ヒトラーのための虐殺会議のレビュー・感想・評価
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繰り返される「最終解決」という言葉
最終解決が、ユダヤ人の命を奪うことだとは到底思えないくらい、まるで伝染性の疫病にかかった家畜の処分のように、処分することが当たり前のことのように、会議は進んでいく。誰ひとり、そこに異論も疑問も唱えないし、そのそぶりも見せない。
彼らが重要視するのは、そこではないからだ。
でも、観ている側は、それが人命を奪う話だと分かっているから、恐ろしさが募る。
本当に誰ひとり、この異常さを感じていなかったのだろうか。洗脳のように、当然だと心から思えていたのだろうか。
だとしたら、さらに恐ろしい。
後半、それをさらに痛感させられるやり取りが展開される。
ユダヤの血が流れているだけで、命を奪われるだけのことをユダヤ人はしてきたなんて、本気で言っているのか、正気の沙汰ではない。
善悪も倫理もなにもかもが、壊れている。狂っている。
これが、史実を元に、ある程度の想像も含んで、ではなく、実際の議事録により映画化されたという事実がさらに追い討ちをかけてくる。
無音のエンドロールを観ながら、今、自分は果たしてなにを見聞きしたのだろうと考えてしまう。こんな形で、こんな人たちによって、あの悲劇が決定されたのだという事実を知った重さがのしかかる。
【戦慄走る会議進行】
惨憺たる戦慄の会議進行。命題の”ユダヤ人問題の最終的解決"は、欧州に住むユダヤ人1,100万人の絶滅を意味するが、"特別処理"や"最終解決"などと言い換えて粛々と決裁されていく。結果600万人のユダヤ人が亡くなることへ繋がった。
親衛隊SSと政府高官ら、国家中枢を担うエリートの会議参加者は一切声を荒げたり感情を昂らせたりすることなく、各々の所轄権限や権利を主張しつつ反吐が出るような議論を冷静に展開する。
法の解釈や虐殺方法を巡る議論は如何にもドイツ人の国民性を表現していて、類似性があるとされる日本人を見てるようでもあった。
人間の狂気の沙汰の醜悪さと、知的水準が高いとされる連中でも無批判に受容し単なる機械に成り下がる怖さを見た気がする。太平洋戦争時の大本営然り、昨今のコロナ禍狂騒然り。
平日なのに満席!この作品が描いたものとは
最後まで一切エンタメ性を感じさせなかった。
史実と保存されていた議事録により再現された、既に起きていて、更なる惨状へ突き進む歴史的悲劇の意思決定と言うべきか伝達と言うべきか、その様子をただただ描き出した作品。
私は、暴力を肯定する者ではないし、ましてや戦争など有ってはならないと考えている人間だ。
それでも、相手と面と向かって拳と拳を合わせたり、自分が放った銃弾により敵兵の命が絶たれたりしたのなら、自分自身にもそれ相応の「痛み」が残り「こんなことはやってはならないものだ」との自戒の念が生ずるだけまだましなのだろうと思わせられる、発案者は手を下さない(汚さない・痛まない)、まるでゲームのように人の命を蹂躙しまくる行為に強烈な悪寒をもよおしてしまった。
過去にあった教訓のはずが、現代の戦闘においてだった、ドローンなどを駆使して無機質に人の命を奪う行為が繰り返される世界の危うさを痛切に感じさせられた一作になった。
ウクライナとロシア、現在20万人ほどが亡くなっているのだろうか、それでこんなに心が痛むのに、この戦争では600万人とは!
