモすぎる。
最早その裏返しの論調や引っ掛け問題のような提起は新たな男性差別ではないだろうか?と疑念を呈したい。まあ、過激なレイプ犯なんかも元を辿っていくと退役軍人だとかそういう背景が有ったりするので、結局は回り回っている要因が有ったり無かったり・・・。
話を戻しまして!!まあとにかく上質なホラーでございました。イットも面白かったけど、やっぱりこういうジメッとした気持ち悪さこそホラーだよね~という感じで。
追伸:この作品、何故かヤフー映画に登録されていないという謎現象が起きてます。こんなの始めて見た。。。