「予告やポスターに騙されるな!私は好きだけど、、、」神回 スキピオさんの映画レビュー(感想・評価)
予告やポスターに騙されるな!私は好きだけど、、、
文化祭を控えたある夏の昼下がり。文化祭実行委員の打合せで、待合せの30分前に教室を訪れた主人公の樹は、うたた寝を。同じ実行委員の恵那に「ありがとう。ねえ、聞いてる?」と声をかけられて13時ちょうどに目を覚ます。で、ここから5分間の時間が延々に繰り返すタイムループもの。
タイムループものは、それをどうやれば抜けられるのか、って脱出ゲーム的なワクワク感があるわけです。最近の作品だと「MONDAY タイムループ〜」だと、1週間をどう終わらせるか、ですし「エンドレスエイト」だとループ中の記憶がリセットされながらも、ループを抜けるのがオチですね。
ただ、この作品はオチがそこにない、ってところが、評価が分かれるとこ。
宣伝予告だと、高校生男女がタイムループに巻き込まれる、ってとこで友情=恋愛が芽生え、努力の末に勝利、って王道ジャンプものを想像します。それが、めっちゃ「ネガティヴ」な方向で外されます。
私には凄くこの「外し方」が刺さったのですが、アオハルタイムループを期待して観にきた人には、ループ設定の稚拙さと、途中の主人の醜さが目立つでしょうね〜。
この作品、映画.comの評価が3.2と低いのは、たぶんにこの外し方が影響していると思います。映画は作品に面白さだけでなく、観客の期待に応えるか、という点も重要な要素。
タイムループのオチは映画冒頭で出てくるので、その時点で「あ、これはループがメインでないな」と気付くでしょう。で、言いたいのは「拗らせた初恋」ですね。
現実ではたいして話せもせず、遠くから見ていただけの少女。でも本心では、仲良くしたかったし、一方で凌辱もしたかったし、何よりずっと一緒にいたかった、という童貞の青臭い願望が、今際の際で夢の中で繰り返す。いや〜、素晴らしく心を掻き乱されるストーリーではないでしょうか。
主演の青木柚の屈折した演技は良かったですね。ちょっと暗すぎるのですが、成田凌みたいなクズ男が上手い役者にならないかな〜。次の「まなみ100%」も童貞臭のプンプンする役ですので期待大です。