平日の上映が満席になる現象(何か口コミでもあったのだろうか?)、作品を観た方たちの胸に刻み込まれて欲しいと思えた作品でした。
恐ろしき完璧さで実効性を目指す能吏たちの会議
配給会社もテーマは異常だがビジネス会議として見れると宣伝している通り、有能な官吏たち、組織人たちの会議である。完璧さを求めるドイツの職人気質よろしく、各人が多面的に検討し、なんなら合理的で効率的なアイディアを出し、特にあのアイヒマンがある意味キレキレの能吏ぶりを発揮している。ユダヤ人に対する配慮は全くなくても、関わるドイツ人にはかなり配慮して結論を出すのが恐ろしくも滑稽で不気味であり、合理性を追求した果てにユダヤ人大虐殺に至る近代国家の恐ろしさに、ああこれがアドルノとホルクハイマーが書いていたことなのだなと思った。
好みの問題
ヒトラーに関する映画や、ナチスをどう扱うかの問題が気になったので鑑賞しました。ヒトラーが出ないのはなんとなく知ってましたがそれでも。
ひたすらに会議の模様が繰り広げられるので、映画としての面白さはあまりありませんでした。中々残酷な事をやってはいるのですが、いかんせん会議なもので迫力に足らず…。
テレビで見る分には良いと思いますが、集中力必須の劇場との相性は悪いように思いました。残念。
鑑賞日 1/24
鑑賞時間 18:20〜20:20
座席 H-11
ずーっと引き込まれてました
リサーチもせず、期待もせず、観に行きました。
誰がどういう立場の人なのか理解するのに
スクリーンから目が離せなかった。
場所が変わったりするところがないから
観てる途中から ほんとに俳優さんの演技にかかってる作品だなっ…と素直に感動した
どんな会議も眠気はくるよねー
内容が内容だけに寝はしなかったけど。
どこかで特集を見たなーゲットーに囲ったユダヤ人が飢餓で惨めに死なせることは尊厳を踏み躙っている。なので、楽にしてあげようということでガス室送りとか…はぁ?斜め上を行くというより、次元が違いすぎて理解不能。
こちらでは、もう少し肉付けされていました。
ドイツってなんで優秀(私的感想)なのに、戦争に負けるのかと疑問に思っていてのだけど。なんか見てて分かった気がする。
教訓
大事な記録映画として観られました。
議論の内容は当然筆舌に尽くし難いものでしたが、単純にヒトラーの独断による凶行だったということではなかった様子が観られたのは新鮮でした(そういう議事録が残っているとは恥ずかしながら知りませんでした)。
と同時に、今の社会のいろんな会議でも見られる、大きな過ちが起こっていく様子を見たようにも感じました。
そういう意味で大事なことを教えてくれる映画でもありました。
平和だ。
会議して、豪華なバイキング昼食食べて、会議して、優雅にお茶して、会議締めて終わり。この頃のナチスはまだ余裕あったんだな。
同盟国、友好国は日本とイタリアだけじゃ無かったんだ。ハンガリー、ルーマニアとかわりとあったんですね。
醜悪
最初から最後までひたすら会議室でのドイツ語による醜悪な会議を流し続ける
ひたすら会話劇なので途中眠くもなるが、さも自分達が世界の頂点に立っていると妄信した連中の眠たい戯言を聞かされるのでしょうがない
我が国の○○会議も似たようなものだろう
結論の、「これが人道的な最善策」という言葉に心底唾棄!クソ喰らえ!
小難しい会話劇が延々と繰り広げられる
挿入歌も、エンドロールも音楽なし!エンタメ性もなし!!
これほど“会議”に特化した映画は珍しいし、むしろ世界史の勉強のさらに深掘りする時間として、知識を深める作品かと。
それにしてもホロコーストのことを淡々と語る役者たちの凄さ。彼らは台詞を覚えて、演じながら、何を思ったのだろうか。それが一番気になった。
鬼畜のような言動・行動をする彼らにも家庭はあって、もうすぐ子どもが生まれようとしている…そんな場面も映し出されるが。
押し黙るしか無いというか、なんというか。
もう、二度とこんなこと起きてほしく無い、それしか言えない。
あの年長者の牧師が一番まともだったな…
結局彼はあの後どうなったのだろう?
