劇場公開日 2023年1月20日

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「会議の様子だけなのに」ヒトラーのための虐殺会議 めるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 会議の様子だけなのに

2025年12月8日
iPhoneアプリから投稿

こんなに恐ろしい映画があるのか。前から気になってはいたが、ちょっとみるのに勇気がいりそうな内容やなと後回しにしていた(私のみたいリストはそんなんばっかりやけど)

ヴァンゼー会議の様子を淡々と映している本作。ストーリーはほぼない。ホロコースト(ユダヤ人問題の最終解決)に向けてさまざまな意見がかわされる。皆見た目は至って普通の官僚や軍人。しかし、話の中身がえげつない。特別処理というがこれは虐殺。人道的にというが話している内容がそもそも人道的からはかけ離れている。一番恐ろしいのがあれだけ国の中枢にいる人物(政治、法律、軍関係者…)たちが集まっているにも関わらず誰一人として我々の通常の感覚ではまともだと思える発言がないこと。まさに関心領域の見たくないものは見ないし見えない、考えないし考えたくないという臭いものには蓋せよ精神。

たった15名の出席者の賛同により600万人もの命が犠牲になった。それもこの一回の会議で。思想が同じ集団というのはほんまに恐ろしい。感覚の麻痺を見せつけられた映画やった。これも恐ろしいと思うのは、この会議に出席してほぼ裁きも受けず、戦後普通に生活を送った人物もいるということ。人間の悪と向き合う覚悟がある時にみることをお勧めする。生半可な気持ちでみるとかなり落ち込む映画やった。

める
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