「塵芥」神回 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
塵芥
タイムループものは好物で、先月公開の「リバー、流れないでよ」が年間ベスト級の面白さ、あちらは2分でしたが、こちらは5分のタイムループという事で、どんな展開になっていくのかなと思いながら劇場へ。
悪い意味で予想を裏切ってくれました。青春味は無い、寧ろ鬱青春映画の代表格になるんじゃないかのつまらない胸糞映画でした。
13時から13時5分の間を延々とループする中、脱出の機会を伺うものの、一向にその機会が見つけれず、悶々とするも、そのループには裏があって…という感じの流れです。
ただそのループは全く活かしきれてない感じで、ループだからこそできる行動を何回か繰り返すのは良いんですが、しつこいくらいにやって何か活路を見出すならまだしも、やらかして絶叫して、何故か休憩してとかばっかなので、気が散ります。
無駄に引き伸ばしたシーンが多かったのも退屈な理由で、体育教師との対峙のシーンなんて上履きから靴に履き替えればそれで済む話なのに、それをしないから体育教師にタックルされる(上履きを履かないというだけでタックルする方もよく分からないけれど)事を何回も何回も繰り返すので飽きました。
「うみべの女の子」で痛感していたのですが、青木柚さんのキレっぷりが本当に苦手で、凄いとは思うんですが、その手前でこの人キツい…という感情になってしまって、しかも今作の樹がやたらめったらキレたり情緒不安定になったりするので、中盤は本当にキツかったです。時空の進まないことに大してのイライラならまだしも、恵那はそのループでは初めてなのに、会話の応答の繰り返しにイチイチキレたり、質問に対してもキレたりで最低が更新されていきました。
あと時空が進まないからといって、レイプに走り出したシーンはもう顔が歪みました。強引にキスだけでも見る画として辛いのに、もうそこから押し倒すわ、わざわざ刃物で脅して脱がさせて、なんなら下着まで脱がさせようとするわ、挙げ句の果てには椅子で殴って気絶させて陵辱して、自厨行為をして雄叫びあげてるんでマジでキモかったです。
この物語を作る上で、この発想が浮かぶ時点で監督のクリエイターとしての思想を疑いますし、このネタが種明かしされた時にまたドン引きました。
映画が始まったタイミングで、教室とは別のシーンが映った瞬間に、この映画全然違うテーマが潜んでるなと思い、少し萎えました。しかもそのテーマが樹がジジイになって死にかけている直前に見ていた走馬灯、しかも実際の出来事ではなく、妄想だったというエグい妄想を見せつけられていたんだなとゾッとしました。妄想の中でこいつはレイプをしていたんだとか、気になってた子に罵声を浴びせてたとかフィクションとはいえど気持ち悪さが勝ってしまいました。
爺さんと婆さんの制服のコスプレ、これ一体誰が得するんだ?という絵面でした。しかもこれがやたらめったら長いのもキツかったです。同じセリフを繰り返しても、学生パートと違い、何かを真相を解き明かすとかそういうのでは無いので、ただただ同じことの繰り返しが続いてるのも怠かったです。走馬灯とはいえ、現在の姿でわざわざやっても説得力は無かったです。
甥っ子が叔父を延命するかどうかのドラマも薄っぺらいですし、樹が書籍に載るほどの医者になったドラマも語られませんし、現代パートがおざなりすぎてなんだかなーって感じになりました。
良かったところといえば、坂ノ上茜さんの存在感です。27歳には見えないJKの演じっぷり、透明感が素晴らしかったです。アクションが凄いのが「BAD CITY」で体験済みなので、襲われそうになった時に蹴りでぶっ飛ばしてくれたのは爽快でした。
ラストのプロジェクションマッピングの演出、とても良い演出だなと思ったのですが、これ全部樹のキモい妄想だよなーというのが拭えず、恵那の可愛らしい姿も霞んで見えてしまいました。最後の「神回」のタイトルコールもハマらなかったです。
90分作品にしては長く感じましたし、全体的なキモさが滲み出ていて本当にキツかったです。何故これでGOサインが出たのか…。悪い意味でもう2度と観たくない作品です。役者に罪はありませんが、青木柚さんがより一層苦手になりました。役柄というのは分かってるんですがね…。
鑑賞日 7/24
鑑賞時間 17:00〜18:35
座席 E-2
表現したいテーマや感情はよかったんですけどね…
主人公を好きになれない上、オチが「晩年になってまで後悔していた初恋のifの妄想」。
仰る通り、サスガに気持ち悪さが勝ちましたね。