決して面白くも無いし、感動もしない。
だけど、やっぱり見るべき作品だと思う。
戦争の狂気ここにあり。
冷静な会議内容と その決断の速さに びっくら子。
議長役の進行の素早さに 恐れ入りました。
最終目的は ヒトラー総統の意向に合致させること。
議事録が残っていたことにも驚きです。
普通焼却するでしようし。
淡々と進める虐殺に関する方法など 凄過ぎますが
戦争の恐ろしさは それを成し得てしまう事です。
今のロシアが まさにナチズムそのものですね。
ほぼ満席でした。
Путин черт, умри」.....「プーチンは悪魔だ死ね」と翻訳
人間はここまで残酷になれる
人間の残酷さをありありと描写していました。
僅かな脚色・演出はしているものの、議事録の会話通りにした「再現フィルム」なので、カットとしては面白くありません。
ひたすら会議。
本当に事務的でビジネス的。
効率について延々と議論していて、誰一人としてユダヤ人の虐殺には反対していないという、非道な会議の姿は異様。
ある人物が銃殺に反対する理由は、兵士の精神的負荷を心配したフリして、実は戦線に回す銃弾を確保したいだけとか。
混血児の殺害に反対する理由は、自分が作った法律を否定されたくないだけの事務方とか。
この会議に参加した連中、全員死刑にならないと(または暗殺されるべき)!と憤る内容でした。
数人は捕まらず、立件されなかったらしいし。
折に触れ、このように反省と批判を込めて過去を振り返るドイツの姿勢には敬意を抱きます。
(というか、ここまで酷い虐殺が明るみになったのも、歴史上3~5回くらいしかないしね…隠されたものは無数にありそうですが)。
中国とロシアで似たようなことが行われている可能性がある今、観るべき映画だと思いました。
鑑賞というよりか傍聴
した感覚。
それくらい映画的な情緒をなるべく廃していたように見受けられた。
やはり自国の恥部を描くのもあってか演出らしい演出をしないという演出なのか?
見世物としてとても抑制されてました。
その効果もあってか、じっと議題に耳を傾けることができる。
各部署?(地域?)でユダヤ人の処理に手を持て余していたこと
最終処分所の選定
ユダヤ人混血人種の線引き
断種
銃殺のコスパの悪さ
その携わった自国兵士の精神衛生の問題
ユダヤ人輸送の選定とその段取り
殺害法から能率的な遺体処理
その労働者、人足問題、
台本というよりか、多分まんま「議事録」どうりに描いているのだろうけど
まるごと忠実なのか、部分的な創作があるのか気になるところ。
開会前の役人の席順の組み換えのあれこれだったり、
軍の主導の出来レースで進んでいた議題が
混血種の定義と処遇で紛糾し長官が中座するところだったり、、とか
白眉な展開は数箇所ありました。
点数は低めだけど、1100万人の最終処分方の具体策を話し合ってんだから
非常に興味深いに決まっている。
そして総統に怒られないよう皆さん必死でした
クールな演出だ。
派手な演出はない。ただ淡々と会議が行われる。各省の立場や倫理観から意見が飛び交うところなど、「シンゴジラ」的なワクワクを期待していたが、そういう煽りは一切ないので、エンタメみたいならお勧めしない。意識高い人むけ。
それが正義
1942年1月20日にベルリンのヴァンゼー湖畔で行われたユダヤ人問題の最終的解決に関する会議の一部始終をみせる話。
ある程度想像はついたけれど、ユダヤ人を殺害するのは決定事項で、混血者の処遇や如何にしてドイツ人の負担を減らして実行するかというドイツ人に対して人道的視点や効率性についてが議論されていく。
この会議のことは知らなかったが、映画として面白いというものではないし結果は既知な部分も多かったけれど、なかなか興味深かったし、異様で恐ろしく、狂っている偏った思想が滑稽にもみえた。
戦争は勝者が正義なところもある訳で、ここで語られている理論、理屈から言ったらら、WW2後ドイツ人は…。
十五人のフツーの男たち
ナチス政権下のドイツで
1942年に開催された「バンゼー会議」の始終。
そこには政府の高官十五名が集まり、
「ユダヤ人」の対応につき協議。
しかし、その場の面々
『ラインハルト・ハイドリヒ』
『アドルフ・アイヒマン』
『ルドルフ・ランゲ』等の名前を見れば、
会議の内容は(後世の我々にとっては)自ずと明らか。
が、もっとも驚かされるのは、
後年「ホロコースト」として糾弾されるそれが、
あたかも現代のビジネスミーティングのように決められていく過程。
其処に、人間の心の奥底に潜む恐ろしさを垣間見る。
映画は会場の別荘からは一歩も出ぬ、
ほぼほぼ{ワンシチュエーション・ドラマ}。
二時間強の尺を会話で埋め尽くす、
かなり{ドキュメンタリー}に近い造り。
全ての登場人物が縦横に発言するため、
最初の内は顔と名前を一致させようと必死になるが、
中途から、いやそんな努力をしなくても、
本作は十分に堪能可能と思い直す。
すると不思議に、個々人の政治的背景やキャラクターが
却って浮かび上がる。
会議が開催される前から、既にして交渉は始まっている。
思惑を尋ねる者や、懐柔、根回しが其処彼処の小集団で行われて。
一方で主催者は、自分達の意志をなんとしても通したい。
中途の
武官と文官との対立、
もっともらしい数字の提示、
頭を冷やすための小休止、
席を離れての個別交渉、
オフサイトでの会話。
意見は頻発するものの、
声を荒げる者はおらず、皆が紳士的に振る舞う薄気味悪さ。
そうしたことが繰り返され、
議事は次第に纏め上がる。
しかし、鑑賞者の側は、
その経緯に神の視座で触れる時に、次第に怖気をふるう。
多くのユダヤ人を死に追いやる方策を会話しているにもかかわらず、
その雰囲気は新たなブロックチェーンを作り出すかのように、
ドライでビジネスライク。
省益を取るために交渉し、少しでも
我が方に有利で負担の少ない条件に帰結させようとの思惑は重なりつつ、
議題さえ異なれば、我々も至極普通に討議している雰囲気と近似ではないか。
会議が終了し、出席者達は一息ついた風に会場を後にする。
中には、この後で一杯どうですか、との算段をする者さえ。
しかし、当然のように、我々の心は晴れない。
時勢と立場が変われば、自分達が
何時、あちら側の人間になってもおかしくはないのだ。
史上最悪の会議の『議事録』
恐怖のドキュメント、作り話でも史実を元にという作品でもない史上最悪の会議の『議事録』を忠実に再現されたエリートたちが展開する議場を傍聴する感覚。
『エリート』たちはまるで大量発生した害虫をどのように効率的、経済的に始末するかを冷静にロジカルにディベートしている。
その『最終的解決』が過労死でも餓死、銃殺刑、絞首刑ではなくアウシュヴィッツに代表される「絶滅収容所」への輸送による大量毒殺。
途中『傍聴』していて気持ち悪くなったのか退出する女性も見なられたほどの問題作
合理主義で効率主義のドイツ式会議の立場の切磋は凄まじい
当初からユダヤ人を殺処分するこの理不尽な会議!
死刑制度のある我が国も
未だにナチス以上に残虐な国民なのか、国家なのか!?
そんな問いが俺良の腹底から湧いてきた。
我が国には、
まだミニヒットラーがいるのではないか!?
1955年(昭和30年)に最高裁判所は絞首刑を合憲としました。
2000年以降、
日本では98人の死刑囚に対して刑が執行された(2022年7月26日時点)。
この映画はドイツ映画で、
第2次世界大戦時、ナチス政権が1100万人のユダヤ人絶滅政策を決定した
「バンゼー会議」の全貌を、アドルフ・アイヒマンが記録した議事録に基づいて映画化された。
そして、
1942年1月20日正午、ベルリンのバンゼー湖畔に建つ大邸宅にナチス親衛隊と各事務次官が集められ、
「ユダヤ人問題の最終的解決」を議題とする会議が開かれた。
何の罪もない1100万人ものユダヤ人の運命がたったの90分で決定づけられたそうだ。
そして、実際に600万人が抹殺された。
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